自身のタスク管理には悩まれているかと思います。最も強力なのは リマインダーです。タスクリストはすぐに形骸化しますし、カレンダーはミーティングが仕事のマネージャーや経営者はともかく、エンジニアには力不足のツールです。
エンジニアを救うのはリマインダーだけです。なぜならリマインダーをセットしておくと、たとえ集中していたとしても気付けるからです。たとえばミーティングや外出を忘れてしまうこともなくなります。
「カレンダーにリマインダー機能があるじゃないか」って?
そうです。ですからリマインダーは偉大でしょう?逆に考えてみてください、リマインダーのないカレンダーを……。私はすっぽかすのが怖くて怖くて、とても仕事に集中などできやしません。
しかし、リマインダーは重たいです。タスクリストだと、それこそプレーンテキストベースであれば一行書いておしまいですが、リマインダーは違います。おそらく GUI のカレンダーを開いて、あれこれ画面をいじくってようやく設定できるでしょう。面倒くさいですね。
ところで、私は リアクティブワーク(Reactive Work) という概念をつくりました。その名のとおり、反応的に仕事をすることです。Slack に通知が来たから反応する、誰かから話しかけられたから答える、会議を設定されたから参加する――忙しい皆さんが陥っているワークスタイルです。忙しい状況を凌ぐのには適していますが、創造的に難しい問題に取り組む際は不適切です。
しかし、これ以外の働き方ができないのも割と事実でしょう。
優秀なエンジニアリングマネージャーやスタッフエンジニアでさえ、リアクティブワークから逃れるのは容易ではありません。もちろんそんな人達が難しい問題に取り組めるはずがない。面倒な問題や、時間をかければできる程度の問題を早く解くのは得意ですし、まさにそれができることに価値があるわけですが、それだけです。
私はナレッジ・アーキテクトとして脱リアクティブワークに取り組むことも多いですが、正直難しいです。たぶん人々が脱せるようになるよりも、中堅エンジニアを AI が完全に代替する方が早く到来します。それくらいに難しいです。
そこで私は発想を転換しまして、リアクティブワークになるべく頼ったまま、しかし反応的ではなく創造的に過ごせる余地も確保するにはどうすればいいか、を考えるようになりました。
リマインダーに目をつけて、ようやく一つの解が見えてきたので共有します。
継続的リマインディング(Continuous Reminding) とは、先送り可能なタスクを管理することを指します。その手段としてリマインダーを使います。このようなリマインドを コリマインド(Coremind) と呼びます。
例として、3 時間後くらいにタスク A をやりたいとしましょう。リマインダーをセットします。3 時間が経過して、A がリマインドされました。しかし、きりが悪くて今は取り組めず、あなたは「20 分後にしてほしい」と思いました。どうしますか?
Before から論じましょう。従来だと「セットするのが面倒くさいリマインダー」をもう一度セットする羽目になります。あるいは、タスク A だけなら頑張って腰を上げられるかもしれませんが、このようなタスクが 2 個あったら? 3 個あったら?確実に腰は上がらないでしょう。そしてタスク A を忘れるのです!
次に After です。コリマインドを使うとどうなるでしょうか。これは単純で、 リマインダーが提示した「20分後にお願い」という選択肢を選ぶだけ です。これだけで、このタスク A のリマインダーが即座に 20 分後に延長されます。
もちろん 20 分後にもう一度リマインドされますが、そのときもまた即座に判断すればいい。5 分後でも、20 分後でも、1 時間後でも、明日でも、もちろん「やっぱりやらなくて良くなったので破棄」でもいい。
ぜひ触ってみてください。
動作を早く確認するため、1~60 秒後しかセットできないようになってますし、指定がなければ 3 秒後にリマインドされます。このおかげで、コリマインドの感じを手早く体感できると思います。
継続的リマインディングを実現できたとしたら。
私達は数十個以上のコリマインドを抱えることになるでしょう。なぜなら 自分の感覚で先送りできるため、リマインドのペースが次第に落ち着いたバランスに収束していくからです。
重要度の低いタスクは遠くに押しやられますし、そうでないものは何度もリマインドされるでしょう。また、重要度の変化を直感的に反映できます。たとえば 20 分後ではなく 3 時間後にしたり、それこそ明日に回したりもできるわけです。もちろん、すべてリマインダーとして仕込まれているため 忘れることはありません。というより、忘れていてもリマインドされるので思い出せます。
継続的リマインディングは、リアクティブワークを地で行きます。あなたはリマインダーを設定し、かつリマインドされた内容に応えるだけ。それだけで回るようになります。
このように多数のコマインドをセットして、ならしていくことは、まるでリマインダーを飼っているかのようです。私はこれを 育つリマインド と表現します。リマインダーは生き物なのです。これはタスクリストでもカレンダーでもない、第三のパラダイムだと思います。