タスク管理の実装に使える「タスクの属性」一覧
タスク管理ツールは通常、何らかの SaaS を使うと思いますが、チームや個人によっては物足りません。そこで SaaS 側のカスタマイズ機能を使ったり、ツール自体を自製したりすることがあります。
そのような場合、タスクの属性を知っておくと便利です。本記事で網羅します。
(記述系属性)
名前
詳細
- タスクの詳細情報
- 名前だけではカバーできない、補足的な情報を文章で記述する
- 複数行
(状態系属性)
状態
- 開始、終了、中止、進行中といった「タスクの状態」
- 少なくとも「未完了」と「完了」の二値は必要だが、選択肢は各自設計して良い
- しかし煩雑すぎると認知コストが上がるため、4 以内で抑えたい
(識別系属性)
ID
- タスクの識別子
- 採番は機械的で良い
- 「名前」だと識別子として使えないことがあるため、内部的には持っておいた方が良い
(日付系属性)
実行日
- タスクを実行する日
- たとえば今日が 2025/11/28 で、でも 2025/12/01 に実行したいタスク A があるなら、A の実行日を 2025/12/01 にする
作成日
- タスクを作成した日
- タスクの「古さ」を感覚的に把握するのに役立つが、なくてもいい
- 自動入力必須。さすがに作成日を手作業で入力するのは面倒がすぎる
締切日
- タスクの完了期限となる最後の日
- よく使われがちだが、ウォーターフォール的な指標であってアジャイル的な昨今では全く合わないので無くても良い
- 締切はスプリントやプロジェクトやマイルストーンなど「タスクを束ねた単位」に対して設定するのが良い
完了日
- タスクを完了した日
- 実行日と組み合わせると「計画どおりに完了できたか」「遅れは何日か」を計算できる
(時刻系属性)
日付系属性よりも小回りが効いて使いやすいですが、チームレベルだとマイクロマネジメントになります。時刻系属性は、個人のタスク管理用途でのみ使うのが望ましいです。
セクション
- タスクを実行する時間帯
- 実行日は「日」だったが、こちらは「時間帯」。午前、午後、朝、昼、夕方など
開始時間
- タスクを開始した時間
- たとえば hh:mm
- どちらかといえばタイムトラッキングの側面が強い
終了時間
- タスクを終了した時間
- 開始時間と合わせると、タスクにかかった時間を導出できる
- ただし割り込みやマルチタスクには弱く、常にシングルタスクで進めること前提の属性ではある
見積時間
- タスクの完了にかかる時間の見込み
- 開始時間と終了時間から「かかった時間(実績)」が出せるので、この見積時間と合わせると予実管理が可能となる
(定期系属性)
繰り返し頻度
- タスクを出現させる頻度
- 「n 日ごとに x 回行う」の形で指定する
- 毎日(1日ごとに1回)
- 3日に1回
- 週に1回(毎週水曜日、毎週金曜日など)
- 1日2回(毎日頻度のタスクを2個つくってください)
繰り返し条件
- タスクを出現させる条件
- 特に 繰り返し頻度では表現できない、きめ細かい条件 を指定する
- たとえば:
(分類系属性)
カテゴリー
- タスクに一つのみ付与する分類項目
- タグの一種であり、カテゴリーを削除してもその中のタスクは消えない
タグ
- タスクに複数付与できる分類項目
- 主な用途はフィルタリング
ラベル
- タスクに複数付与できる分類項目で、色情報がつく
- 主な用途は「俯瞰したときの視認性」
スター
- タスクに一つのみ付与する、カスタマイズ性のない分類項目
- 内部的には単一のフラグであり、オンとオフしかない。デフォルトはオフ
- 主な用途はブックマーク
優先度
- タスクに一つのみ付与する分類項目
- タグとは別に存在し、タスクの優先度を示す
- ユーザー側でカスタマイズ可能にしてもいいが、可能ならツール側で固定してしまいたい(ツール側がコンセプトとして優先度の体系を提示するべき)
トリガーコンテキスト
- タスクに複数付与できる分類項目
- トリガーコンテキストとは、そのタスクを実行できる状況を指す
- たとえば「移動中」「深い集中が必要」「会社」「自宅」など
- 主な用途はフィルタリング、特に「今の状況でもこなせる タスクの抽出」
(主観系属性)
タスクに関する所感を表現するものです。
所感ですので主観的ですが、必ず定量的(0~100の数値、n段階から選択等)にしてください。
重要度
- タスクの重要度
- 意味的には優先度属性と同じようなものですが、重要度属性の方がもっと感覚的に運用できます
難易度
- タスクの難易度
- トリガーコンテキストでまかなえることが多いです
- というのも、かんたんなタスクは場所やタイミングを選ばないですし、難しいタスクは逆に選ばないといけないことが多いからです
(協調系属性)
タスクに紐づいた人を扱う属性です。個人タスク管理の場合は不要です。
担当者
- タスクを実行する人
- 実行の責任者を定めるものでもあるため、必須属性です
- しかし挑戦的なジャンルとして 担当者という概念が存在しないタスク管理 もあります。この場合、後述の発行者と貢献者を使います
発行者
- タスクを発行した人
- 「誰が」タスクをつくったか、という情報が重要な場合は採用してください
- 通常はツール側で自動で記録させれば済みますが、重要でない場合はノイジーなだけですので表示しなくてもいいです
貢献者
- タスクに携わった人
- たとえば GitHub Issues などチケット型ツールだとわかりやすいです。そのタスクのページで何らかのアクションをした人全員を示します
- 主な用途は二点
- そのタスクに誰がいるかを視覚的に表示する(アバター等を表示する)
- あとで成果を計測する際に使う
購読者
- そのタスクに注目している人
- 主な用途は更新通知。タスクに関する情報が更新されたとき、購読者に通知を飛ばします
おわりに
タスク管理の実装に正解はありませんが、基本的な属性は網羅しているはずです。これにより、皆さんが実装する際は遠回りせずに済むでしょう。それではまた。
(参考)