エンジニアの本懐はエンジニアリングであって、コミュニケーションではない。コミュニケーションなんて誰であろうと、必要なときに、必要な分を端的にやればいいのです。それで済んでいた。
それが、いつの間にかチームの時代となり、人間性だの尊敬だの心理的安全性だのといった社会的な営みが重視されるようになった。それらに適応できないエンジニアは相手にされなくなった。たとえば出社や対面ミーティングばかり求める者の、何と多いことか。顧客を相手にするならまだわかるが、なぜ同僚ごときにそんな手間をかけなきゃいけない?テキストコミュニケーション、非同期コミュニケーションでいいだろ。エンジニアの邪魔をするんじゃねぇ。
最近になって、一つの機運が訪れました。生成 AI です。この機会を逃してはいけない。エンジニアの時代を取り戻すのです。
ドライな振る舞い(Dry Behavior) とは、生成 AI に対する態度を指します。
具体的には、テキストコミュニケーションかつ非同期コミュニケーションを行います。プロンプトを出して、相手の返事を待って、返事が来たらそれを確認して、追加のプロンプトをまた投げる――そんなサイクルを繰り返します。
このサイクルを人間に対しても適用します。つまり、生成 AI という機械に対してはある種ドライに振る舞っているわけですが、そんな振る舞いを人間に対しても行うわけです。
コミュニケーションコストを浮かせることができます。
エンジニアにとっては、エンジニアリングに必要なコミュニケーションを最低限だけ行えます。空いた分はエンジニアリングに費やすことができます。
マネージャーにとっては、不器用なエンジニアと頑張ってコミュニケーションを営む苦労がなくなります。別に仕事ですので仲良くなる必要はないですし、必要なやりとりをドライな振る舞いで行う程度でも仕事は成立しますし、信頼関係もつくれます。
ドライな振る舞いを適用できる人の特定が難しいことです。
ドライな振る舞いは、言ってしまえば「人間扱いをやめますね」のようにも見えます。適用できる人を選べないと、ハラスメントになってしまうリスクがあります。
ドライな振る舞いはサイクルとして設計します。
たとえば PDCA サイクルを使うと、次のようになるでしょう。
ですが、PDCA は抽象的すぎてわかりづらいです。使いやすいサイクルを各自つくった方が便利だと思います。
参考までに、一つだけ私の方でつくったので、ぜひお使いください。
4P は以下から成ります。
+---> Prompt ----+
| |
| V
Plan Polling
A |
| |
+-- proofread <--+
このサイクルは汎用的ではありませんが、その分、具体的で使いやすいと思います。
生成 AI と接するときのような「ドライな」態度を、人に対しても適用するという考え方をご紹介しました。余計なコミュニケーションを落として、エンジニアリングに集中する(してもらう)ために有益です。ぜひお試しください。
適用できる相手を見極めるのが難しいですが、1on1 で探りましょう。やってみたい、と答えるエンジニアもそれなりにいるはずです。もちろん、いない場合はおとなしく諦めましょう。
それではまた。