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ソフトスキルの構成要素 6T

サマリー

背景

DevRel や DevEx の観点でもソフトスキルは重要

ですので私はソフトスキル・エンジニアリングを立ち上げました。SSE と略します

ソフトウェアエンジニアは最適なソフトウェアを提案し、必要に応じて現状分析から開発や改造まで行います。同様にソフトスキル・エンジニアも最適なソフトスキルを提案したり、現状を分析したり、現行のそれを改良したり、もちろん新しく開発もします。

ソフトスキルとは何?

しかし「ソフトスキル」はイメージしづらいものです。そこで定義と構成要素を与えます。

ソフトスキルは創発的なものである

そもそも ソフトスキルは(というよりスキルは)創発的なもの です。

創発とは「全体は部分の和よりも大きい」性質を指します。スーパーモジュラリティと呼ばれることもあります。創発的なものは、単純に A と B と C から成ります、のようには言えません。

ソフトスキルも同じです。たとえば「コミュニケーション」というソフトスキルを考えたとき、これが単に A + B + C + …… のように、構成要素から成るかというと No です。スキルはもっと複雑で多用で曖昧なものなのです。その証拠に、コミュニケーションの構成要素を語ってもらうと、おそらく 10 人 10 通りの答えが出るでしょう。

ソフトスキルの構成要素 6T

創発的であるとはいっても、構成要素なるものは何かしらあるはずです。

SSE として 6 つの T で整理してみました。道具が 4 つ、行動が 2 つです。能力の高低は扱っていないことに注意してください。

詳しく見ていきます。

1: Tool

Tool はその名のとおり 使う ものです。ソフトウェアやハードウェアがわかりやすいですが、テンプレートやチェックリストといったものも当てはまります。

例:

2: Technique

Technique とは、やり方や手法や方法と呼ばれるものです。「言語的に記述されたステップとヒント」の集まりと考えてください。記述されたとおりに、あるいは記述を参考にして動く ものです。

例:

3: Thought

Thought とは、捉え方や考え方と呼ばれるものです。言語的に記述された解釈や概念と考えてください。変数名や関数名のように「何らかの構造の部品」としてつくることもあれば、まだ名前がついてないものを便宜上扱うために名前をつけることもあります。記述されたものを理解し、議論したり、自分鳴りに使ってみたりする ものです。

例:

SSE において最も重要なのが、この Thought です。

私は 概念の仮説検証 と呼んでいますが、SSE では「動くソフトウェア」ではなく「理解できる概念」をつくって検証します。つくった Thought に対して議論をしたり、自分なりに Techunique 化や Tool 化をして試してみたりします。これは実は第三のパラダイムです。

No. 潮流 何を見せるか
1 ウォーターフォール 計画
2 アジャイル 動くソフトウェア
3 ソフトスキル・エンジニアリング 理解できる概念

※とはいえ概念を理解するのは難しいので、概念の理解を補助するソフトウェアの整備が急務と言えます。生成 AI が使えないかと考えています。進展がありましたら、またご報告いたします。

4: Tenet

Tenet とは、文化や力学や信念といったものです。Thought の一種と言えばそのとおりなのですが、Thought よりも根本的で変更しづらいニュアンスがあります。Tenet は 言語化して実体を理解する ものです。

5: Training

ここからは「行動」に関する構成要素となります。

Training とは練習を意味します。ここで 練習とは「実際に動いてみる」か、あるいは「自分の理解を言語化して形に残してみる」こと を指します。

特に 言語化という行動も練習に含めている ことに注意してください。これは意図的であり、本質でもあります。コードや設定ファイルやドキュメントを書くのと同様に、ソフトスキル(の構成要素)についても書いてみるのです。

非エンジニアがコードを書きたがらないように、エンジニアもまたソフトスキル(の構成要素)を書きたがりません。非エンジニアがソフトウェアを試したがらないように、エンジニアもまた試したがりません。それでは前進できません。ソフトスキル面で前進するためには、書く必要があるのです。

Training は練習ですので、自分ひとりで、誰にも見せずに手元で行っても構いません。あるいは他者に見えるように公開しても良いです。いずれにせよ ひとりで完結しています。これより先は、次の Test で行います。

6: Test

Test とは試行を意味します。SSE としてつくった 4T を実際に試します。具体的には 自ら使ってみたり、他者に見せて反応をうかがったり、あるいは試しに使わせてみせたり します。

SSE では 常に試行 だと捉えます。個人的に雑に試行を始めることも、チームでいったん正式に採用して使ってみることも、どちらも同じ Test と考えます。

改めてソフトスキル・エンジニアリングとは

以下を行います。

私もまさにソフトスキル・エンジニアとして、この新しいジャンルを盛り上げたいと考えます。生成 AI 時代でもある現代だからこそ急務と考えます。ご支援が欲しい方や、私を雇いたい方はぜひご連絡ください。

おわりに

いかがでしたか。SSE について、イメージを掴んでいただけましたら幸いです。

本記事では、まずソフトスキルは創発的なものだと述べました。その上で、構成要素として 6T があると紹介しました。道具面は Tool、Technique、Thought、Tenet の 4 つです。行動面は Traning と Test です。