1巻後半~2巻で ASD 女性のキャラクターが登場します。
マンガとしてのクオリティをしっかり確保しつつ、ASD を始めとする精神病の実態を丁寧に、しかしうんちくになりすぎないようわかりやすく描いています。私も、もし上司にマンガを勧められる関係であるなら、これを読んでくださいと言います。
「自閉症は方言を話さない」という経験則と向き合い、研究を重ねてきた著者の成果が文庫の形で整理されています。方言には高度な社会的機能があり、ASD はそれを扱えるほどの能力がなく経験を積むこともできない――と言えると思いますが、なぜそうなのかを丁寧に見ていっており、ASD の特性や生態の解像度が上がると思います。
私としては、ASD 部下の人にこそ読んでほしいです。健常者がどういう思考をしているのか、どんな理で生きているかを知ることができます。たとえば、そもそも方言は微細なニュアンスを表現するものであり、地元の医者は地元民の方言をマスターせねば通用しないのですが、ASD の私は「言葉なんて通じればいい」「大体似た意味の言葉を使えばいい」くらいに捉えていて、へぇ、方言使う人達ってそんな細かさで生きてる神経質な人達なのかとびっくりしました。