Hard Environment とは、物理的な環境を指します。オフィス、自宅、デスク、ネットワークなど。
Soft Environment とは、電子的上の環境を指します。OSの設定、ソフトウェアとその設定、開発環境や本番環境など。
どちらも重要であり、すでに皆さんは最適な設定にこだわっていると思います。常にこだわるとは限りませんが、必要に応じてこだわるはず。少なくとも無頓着はありえない。
しかし、もう一つの環境については、なぜか軽視されています。
Body Environment とは、身体的な環境を指します。
……と聞いて、「うげえ」と感じた人も多いかもしれません。そうです、なぜか Body Environment は軽視されがちなのです。
私はエンジニアでも、いやエンジニアだからこそ Body Environment にもこだわってほしいと考えます。
Hard Environment にこだわらない人は、安物の椅子やデスクやキーボードを使っています。Soft Environment にこだわらない人は、OS やソフトウェアをデフォルト設定のまま使っています。そういった無頓着がどれだけの損失につながっているか、想像に難くないでしょう。
別に絶対的にこだわるべしと言っているわけではなく、エンジニアの話です。エンジニアリングという高度な営みと付き合う我々エンジニアは、おそらくこだわった方が良いという前提で話をしています。
同様に、Body Environment についても、こだわらない人はそれなりに損失を被っています。もったいないことです。私は DevEx や DevRel として、この Body Environment についても扱いたいとさえ思っています。
というわけで、一つ体系をつくりました。
Body Environment Engineering とは、Body Environment を工学として捉えたものです。私達エンジニアが――開発者もマネージャーも Body Environment にこだわるための理論と道具を整備します。
以降では Body Environment Engineering について軽く踏み込みます。Body Environment にこだわるために、どんな考え方ややり方を使えばいいのかがわかるはずです。
最初に Body Environment の本質を一言で述べておきましょう。他の環境とも比較します。いずれも CC で統一しています。
Hard Environment では物理的な空間と手先が必要でした。Soft Environment では継続的なカスタマイズという営みへの適応が必要でした。同様に、Body Environment ではコンスタンスに自らをメンテナンスすることが必要なのです。
最後に、Body Environment にこだわるために用いると良いアプローチをいくつか紹介して終わります。
システムやプロジェクトと同様、Body Environment もデータドリブンが良いです。具体的には健康を司る因子を測定します。
例:
また、値の種類としては以下があります。
y | n何の因子を測定すればいいかは人次第、状況次第ですが、上手く因子を定義できたのなら健康状態を測れます。調子が悪いときの因子や、逆に調子が良いときの因子がわかります。わかったら、あとはかんたんです。悪い因子を潰し、良い因子を増やすだけです。
Hard Environment や Soft Environment にこだわるために、私達エンジニアは日々手を動かします。そうでなくとも新しい技術を習得するために手を動かすはずです。
同様に、Body Environment を改善し、強化するためにも手を動かす必要があります。いわゆるライフハックや自己啓発のジャンルになってしまいますが、以下のようなことです。
問題は このような行動をコンスタントに行うにはどうすればいいかですが、後述のロボット化を使います。
ロボット化 とは、ある行動をコンスタントに行えるようにするための仕組みやスキルを整備することです。 Body Environment Engineeing における最重要概念です。一部のエンジニアは cron、その他ジョブやタスクのスケジューラーを設定したことがあるでしょう。これの人間版をやります。
主なアプローチとして習慣化、動線化、日課化、ダイナミック・リマインドがあります。
人によって、また状況によってどれが適するかは異なるので、上手いやり方を見つけてください。
私達エンジニアは毒の有害性を知っています。ブリリアントジャークや技術的負債は、今すぐ私達を破滅させることはありませんが、長い目で見て、じわじわと腐らせていきます。しかし今すぐに除去することはできず、日頃から軽減・除去していく必要がありますよね。Body Environment も同様なのです。
まず 清涼飲料水、タバコ、アルコールといった毒は摂取しなければしないほど良い です。特にアルコールは研究の動向次第で良し悪しがブレますが、現代ではすでに「百害あって一利なし」とわかっているため毒とみなして良いです。
※もちろん気分転換や心の支えになっているという人もいますし、事実だと思いますが、私はそもそもそんな状態が好ましくないと考えます。薬物と一緒だからです。じゃあ薬物を認めていいのか、となります。必要悪ではありますし、個人が好きにすればいいですが、私達はエンジニアでありプロフェッショナルです。そうした毒に頼らずに済む方が良いに決まっている――私はそう信じています!
これらの毒はできるだけゼロに近づけてください。多くの場合、ストレスの原因そのものを軽減・除去する必要があります。原因を知るには自分と向き合わねばなりません。以下の記事を参照してください。要するに振り返りと内省です。
次に、普段溜まる毒については、デトックス(全く触れない時間を設ける)を使います。このような毒は溜め続けるとバイアスの強化につながります。多様性への耐性がなくなり、かつ生活の過ごし方も無頓着になって長時間労働になりがちなので、たまにはデトックスするのがおすすめです。
例:
またエンジニアならプログラミングデトックス(開発その他プログラミングを一切しない)やAIエージェントデトックス(AIエージェントを一切使わない)なども有益です。
デトックスの期間ですが、最低でも半日、できれば一日以上が望ましいです。これより短いと効果がありません。
毒の中で唯一、適正量を守れば摂取しても良いものがあります。カフェイン です。カフェインの概要とメリットは割愛しますが、取り過ぎでなければ頼もしい相棒となります。私も毎朝お世話になっています。
カフェインの適正量は 本当に 人によって違うので、自分で調べるしかありません。
具体的には、次のとおりです:
睡眠に支障が出るかどうかがすべてです。出ない程度にまで頻度や量を落としてください。