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ソフトスキル・エンジニアリングの例

先日ソフトスキル・エンジニアリングについて書きました。SSEと略します。

さて、本記事では、SSEとして私がやったことを紹介します。いずれも趣味で行ったものであり、ポートフォリオのようなものです。仕事として行う際は、さらにきめ細かく、深く、妥協無く行います。あなた個人に、あるいはチームや組織に合ったソフトスキルを開発または支援させていただきます。

では紹介に入りましょう。

ソフトスキルの開発

いわばソフトスキルはジャンルであり、絶対的な体系こそありませんが、たとえば大カテゴリ「コミュニケーション」があり、その中に中カテゴリ「傾聴」「プレゼン力」「非同期コミュニケーション」などがあったりします。

ソフトスキルの開発とは、新しいカテゴリーをつくること です。大カテゴリや中カテゴリ、あるいはもう少し細かい小カテゴリをつくったりします。

私がソフトスキル・エンジニアとして得意とするのは「タスク管理」や「発想法」です。

タスク管理については、さきほどタスク工学の記事を書きました。またタスク管理ツールの実装に役立つリファレンスも整理しています。

発想法については、まだ体系的な整理はしていませんが、アイデア出しを GitHub を使って行う手法など、いくつか記事を打ち出しています。

ソフトスキルの実装支援

SSEとして最も多い仕事がこれです。何らかのソフトスキルを利活用してもらうために、具体的な概念をつくってお届けします。

たとえば「心理的安全性」を醸成するには、どうしたらいいでしょう?

私は MAMA(Meeting As An AMA) をつくりました。これは Ask Me Anything をミーティングとして行うというもので、質問者駆動と言えます。たとえば上司やマネージャーが MAMA を開催することで、部下は本当に知りたいことを知れるようになります。MAMA を通して「答えてもらえる」ことがわかるので、心理的安全性の醸成にも一役買います。

たとえば「当事者意識」をもたらすには、どうしたらいいでしょう?

私はティール組織が良い例だと考えており、この組織モデルの本質を端的に 3P で整理しました。ちなみに Part、Protocol、Peace です。

たとえば「振り返り」や「内省」を知ってもらうには、あるいは取り組んでもらうには何が使えるでしょう?

私は TILS(Today I Learned Softly) をつくりました。TIL をご存知の方は、ハードスキルではなくソフトスキルを書く TIL だと考えてください。生成 AI の利用も前提としています。また 内製と内省 という記事も書きました。内省が得意な日本と、内製が得意な欧米を比較することで、お互いの理解を促す試みです。

最後の「内製と内省」は(私がつくったものではなく)既存の概念ですが、もちろん使えるものは使った方がいいです、概念を新しくつくることにこだわる意味はありません。それでも通常は、顧客に合った実装支援をするためには、既存の概念では足りない事が多いです。ソフトウェアと同じですね。基本的に新しくつくることが多いです。

ソフトスキル・コンテキストの整理

最適なソフトスキルは組織次第、プロジェクト次第です。エンジニアリングと同様、ドメインを知らねばなりません。私はソフトスキルの開発や実装支援に必要な文脈を調査・言語化し、整理できます。

例として、私が DEV Community で書いたものはまだありませんが、日本向けに書いた記事を紹介します。以下は日本の SIer 業界ついて言語化したものです(日本語です)。

※SIについて補足します。日本ではソフトウェアの内製は稀であり、通常はSIer(System Integrator)という専門会社に外部委託します。日本のSIは製造業と建築業をモデルにしたものであり、現在でもウォーターフォールが根強く残っています。またコミュニケーションの介在層が多く、中抜きと呼ばれる悪しき文化も根強いです。このようにエンジニアから見ると滑稽に映る文化が多数あり、日本をIT後進国に押し留める主因だと考える識者もいます。私はこの改善のために言語化しました。

(余談) ソフトスキル・エンジニアリングはAIでは代替できない

よくある質問が「生成AIに聞けば解決できるでしょ?」ですが、はっきりと言います。いいえ。

試しにやってみるといいですが、当たり障りのない助言か、いまいち的を得ない詳細プロセスしか返ってこないと思います。それもそのはずで、ソフトスキル・エンジニアリング自体が新しい概念だからです。生成AIもまだ十分に学習できていません。

たとえば、実装支援として新しい概念をつくりだすことができません。生成 AI は確率に基づいて、最もたしかな既存の知識やその言い換えを出力するだけです。知識量と比喩は人間離れしていますが、創造性がなく、ゆえに、きめ細かいソフトスキルの開発や支援が行えないのです。

だからこそ SSE には価値があります。今までこのようなジャンルが無かったのは、単にできる人がいなかったからです。私がパイオニアになります。

おわりに

ソフトスキル・エンジニアリングの例をいくつか示しました。具体的には次の三点です。

イメージが湧いたでしょうか。ご興味がある方は、ぜひ私のブログをお読みください。ソフトスキル・エンジニアとして私が日々つくったものをお届けします。