Personal Context Management とは、自分が抱える各種作業や活動の文脈を自己管理することを指す。PCM と略す。Personal Knowledge Management を PKM と呼ぶが、その文脈(Context)版と考えれば良い。
PCM における文脈には二つの意味がある:
たとえば「毎朝散歩する」という活動があるとしよう。コア文脈は「朝日を浴びつつ適度に身体を動かすのが健康上最も効率が良さそうとわかったから検証したい」のようなものである。その活動の背景や前提を指す。継続的文脈は「昨日は歩けなかった」「ここ一週間を振り返ると週後半でサボりがち」のようなものである。
もう一つ例を挙げる。何らかのイベントで発表するための「資料作り」作業があるとしよう。コア文脈は言語化しづらいだろうが、「会社で勧められたから」「友人に勧められたから」のような契機を挙げてもいいし、「発表は苦手要素だから今年は鍛えることにしている」のような戦略を挙げることもできる。継続的文脈については、直近どこを仕上げて、次どこから仕上げればいいのかといったメモになるだろう。
コア文脈がないと方向性がブレる。継続的文脈がないとスムーズに続きをこなせない。
どちらも再開の腰を重くするものであり、容易に形骸化や修羅場化(締切直前で突貫で仕上げる)につながる。腰を軽くし、普段から継続的に、少しずつ進めていくためには、文脈を管理すればいいのである。そして文脈とは個人的なものであるから、個人で行う――つまりは Personal なのである。
PCM 自体は単純である。
これだけだ。要はプロジェクトごとに文脈を書いておき、必要に応じて見返し、またメンテナンスする。
PCM を成立させるためには、以下のすべてをできるだけ手になじませる必要がある。
最も重要なのは「自分自身に馴染む言語化と解釈」である。どういう単位でプロジェクトを捉えるのか、またコア文脈と継続的文脈をどのように書くかは、あなた次第だ。あなたにとって最適なやり方は、あなたにしかわからない。あなた自身が模索するしかない。ファイル名の付け方やフォルダの分け方と同じで、人の数だけ解がある。
次に欠かせないのがノートテイキングであり、ノートアプリである。あなたの人生において発生するすべての作業や活動を、漏れなくノートに取れるかどうか――目安はこれだけだ。これができるか、やろうと思えばできそうというくらいノートアプリに慣れたら OK である。そうでないなら、単純に習熟が足りないか、アプリの出来が悪い。
ちなみに、ノートテイキングではなく言語化と解釈が未熟なケースもある。極端な話、見聞きしたことと考えたことを正確に表現するのは不可能だ。自分があとで読んでみたときに思い出せる程度に書ければいい。また、書くのに手間がかかりすぎると形骸化するから、形骸化しない程度には手を抜いたり、刺激を加えたりする点も重要となる。手帳ユーザーによく見られるのがデザインや装飾へのこだわりであり、これは単に自分への刺激を増やすことで形骸化を防ごうとしている。
ソロワークモジュール「ブロック・ライティング」でも PCM は可能である。