パンデミックが落ち着いた後、出社回帰が再燃しています。対面によるコラボレーションは生産性が高く、満足度も高いと言われますが、私は懐疑的です。集合と拘束は搾取的であり、これで高い成果を出せるのは当たり前です。
一方、現代は生活水準が上がっています。技術も方法も概念も発展しているのですから当然です。エンジニアの皆さんは嫌いかもしれませんし、米国ではトランプ大統領が撤回もしましたが、DEIB の概念もあります。出社回帰による高密度なコラボレーションは、(Belonging はともかく)DEI のかけらもありません。なぜなら私達は人間であり、人間の生活様式は人それぞれだからです。出社や対面といった単一的な過ごし方ではカバーしきれず、カバーされないすべての人を取りこぼすことになります。あるいは静かな退職といった形で「やり過ごされる」形になります。
IT も含めて人材不足といわれます。というより、昔からいつも言われ続けているように感じます。理由は単純で、過ごし方が単一的であるがゆえに多様性がなく、こぼれる者が多いからです。過ごし方を拡張せねばなりません。
過ごし方の言語化とカスタマイズは、まさにナレジャーが得意とする領域です。私もナレッジ・アーキテクトとして、小さなチームから大きな会社まで、様々な組織の過ごし方をデザインしてきました。
今回は、どの組織にも通用する「汎用的な視点」を 4 点に整理して紹介します。
いずれもフルの形容詞がついています。デフォルトと言い換えても構いません。基本的に常に適用するという意味です。たとえばフルリモートは、ハイブリッドワークのような中途半端な塩梅ではなく、全面的にリモートに寄せています。例外的な出社や出張はありえますが、それでも例外的です。安易にハイブリッドなどと名付けて逃げたりはしません。だからこそ、見えてくるものがあります。過ごし方を拡張するには、原始的なあり方から徹底的に逃れないといけないのです。
では、各々の詳細を見ていきましょう。