ペアコミュニケーション とは、二人で一つの道具を使って読み書きベースのコミュニケーションを行うこと。
ニュアンスとしてはペアプログラミングまたそれを一般化したペアワークやモブワークと同様であり、ドライバーとナビゲーターがいて、二人で一つの同じ道具を使っている。その名のとおり、コミュニケーションを行う。
使う道具は様々考えられる。アナログで言えば一冊のノートを用意し、交互に書き込むことで行える。デジタルで言えばパソコンまたはポメラのようなデジタルメモ端末を使って、交互に書き込んでも良い。ただし文字ベースの読み書きに専念したいため、パソコンやスマホといった多機能デバイスは望ましくない。
ペアコミュニケーションにおける成果物は「やりとりのログ」であり、したがってチャットのようにやりとりを書き合いながら掛け合っていくことになる。
そのためペアコミュニケーションでは口頭による会話はないか、あっても主ではなく従の扱いである。一つの目安として、文字起こししたときの文字数を L1、道具に書き込んだ文字数を L2 としたときに、L2 > L1 であることが挙げられる。
やりとりの体験もチャットとは大きく異なるものとなる。
ドライバーが書き込んでいる間、ナビゲーターはその様子を眺めながら次の書き込みを考えつつ、疑問や間違いがあれば絶えず口頭で割り込むことができる。もちろん口頭の分量が多くなってはいけない。主要な意見はあくまでも書き込んで伝えるべきであり、ナビゲーターである間はあくまでもドライバーの支援に徹するべきである。
ドライバーは落ち着いたところで交代する。具体的な基準はなく、ペアコミュニケーションを行う二者の間で自ずと最適な基準が決まってくる。1話題ずつ片付けてもいいし、複数の話題を並列的に記載しても良い。可能ならば構造化した方が良い。
たとえば Markdown 記法で書く場合、人物を大見出し、話題を中見出しで表現すると、以下のように表現していける。
# 1 Aの書き込み
## 話題1
...
# 2 Bの書き込み
## 話題1
...
## 話題2
...
## 話題3
...
# 3 Aの書き込み
## ✅話題1
...
## ✅話題2
...
## 話題3
...
上記は話題1、話題2、話題3が進行している。3ターン目のAさんにより、話題1と話題2がクローズしている。おそらく2ターン目にBさんからの暫定の結論が提案されて、Aさんも了承したのだろう。よって4ターン目のBさんは、以下のように話題1と話題2は扱わず、話題3から扱うことになる。
...
# 4 Bの書き込み
## 話題3
...
ペアコミュニケーションは、読み書きに未成熟な者を鍛える手段としても優れている。
プログラミングと同様、ライティングにも実はそれなりのスキルとテクニックが要求されるが、プログラミングほど明示的に着目されることはほぼないし、体系すらまともに整備されていない。自己啓発や知的生産術と同様、個人の力量とスキルに依存するのが現状である。だからこそ、ペアコミュニケーションの形で、同じ時間とデバイスを共通して、目の前で協業的にコミュニケーションを行うことで、短期間での習熟が可能となる。