パターン:ミュートデイ
サマリー
====
背景とアプローチ
- ASD 部下との共存は、同座(一緒の場所と時間を過ごす)とコミュニケーションを最小化すればするほど上手くいく。少なくとも「上手くいかない」を大幅に軽減できる
- しかし、定型発達にとって、そのような仕事の過ごし方は縁がなさすぎて難しい。理屈の啓蒙やツールの習得により可能となるが、座学的であり習熟に至りにくい
アプローチ詳細
- ミュートの名のとおり、一度も会話しない
- 会話とは:
- 同座を前提としたやりとりのこと
- 例1: 挨拶や雑談
- 例2: 打ち合わせ全般(リモート含む。リモートは場所は縛られていないが時間は縛られている)
- 例3: 事実上即レスが要求されるテキストコミュニケーション(リモート会議ほどではないが事実上時間が縛られているに等しい)
- 一度も、とは:
- 一言もしないという意味
- 1秒も、1回もしないという意味
- ただし、テキストコミュニケーションにおいて、偶発的に即レス的になる場合は問題ナシとする(もちろんミュートなのでいつ即レスがなくなるかわからないし、なくしてもいい)
- 期間としては、デイ(Day,日)とウィーク(Week,週)がある
- まずはミュートデイの成功率を増やす
- 安定してきたら、続いてミュートウィーク(平日5日間)にも広げてみる
- 🐰ミュートウィークも難なく行えるようになったら、あなたの ASD 部下のマネジメントは(少なくとも同座とコミュニケーションの多さから生じる問題の解消という意味では)文句なしでしょう。初心者卒業と言って良いと思います
- ミュートデイの適用範囲
- Lv1: ペア。ASD 部下とその上司
- Lv2: アラウンド・ペア。ASD 部下とその上司を含むチームにおいて、ASD 部下とその上司に対してのみ
- Lv3: チーム。ASD 部下とその上司を含むチーム内全員
- 🐰基本的に Lv1 を想定しています。Lv2 以上は、チーム全体でミュートデイに関する積極的な肯定が得られた場合のみ挑戦してください。Lv2 以上がもたらすメリットは、ASD 部下のマネジメントに限りません。ミュートの利便性や快適性をチーム全員が肌で学べます。もちろん、頑張ってもうまくいかないことが判明して無駄骨だったと凹む未来もありますが、それはそれで「そのチームではミュートデイは上手くいかない」ことの検証になるので意味はあります
🐰ミュートデイを始める前に
乗り切れそうという程度の準備を済ませてください。
闇雲に始めたところで、「こんなんできるか」と 30 分も耐えられずに終わってしまいます。感触としては やろうと思えばまあ何とかできそう が目安です。この感触を持てない場合、おそらく準備が足りません。
もし準備の目処すらつかない場合は:
- 1: このドキュメントを読み込んで、他のやり方や考え方――特にテキストコミュニケーションを学んでください
- 2: ミュートデイに取り組めるだけの環境を確保してください。たとえば仕事や予定を調整して、(ASD 部下その他適用対象との)この日の締切や予定をゼロにします
- どちらもできない場合は、ミュートデイは諦めてください
- もっともテキストコミュニケーション、つまりはデジタルツールに頼らないアナログなやり方でもやりようはありますが、おそらく持続性がありません。ミュートデイは ASD 部下向けに、必要に応じて使うパターンであり、難なく使えるようにならねばなりません。アナログベースだと、不便すぎてその域には至れないと思います。そもそもアナログが不便だからこそ、ここまでデジタルツールが台頭しています。デジタルは避けられないと考えてください