パターン:コーラブル・ミーティング(Callable Meeting)
サマリー
- 全員を集めた定例会議を行うのではなく、「この時間でヒアリングを行うので各自呼び出されたらすぐ来てください」方式にする
====
背景とアプローチ
- チームメンバー全員を集めた定例会議は行われがちだが、多くの無駄が生じる
- 特にひとりのキーマン(≒マネージャー)がメンバーにひとりずつヒアリングする形になることが多い
- これは 今話しているキーマンとひとり以外の全員が手持ち無沙汰になっている 状況であり、時間的・認知的にきわめて無駄である
- 🐰よくある言い分が「メンバーらも他の人が何してるかを把握するべき」ですが、それはマネージャーの役割です。メンバーに責任転換してはいけないし、まして全員を拘束して時間を浪費させるなど愚の骨頂と考えます。もしメンバー全員にそれを要するなら、マネジメントレスの自律的なチームにするべきであり、この場合もひとりずつヒアリングするやり方は生じ得ない(メンバーn人間の双方向な議論になる)はずです。結論をいうと、ヒアリング方式はやめるべきです
- 定型発達であれば、この不毛なヒアリング方式に耐えようとするし、耐えられるが、ASD 部下は耐えられない
- 反発して衝突が起きるか、このヒアリングにより大きく疲弊して仕事に支障が生じる(パフォーマンスが出ない)
- 👉️ヒアリング方式をやめる
アプローチ詳細
- コーラブル・ミーティングとは:
- 直訳すると「呼び出すことのできる会議」
- 定例会議のやり方の一つで、参加者が動的に変化する(キーマンが変化させる) もの
- 開始時は参加者はキーマンひとりであり、キーマンが必要に応じてヒアリングしたい人を呼び出す
- 呼び出すのは同時に1人までであり、2人以上同時に呼び出してはならない
- キーマン以外のメンバーは、いつ呼び出されてもすぐ迎えるように備えておく
- 参加者の入退室には時間をかけるべきではない
- 少なくとも1分以内で済ませたいし、1分でも長いため数十秒以下を目指したい
- ASD 部下に関するメリット:
- ASD 部下本人が、ヒアリング方式に消耗したり反発したりするのを防げる
- チームメンバーが、ASD 部下と接する時間が減って疲弊しづらくなる
- 🐰その気になれば定例会議で顔を合わせる時間をほぼゼロにできます(入退室を変わるときにすれ違う程度)
議論
- Q: 2人以上呼び出してはならないのはなぜか?
- Ans: 十中八九「手持ち無沙汰な者」が生じるためです
- これを積極的に防ぐため、コーラブル・ミーティングでは「同時にひとりしか呼び出せない」との大胆な制約を加えています
- 🐰もちろん、これは3人以上の会議をするな、とは言っていません。コーラブル・ミーティングは、あくまでも「全員集めてるのに1人ずつヒアリングする形の定例会議」を(丸ごとなくせというほど過激なことはせず)代替するものです
- Q: 1人ずつヒアリングしていくのは非効率的ではないか?
- Ans: そのとおりですが、実態として多くの定例会議がそうなっています
- 非効率というなら、そもそもヒアリング方式の定例会議をなくせているはずです。なくせていないということは、必要ということでしょう。しかし、そのまま行うと、上述したとおり多くのコストを無駄にしますので、コーラブル・ミーティングを使います