「やりたいことやほしいものを逃さない」はソフトスキルの一つだと思います。見逃しても短期的に損害が出るわけではありませんが、見逃さずに確保していると中長期的に学びや豊かさが得られます。
これを満たすツール(特にリスト)の例として以下があります。
このようなジャンルを仮に What You Want と呼ぶことにします。略称は wyw です。
私が思うに、エンジニアは wyw を軽視しているように思います。現場のエンジニアも、エンジニアリングマネージャーも、そして上級エンジニアでさえもです。
なぜかというと、wyw が(エンジニアが嫌いがちな)自己啓発やライフハックの取り組みのように見えるからです。そのとおりでもあるのですが、実はそれだけではありません。エンジニアにこそ役に立つものです。
というわけで、本記事では wyw の価値を示します。特に複数人で wyw を共有する手法をご紹介します。
What You Want ログ とは、wyw を貯めることです。それも複数人で貯めます。プロダクトバックログにはタスクを貯めますが、あれの wyw 版だと考えてください。
wyw ログには誰でも何でも書いていいですが、どこまで書いていいかのスコープは定めましょう。わかりやすいのは「このプロジェクトに関してやりたいこと」です。
ちなみに私はスコープはもっと広くすることが多いです。プライベートでやりたいことやほしいもの、あるいは個人的なキャリアの話も含めて良いようにします。この方が会話が弾むからです。
何らかのツールを使って、複数人が誰でもいつでも書けるようにするだけです。
Cosense は日本産の同時編集ウィキであり、Slack 要らずで複数人で数万以上のページを運用できるほどの快適なウィキです。JavaScript により挙動をカスタマイズできる点も魅力です。
メンバー全員を入れた「wyw 用のワークスペース」をつくって、皆で wyw を書き込みます。ページ間をリンクでつないだり、画像や動画を埋め込んだりもかんたんなので楽しく盛り上がれます。
実はすでに例があります。/wanna です。日本語のコミュニティですが、すでに複数人で wyw を書いています。私も参加しています。他の人の wyw も見れて楽しいですし、アドバイスをもらえたりもしますし、もちろん自分も書きます。wyw を通して相手を知れますし、自分を見つめ直すこともできるのです。
wyw 用のリポジトリをつくって、1-issue 1-wyw で扱うようにします。
とにかく気軽に書けることが大事なので、以下を心がけたいです。
wyw が貯まってきたら、APIを使って色々な仕掛けがつくれます。Reader をつくってもいいですし、ランダムに表示する機能があっても面白そうです。今週の分を Slack チャンネルに流すといった連携をしても良いでしょう。
Miro で wyw 用のボードを一つつくって、そこに付箋として書き込んでいきます。また、他の人が書いた付箋を見て、思いつく wyw があればさらに書き込んでいきましょう。非同期的にブレストを行うイメージですね。
注意点としては、整理をしないことです。散らかってもいいし、重複してもいいので、とにかく wyw の付箋を書くことに専念しましょう。付箋が貯まって、散らかってくるほど、面白くなります。
このようにして複数人で貯めた wyw はナレッジだと考えます。メンバー達の個性やニーズや助言が含まれているからです。
生成 AI にインプットして対話や分析をしてもいいでしょう。メンバー自らが出した wyw だからこそ、そこから提案される情報は魅力的かつ実用的です。