私達エンジニアは集中を要しますが、集中に必要な道具や方法や手順は人それぞれです。オフィスという単一的な環境では限界があります。
また私達はエンジニアである以前に人間であり、人間なので実生活の負荷は抑えたい。たとえば通勤で疲弊するのは馬鹿げています。片道 30 分だとしても、準備や片付けやコンテキストスイッチングがあるので 実際は片道 1 時間くらいはかかっているに等しい。往復すると 2 時間ですね。2 時間あれば何ができるでしょう。
個人個人の集中を確保し、また人間として労るにはリモートが必須です。そのためには非同期ワークが必要です。
GAFAM や MATANA でさえも、未だに出社回帰を唱えています。大前提として出社して生産性が出るのは当たり前です。時間や場所を拘束することは搾取であり、搾取して成果を出せるのは当たり前だからです。それこそ王様の暴政として、奴隷のように酷使しても成果は出せます。
そうでなくとも、大半の人はなぜか集まりたがります。たしかに集まると賑やかで楽しくて退屈しませんし、社会的にも満足度が高いですが、それだけです。中には合う人もいますが、集中と負荷の観点では好ましくない。少なくとも万人に押し付けることではないのです。
なぜこのような押し付けが横行しているか。単純な話で、そういう集合的な働き方を好む人達が権力を握っているからです。また組織規模が大きくなると、構造的に無駄が増えてサボタージュも増えるので、それを防ぐために出社を踏み絵にしがちです。
また、一見するとフルリモートか、それに近しい組織であっても 内情はオンライン会議ばかりしている ケースが少なくありません。これでは出社と大差ありません。
出社は場所と時間の両方を束縛しますが、オンライン会議は時間を束縛しています。束縛していることにかわりはない。集中と労りを手に入れるには、束縛自体を減らさねばなりません。オンライン会議も減らす必要があるのです。
したがって 非同期ワークとは、リモートかつオンライン会議にも頼らずに働く ということです。
長年私が啓蒙してきて気付いたのは、非同期ワークを成立させるための前提をそもそも押さえていない、ということです。
今回は、この前提を言語化します。コミュニケーションをタスクとして捉えます。
Communication As A Task とは、コミュニケーションをタスクと捉える考え方です。CaaTと略します。
非同期ワークにおけるコミュニケーションは無論非同期コミュニケーションになります。非同期コミュニケーションを嫌う人は多いですが、それは単に前提を理解していないからです。
非同期コミュニケーションはタスクとして捉えるべきなのです。
タスクとはオープン・クローズの概念がある事柄を指します。オープンしたら始まり、クローズしたら終わります。つまりコミュニケーションの機会や、そこで扱われる話題を全部タスク化して処理するということです。クローズしたら終わり、という基準に持ち込むことでメリハリがつきます。
マネージャー M とエンジニア E が、45 分の 1on1 をしたとします。トピックは以下とします。
これを CaaT として捉えるとどうなるでしょうか。以下のようになります。
見てのとおり、全部タスクにします。その上で、この 6 のタスクを全部終わらせることを考えます。
もちろん、これら 6 のタスクをミーティングとして行う必要は全くありません。非同期でやればいいのです。Slack を使うなら、E と M の二人が入ったチャンネルをつくって、スレッドを 6 本つくればいい。GitHub Issues でやるなら Issue を 6 本立てればいい。
そもそも非同期ならアイスブレイクやクロージングは要らないので、4 本で十分です。あるいは雑談が欲しいのなら、それ用のスレッドや Issue を立てて、そこで半永久的にやればいいでしょう。
と、このように考えます。コミュニケーションとしてやりとりする話題をタスクと捉えて、オープンとクローズをするのです。
CaaT を受けて「味気無い」「人間味がない」と思われた人も多いでしょう。
たしかにそのとおりですが、別に構わないのではないですか。私達はエンジニアであり、仕事をしているのです。友達と遊んでいるわけではない。学生ではないのだから、もっとプロフェッショナルとしての自覚を持つべきです。
もちろん私達も人間ではあり、社会的な営みはある程度必要ですが、それはそれとして機会を設ければ済みます。週に一度、月に一度、あるいはもっと低頻度で集まればいいでしょう。リトリートを行う組織もよく見ます。
私は コミュニケーションタイム と呼んでいますが、社交的な時間は「仕事はしないが業務時間の一部として」確保することをおすすめしています。マインクラフトでも、ボードゲームでも、もちろん雑談でもいいです。確保の仕方についても、定期的にやってもいいですし、各自が好き勝手に調整してもいい。後者の例として GitLab の Coffee Chat があり、これはいつでも誰でも誰にでも 1on1 を申し込めるというものです。