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Online meeting sucks!

Collaboration sucks - by Charles Cook は良い記事です。コラボレーションの名のもとにマイクロマネジメントするな、フィードバックは成果物に対して行えよ、を強調しています。

もう一つ、最悪なものがあるので、私の方が取り上げておきましょう。オンラインミーティングです。

オンラインミーティングでは出社をなくせない

当たり前のことですが、Slack よりもオンラインミーティング、オンラインミーティングよりも対面ミーティングの方が良いに決まっています。単純な話、シームレスだからです。エンジニアの皆さんは開発環境やエディタという形で、シームレスであることがいかに重要であるかを知っているはず。コミュニケーションも同じです。

Slack のようなチャットにせよ、Zoom のようなオンラインミーティングにせよ、どちらも対面ミーティングの下位互換でしかありません。主にパンデミックにより対面で会話できなくなったので、その代替として下位互換的なソリューションをつくって凌いだに過ぎません。

構造的に 対面ミーティングが最も良いことは明らか です。ですので、チャットやオンラインミーティングに頼っている限り は 出社回帰は必然的に起こります。誰だってシームレスな方がいいですから。

ミーティングの限界

そもそもミーティングの良くない点は何でしょう。

別にミーティングそのものが悪いと言っているわけではないのです。良いことはありますし、完全にゼロにするのは非現実的です。ただ 現状はあまりにも乱用されすぎている。一つの手段に依存しすぎなのです。

ミーティングは本質的に高コストです。私は拘束と呼んでいますが、時間と場所と話題を拘束します。もちろん拘束されにいく前と、拘束から解放された後とで二回ほどコンテキストスイッチングも起こります。割り込みとは違って「事前に計画されている」、特に「定期的にセッティングされている」場合は多いですが、そのせいで深く集中できません。

こんなもの、最悪以外の何者でもないでしょう。できるだけ使わない方がいいに決まっています。それでも多用してしまうのは、他に手段がないからです。昔はそうでしたが今は違います。様々な技術や、方法や、道具があります。

ミーティングのモデルから脱さないといけない

私達エンジニアであっても、まだまだミーティングに依存しています。この原始的で高負荷なモデルから脱さないといけません。

ヒントはすでに数多くあります。私も Full-Four の形で整理しました。

私はナレッジ・アーキテクトであり、組織がナレッジをつくって循環させるためのお手伝いをしていますが、脱ミーティングはしばしば提案するテーマです。

そうです、脱ミーティングとは一言で言えば 情報源のパラダイムシフトを起こす ことに他なりません。

従来ミーティングは Image Based Origin――つまり、各自の脳内のオリジナルがありました。これを同期するために密に会話する必要があり、ミーティングを使うわけです。

そうではなく、Record Based Origin――つまりは「外に出した情報」をオリジナルにする必要があります。情報共有しろとかドキュメントを書けとの形で表現されますが、そういうことです。私達エンジニアはコードやドキュメントという成果物で語ります。これに対してレビューを行います。この アウトプット・ベースなモデルをコミュニケーション一般に適用するのです

そのためには非同期コミュニケーション、言語化のスキル、情報を書いたり読んだりするための道具やプラットフォーム、など多様な手段が求められます。ナレッジを扱う専門職ナレジャーの出番ですし、これを組織としてちゃんとやるために私のようなナレッジ・アーキテクトが存在します。

出社させたがるのはマネージャーの怠慢

先日、Ruby の父 Matz の記事が話題を呼びました(日本語です)。

これも主張としては、冒頭の Collaboration sucks と同様です。また、Matz はこうも述べています。

まあ、そういうウェットなつながりが欲しい人は、どうぞ求めてくださいって感じです。ただ、その価値観を全員に押しつけないでほしい

半分冗談混じりに述べられていますが、私は全面的に同意します。

マネージャーを始め、立場が上の者が出社させたがる理由の一つに 職権乱用 があります。自分が寂しいから、退屈だからと、これを満たすために部下を使っているのです。そんなものはプライベートで勝手に満たせば済む話です。私達は仕事上の同僚であって、友達ではない。公私混同をするな。

ジェンダーバイアス指数の低い日本では女性の扱いが不遇であり、長らく男性は自身の性欲を軽減させるために女性社員を使ってきました。たとえば制服がスカートなど露出の多いものだったり、コンパニオンとして女性社員を同席させたり、接待要員として確保したりといったことが平然と行われていました(今もゼロではありません)。これはいわば職権乱用して性欲を満たしていると言えます。出社させたがるのも、構造的にはこれと同じです。退屈や孤独を満たすために、職権乱用しているからです。

おわりに

そろそろ脱ミーティングしませんか。

そのためにはオンラインミーティングから脱さないといけません。オンラインミーティングは対面ミーティングの下位互換であり、このモデルにとらわれている限りは、ミーティングはなくならないからです。

脱ミーティングというパラダイムシフトは中々に難しいですが、だからこそ取り組んでいかねばなりません。この問題は私達の多くが薄々感じていることと思います。実現できたら覇権を取れるポテンシャルさえあるでしょう。