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MAMA(Meeting as an AMA)

ミーティングとして AMA(Ask Me Anything) を行うことを MAMA(Meeting as an AMA) と呼びます。

概要

15 ~ 60 分のミーティングを開催しますが、内容は全面的に AMA にします。

AMA とは Ask Me Anything の略です。元々 Reddit の文化で、「私は~~ですが、何か質問ある?」という文句で人々からたくさんの質問を集めるものでした。MAMA では少し異なる使い方をします。MAMA では 回答者を一人だけ 設定して、その人に誰でも何でも好きなだけ質問できるというミーティングです。回答者は途中で変更しません。別の回答者を設定したい場合は、新たに MAMA を開催してください。

参加人数は少人数でも大人数でも構いません。数人など少人数だと同じ人が何回も質問をして深堀りできます。逆に大人数だと、深堀りはできませんが、様々な観点の質問を出せます。

MAMA の例をを挙げます。

メリット

MAMA のメリットはメンバー駆動(Member Driven)であることです。

よくあるアンチパターンが上位者や推進者からの一方的な展開ですが、多くの場合、刺さりません。何なら余計なお世話ですらあります。ビジネスにおいて顧客の声が大事なように、組織やプロジェクトにおいても メンバーの声が大事です。そのメンバーの声を出してもらうのに、MAMA は最適なのです。

議論

よくある議論を Q&A 形式で整理します。

Q: 誰も質問してくれません

Ans: ペナルティをなくしてください。またインセンティブを見せてください。

まず「下手なことを言ったら怒りますよ?」のようなペナルティがある場合、当たり前ですが誰も質問しません。

次に、ある程度の心理的安全性が確保されていたとしても、具体的な旨みがなければ「ただ面倒なだけ」ですので、やはり質問はしません。唯一の例外は「知らない情報を教えてくれる」場合であり、この状況に限定するのであればインセンティブは不要です(情報を知れること自体がインセンティブになっているため)。

しかし、質問者の目線では、実は 回答を知ることよりも、ちゃんと行動をしてくれるかどうか を期待します。回答として、具体的な意思決定やコミットメントをしてほしいのです。回答者がそれをしてくれる、という事実と信頼こそがインセンティブになります。

Q: MAMA に事前準備は必要?

Ans: 必要です。

誰が、どういう立場で、どういう質問を受け付けるかを事前に決めた上で、会議開催に含めてください。また少人数で深く行うか、それとも大人数で広く浅くやるのかも決めてください。前者の場合、参加人数や上限を必ず絞ってください。

開催発信については、できれば前日以前がいいでしょう。参加者(質問者)側で何を質問するか考える時間があるからです。

Q: MAMA で質問ネタが尽きました。どうすればいいですか?

Ans: 制限時間中は続けてください。

ブレインストーミングのようなアイデア出しを思い浮かべてください。質問が枯渇しても、粘ってください。こういうときこそ重要な質問が飛び出します。むしろ、質問が枯渇してからが本番 であり、私の経験から言っても、クリティカルな質問が飛び出しやすいです。

Q: MAMA の途中で雑談ムードになってしまい、質疑応答のムードが途絶えてしまいます

Ans: ファシリテーションしてください。

MAMA は質疑応答に特化した場であって、雑談の場ではありません。ある質問を出して、それに対する回答を出す――このシンプルな構図をひたすら繰り返します。

私のおすすめはキッチンタイマーを用意することです。雑談に逸れたなと思ったら、ファシリテーター(通常は回答者です)が 30 秒タイマーをセットして、タイマーが鳴ったら強制的に質疑応答に戻します。ちなみに、30 秒以内に戻ったら、それはそれで良いです(無理に 30 秒待つ必要はない)。

Q: 誰がいつ質問するかといったファシリテーションはどうやればいい?

Ans: ご自由にどうぞ。

MAMA の健全な目安は 沈黙が全く生じないか、ほぼ生じないこと です。この状態を サイレントレス(Silentless) と呼びます。サイレントレスを保てない場合、その MAMA は未成熟です。

改めて回答を述べると、サイレントレスになるようにファシリテーションしてください。何もせずともサイレントレスになるのなら何もしなくていいですし、ファシリテーションが無いとサイレントになってしまうのなら形式的なファシリテーション――たとえば質問トークンを順に回したり、スタックやキューを用意して質問を募集したりといった形が必要です。

おわりに

AMA を行うミーティング MAMA を紹介しました。

メンバー駆動的なコミュニケーションとして非常に使い勝手が良く、1on1 の代替または後継としてのポテンシャルすらあります。ぜひご活用ください。ではまた。