- Taskenism とは
- なぜ Taskenism か(誕生の背景)
- Taskenism とは具体的に何をするのか
- チュートリアルまとめ
- チュートリアル part1
- チュートリアル part2
- チュートリアル part3
- チュートリアル part4
- チュートリアル part5
- ●template
Taskenism とは
Taskenism(タスケニズム)とはライフスタイルの一つ。日常生活にタスク管理を取り入れることで、日常生活における忘迷怠(ぼうめいたい/忘れ迷い怠け)の軽減を目指す。
タスク管理は従来ビジネスにおいて活用されてきた実地的概念・体系である。多くの「やること」を効率的に捌く手法として重宝されているが、本質的に複雑でもあり、日常生活への応用は困難を極める。これを、日常生活にも応用しやすいよう整理したものがタスケニズムである。
タスケニズムのコアコンセプトは次のとおり。
- 「やること」を頭で管理しない。仕組みで管理する。
- 「やること」のうち「今日やること」にだけ注力する。それ以外(明日以降やること)はまた明日やれば良い。
- 「やること」のすべては仕組みに集まっている。仕組みに頼るだけで上手くいく。
タスケニズムの仕組みとして以下を用いる。
- ホーム(毎日何回も読んだり書いたりするところ)
- リスト(ホームで扱いづらい事物を別にまとめたもの)
- リマインダー(指定時刻が来たことを知らせるツール)
つまりタスケニズムはおおよそ以下のようなことをする。
- 「ホーム」にすべての「やること」を集め、「ホーム」に従って日々の「やること」を消化していく
- 「ホーム」で扱いづらい事物は「リスト」にしてあるため、適宜そちらを見れば良い
- 忘れたくない予定については「リマインダー」を仕込んでおくことで確実に忘れない(というより忘れていても確実に気付ける)ようにする
主な用語
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Tasken | タスケン | タスク化する、タスクにするの意。Task + en |
Taskening | タスケニング | Tasken の名詞系 |
Taskenism | タスケニズム | 日常生活にも積極的にタスク管理を取り入れるというライフスタイル |
Taskenist | タスケニスト | タスケニズムに取り組む者 |
用例を以下に示す。
- 掃除に時間取られてる気がするので、気合い入れてタスケニングします
- タスケニズム始めました
- どうもこんにちは、タスケニスト YouTuber の吉良野すたです
Taskenism が扱うタスク管理領域
タスク管理は Project(プロジェクト)、Partner(パートナー)、Personal(個人) の三種類に分類できるが、タスケニズムが扱うのは Personal。
チーム | 自分のみ | |
---|---|---|
ビジネス | プロジェクトタスク管理 | 個人タスク管理 |
プライベート | パートナータスク管理 | 個人タスク管理 |
つまりタスケニズムとは個人的な日常生活に個人的なタスク管理手法を取り入れること。
フレーズ集
タスケニズムを象徴するフレーズをいくつか並べてみた。タスケニズムのニュアンスを直感的に感じ取っていただければ幸いである。
- やることを頭でテキトーに管理するのはやめませんか。
- 人は「やること」の把握に振り回されている。
- 覚えきれないことはメモする。「やること」も同じ。
- アプリを自分の秘書にする。
- 脳が扱えることは少ない。だから外に出す。
- 脳は思っているよりもずっとポンコツである。
- タスク管理とは脳を労ることである。
- 「やること」に忙殺される現代社会を生き抜くために。
- 「やること」に忙殺される現代社会を生き抜く知恵。
- 頭で抱えない。仕組みに任せる。
- 頭で抱えるというストレス。仕組みに任せるというストレスフリー。
- 頭で抱えるのはストレス。仕組みに任せるとストレスフリー。
- 覚えてない。覚える必要がない。ここを見ればわかるから。
- ★もうちょっと絞りたい
- ★「これだ!」と思えるような心震えるフレーズが欲しい
なぜ Taskenism か(誕生の背景)
現代では「やること」が多すぎる。
- やらないと後で面倒になるもの
- 例1: 掃除
- 例2: 買い物
- 計画や進捗管理をしないと遠回りになるもの
- 例1: 引っ越し
- 例2: 旅行の準備
- 何かの達成や改善のために必要な継続的行動
- 例1: 受験勉強や資格勉強
- 例2: 仕事や私生活の定期的な振り返り・反省
- 例3: 倉庫の整理
「やること」を頭の中だけで対処するのは困難だが、他に方法が無い(知らない)ため対処するしかない。その結果、「忘迷怠(ぼうめいたい)」が生じる。
- 忘れ(ワスレ)
- 迷い(マヨイ)
- 怠け(ナマケ)
忘迷怠を防ぐためにはどうすれば良いか。
ビジネスの分野では「タスク管理」が使われている。
「タスク管理」という言葉は割と知られており、プライベートでも意識の高い層は取り入れているが、まだまだ高度でニッチでマニアックな界隈の域を出ていない。
もっと簡単に「タスク管理」を捉えることもできるのでは?
日常生活に取り入れることもできるのでは?
このような例はいくつか存在する。
- ミニマリズム(モノへの依存を減らして生活コストと選択コストを下げる)
- 元はアートだった
- ライフハック(利便や効率を手に入れるためのテクニック全般)
- 元はハッカーが用いるテクニックだった
ここをタスク管理にも適用するとどうなるだろう。
- ???(日常生活にタスク管理を取り入れて忘迷怠を減らす)
- 元はタスク管理だった
この???こそが Taskenism(タスケニズム) である。
Taskenism とは具体的に何をするのか
結論を言うと「買い物リスト」ならぬ「日常生活リスト」を運用する。
まずは買い物リストについて考える
買い物をする場合、頭ですべて覚えるのは大変。
- 買うものを忘れてしまう
- 思い出すことはできるが、思い出すまでに時間がかかる
- 思い出すことや「あと何を買っていないか」の確認が嫌になり、一部の買い物をサボってしまう
上記問題を解決するにはどうすればいいだろう?
メモすれば良い。買ったらチェックを入れれば良い。つまりは「買い物リスト」。
買い物リストを使う場合と使わない場合のメリット・デメリットを比較する。
- 頭の中
- メモやチェック入れをしなくていい
- 忘れることがある
- 思い出すのに時間がかかる
- 面倒になりサボりやすい
- リスト
- 忘れない
- 思い出す手間もない
- リストに従えばいいだけなのでサボりにくい
- あらかじめリストをつくる手間と終わったらチェックする手間がある
つまり「買い物リスト」は作成と更新が面倒だが、忘れと迷いを防げる。
日常生活もリストで運用する
買い物リストにより、買い物に関しては忘迷怠が軽減する。
ならば「日常生活リスト」なるものがあれば、日常生活全般においても忘迷怠を減らせるのではないだろうか?
結論を言えば、減らせる。
- 「日常生活リスト」は、すでに意識の高い人達によって実現されている
- 「日常生活リスト」の実現方法は十人十色のようである
しかしながら「各自で自分の日常生活リストを追い求めよ」ではあまりに酷だ。タスケニズムとして普及・浸透させたいなら、わかりやすく体系化や整備が必要だろう。
体系化や整備として、たとえば以下が挙げられる。
- 「日常生活リスト」の具体的な実現事例を集める
- タスケニストに共通して意識している行動や考え方などを言語化し、わかりやすくまとめる
- タスケニングのベースとなっているタスク管理の概念、テクニック、ツールについてわかりやすくまとめる
日常生活リストの実現例
「日常生活リスト」の実現事例として、筆者の例を端的に紹介する。
やることは全部パソコン上でリスト化している。
★画像
やることは日々の家事雑務や情報収集から仕事、趣味の活動まで多岐に渡るが、そのすべてがこのリストに入っている。
リストは「今日やるエリア」と「明日以降やるエリア」に分かれており、私は日々「今日やるエリア」にある「やること」をすべて消化することだけを考えれば良い。
各々のやることは適切なタイミングで出現する。たとえばほこり掃除や床掃除は週に一度だけ出現し、排水溝の掃除は二週に一度だけ出現する。この頻度は自由に変えることもできる。
さしづめ私はこのリストに従って行動するロボットである。リストに従うだけで日常生活が回る。というより回るようなリストを作り込んできた。
この日常生活リストの効用は次のとおり。
- ここさえ見ておけば、忘れない
- ここに「やること」を突っ込んでおけば、失わない
- 今日は今日やることに集中できる
- 今日やらなくていいことは「明日以降やるエリア」に隔離しておく
- これらは明日になったらまた浮上してくるので、その時に考えればいい
筆者のこの手法は Tritask と呼ばれている(筆者自製)。内容はマニアックだが詳細は以下を。
- Tritask について
- Tritask が参考にした概念や体系について
チュートリアルまとめ
- part1 一週間分の掃除作業をタスケニングしてみよう。
掃除というわかりやすい例でタスケニングを行い、忘迷怠を軽減できることを学ぶ。
- part2 今日やることをタスケニングしてみよう。
タスケニングの肝である「今日やること」「それ以外」という分け方を学ぶ。
- part3 大きな仕事をタスケニングしてみよう。
計画を要するほどの大きな「やること」をタスケニングする方法を学ぶ。
- part4 ホームをつくろう。
「ここさえ見ておけば良い」という拠り所をつくることで、タスケニズムを日常生活全体にまで広げる。
- part5: 未来の自分に命令してみよう。
自分自身に指示するように「やること」を書く、という行動によりタスケニズムがやりやすくなることを学ぶ。
- part6: ★リスト。ホームに押し込めないものを別でリスト化して、ホームにはそのリストにリーチするポインタを貼っておくというアプローチ。あと「やること」として扱うべきこととそれ以外のこと(予定、ネタ、連絡待ち、タイニーetc)にも言及したいか?
- Further: ★タスク管理、ライフプログラミング、GTD あたりのリンクをばらばらと
チュートリアル part1
一週間分の掃除作業をタスケニングしてみよう。
効用(Before/After)
Before:
- 掃除をついついサボってしまう
- 目についた時にはホコリ・汚れが溜まっていて掃除も一苦労
After:
- ホコリや汚れが溜まらない程度の頻度で定期的に掃除できる
- いつ、何の掃除をするかは「掃除リスト」を見るだけでわかる
要点
だいたい何曜日に何の掃除をやればいいか、を「日間割」で可視化する。
- 掃除作業に関する「日間割」をつくる
- 毎日「日間割」を見ると、その日にやる掃除作業が書いてある(貼ってある)ので、そのとおりに行動する
- 「日間割」の中身は適宜調整する(別の日に移して分量のバランスを整えるなど)
手順
まずは仕組みをつくろう。
手順 > 掃除作業を全部洗い出す
15分以内で終わる単位で洗い出す。
例:
- リビング床
- 作業机の上
- 作業机の下
- 洗面台
- キッチン排水溝
- 冷蔵庫
- 風呂浴槽
- 靴箱
- ……
洗い出し方は紙とペンでも、パソコンとテキストファイルでも、スマホとメモアプリでも何でも良い。
この洗い出し作業で洗い出される量は、おそらく何十という数になる。1K 24㎡ 一人暮らしの筆者は 20 程度。
手順 > 日間割をつくる
日間割とは「その日にやること」エリアのこと。
たとえば A4 用紙を 7 枚用意して壁に並べる。これで月曜日~日曜日それぞれでやることを表すエリアになる。
日間割の手段は問わない。紙でもパソコンでもスマホでも何でも良い。
手順 > 日間割に「やること」を配置する
洗い出した掃除作業を日間割に配置する。
例1: 紙と付箋
- A4 用紙 x7枚
- 掃除作業を書いた付箋 xN枚
例2: ノートと付箋
- ノート x1冊
- 7ページ分を使う
- 掃除作業を書いた付箋 xN枚
例3: パソコンとテキストファイル(複数ファイル)
- テキストファイル x7個
- 月曜日.txt、火曜日.txt、……
- 掃除作業を書いたテキストファイル
- 掃除作業一覧.txt
例4: パソコンとテキストファイル(単一ファイル)
- テキストファイル x1個
-
■月曜日
、■火曜日
、……
-
- 掃除作業を書いたテキストファイル
★アナログとデジタル、それぞれで画像例出したい。
運用
仕組みをつくったので、運用していこう。
運用 > 日間割に従って掃除する
たとえば今日が月曜日なら、月曜日エリアに書いてある(貼ってある)掃除作業を見て、一つずつ行動する。
いつ、どの作業をするかは自由に決めていい。
例:
- テキトーに選ぶ
- 掃除する順に並べて、なるべく上から順にやる
必ずしもすべての作業を済ませる必要はない。面倒くさいならスキップしてもいい。
運用 > 日間割のメンテナンス > 作業の再配置
たとえば
「月曜日エリアに書いてある(貼ってある)掃除が多いなぁ」
と思ったら、一部を他の曜日に移すことで分量を調整できる。また、
「平日は疲れててあまり掃除できてないなぁ」
とわかったら、土曜日エリアや日曜日エリアに移せば良いだろう。
このように適宜配置を調整すると、より使いやすく馴染みやすい日間割に仕上がる。
運用 > 日間割のメンテナンス > 新しいエリアをつくる
ここまで月曜日~日曜日まで一週間分の日間割を例にしてきたが、人によっては
「月に一度だけ掃除できればいいんだけどなぁ(毎週掃除するのは面倒くさい)」
というケースがあるだろう。
このような場合は、新しい日間割を作る。
たとえば「月に一度だけやる」エリアをつくって、そこに掃除作業を書く(貼る)。
応用問題
掃除以外の「やること」も日間割で管理してみよう。
例:
- 定期的にチェックするもの
- ニュース、YouTube、番組、新刊、その他ブログやウェブサイトや Twitter etc
- 衣食住に関する家事
- 買い物
- 洗濯
- 冷蔵庫や棚の在庫チェックや期限切れチェック
- 整理に関する作業
- 書類整理
- 机上整理
- クローゼット整理
- モーニングルーティンやナイトルーティン
チュートリアル part2
今日やることをタスケニングしてみよう。
効用(Before/After)
Before:
- 「やること」が多すぎて混乱する
- 「あー、まだアレをやってなかった」と忘れ(ワスレ)がよく起こる
- 「えっと、あと何が残っていたっけ」と迷い(マヨイ)がよく起こる
After:
- 「今日はこれをやればいい」が明確なので混乱しない、忘れない、迷わない
- 「今日やることは全部やった」と安心できる
要点
「今日やるリスト(今日はこれさえやればいい)」という明確な区切り・メリハリをつくる。
- 「今日やるリスト」をつくる
- 今日やることは「今日やるリスト」に入れる
- 今日やらなくてもいいことは「今日やるリスト」には入れない
- 「今日やるリスト」にある「やること」が全部終わったら、今日はおしまい
手順
まずは「今日やるリスト」をつくろう。
手順 > 今日やるリストのエリアをつくる
「やること」が書ける場所なら紙でもノートでもパソコンでもスマホでも何でも良い。
「今日やるリスト」は「リスト」とあるが、無理してリストでなくても良い。特に紙やノートを「今日やるリスト」にする場合は、「やること」を自由に(箇条書き以外の書き方で)書くことができる。
運用
つくった「今日やるリスト」に従って日々行動しよう。
運用 > 朝一番でやること
朝一番で「今日やるリスト」に「今日やること」を全部書く。
10 分くらいかかることも珍しくない。むしろ 10 分くらいはかけてじっくりと洗い出したい。可能なら早起きなどをして、何の邪魔も入らない状態で洗い出したい。
「やること」として日々当たり前に行っていることも書いてみると良い。「やること」を並べれば並べるほど「あなたが今日やることのすべて」が可視化され、「これを全部終わらせれば今日は終わりなのだ」という意識とやる気が出やすい。逆に「やること」の記入が少ないと、忘れ(ワスレ)や迷い(マヨイ)も発生しやすくなる。
「やること」が何十個並ぶことも珍しくない。
運用 > 朝一番の後
「今日やるリスト」に書いた「やること」に一つずつ取り組んでいく。
終わった「やること」には印をつけておく。こうすると残りの「やること」がわかりやすい。
どの順番で取り組むかは自由だが、可能なら「上から順番に」などルールを決めると、よりスムーズに取り組んでいける。ただし、そのためには、前の「やること」を洗い出す段階で、順番も考慮しておく必要がある。
運用 > すべての「やること」が終わったら
「やること」のすべてに印をつけることができたら、今日はおわり。
運用 > ? > すべての「やること」が終わらない
Ans: 無理してやらなくても良い。
「今日やるリスト」は「今日やらなければならない」リストという意味ではない。意味は自由に捉えて良いが、「なるべく今日やっておくと良いリスト」くらいに軽く捉えるのが楽。
運用 > ? > 朝一番で「やること」を全部書くのが面倒くさすぎる
Ans: 書かなくても済むよう工夫する
たとえば毎日やることが 10 個あるとしたら、以下のようにする。
- 1: この 10 個は「毎日やることリスト」という別のリストにつくっておく
- 2: 毎日朝一番では「”10 の毎日やることリスト” に従う」という「やること」を一つ書く
こうすれば毎日書く分量は一個で済む。
運用 > ? > 今日はやらないと判断した「やること」はどこに書くか
Ans: 「明日以降やるリスト」をつくって、そこに書く
「やること」の中には
「今日はとりあえずやらなくていいけど、明日やりたい」
このようなものが多数存在する。これらを扱うには「明日以降やるリスト」を別途つくっておき、ここに書いていけば良い。
こうしておけば、明日の朝一番にこの「明日以降やるリスト」を眺めて、(昨日先送りした「やること」を)忘れず認識できる。
応用問題
「今日やるリスト」を一週間運用してみよう。
その後、不便だと感じたことや困っていることなどを挙げてみよう。
「今日やるリスト」はタスケニズムの心臓部である。タスケニズムとは、いかにしてこの「今日やるリスト」を使いやすくするかと言っても過言ではない。そのためには様々な考え方やテクニック、ツールに頼ることになるが、とりあえずは今回挙げてもらったことを解決する方向で進んでみると良いだろう。
チュートリアル part3
大きな仕事をタスケニングしてみよう。
効用(Before/After)
Before:
- やりたいことがあるけど、何から手を付けていいかがわからない
- 前々からやりたいと思っているけど、重たい腰が上がらない
- なんとかやれたけど、振り回されてばかりで疲弊した
After:
- やりたいことを達成するために、何をどの順番でやればいいかが見える
- 何をどの順番でやればいいかが見えるので、安心感がある
- 何をどの順番でやればいいかが見えるので、毎日少しずつ無理なく進められる
要点
細分化(ブレイクダウン)する。
手順
ブレイクダウンリスト(細分化されたリスト)をつくる。
手順 > やりたいこと(大きな仕事)を選ぶ
あなたがやりたいことで、大きな仕事になりそうで、手間暇さえかければ問題なくできそうなものを選ぶ。
例:
- 引っ越し
- PC やスマホの移行
- 旅行
- 電子書籍の執筆
なるべく締切が無いか、ゆとりのあるものが良い(チュートリアルとして無理せず扱いやすいから)。
手順 > 第一分解(洗い出し)をする
その「やりたいこと」を達成するのに必要な作業、行動、条件、道具などを思いつく限り挙げてみる(洗い出してみる)。
洗い出しに使う手段は紙とペンでもパソコンでもスマホでも何でも良いが、あとで表記修正と分類が行える手段が良い。アナログの場合、付箋のように「付け替えできるもの」が必要。
洗い出される項目数は何十個、何百個あっても珍しくない。
洗い出しには少なくとも 30 分、できれば一時間以上かけたい。
洗い出しは集中して行う。割り込みも疲労もない状態でやりたい。テレビやスマホは全部切る。
洗い出しが行き詰まっても諦めずに、落ち着いて考えてみる。特に実際に自分で行動してみるところまで想像してみると「あ、あれが足りない」と思いつきやすい。
手順 > 第二分解(グルーピング)をする
洗い出したものをグルーピングする。グルーピングとは「A と B は、C に必要な作業だから C の中に入る」のように、依存関係を包含関係で分類すること。
グルーピングの手段は何でも良い。アナログの場合、関連する付箋を固めて(あるいは並べて)配置することになるだろう。デジタルの場合、インデントを用いて並べることになるだろう。
インデントによるグルーピング例:
C には A, B が必要。
D には F, G が必要。
G には H, I, E が必要。
C
B
A
D
F
G
H
I
E
グルーピングしづらいもの、できないものは無理してグルーピングしなくても良い。
手順 > 第三分解(順番付け)をする
グルーピングしたものに順番付けを行う。順番付けとは「A と B と C は、C → A → B の順でやらなきゃいけない」のように、実行の順序を表現すること。
順番付けの表現方法は何でも良い。典型的には「上からやる」「左からやる」のようにルールを決めた上で配置する。
順番付けとは「この順番でやらなきゃいけない」だけではなく「この順番でやったら楽だ」や「別にどの順番でやってもいいけど、散らばってるのも見づらいからこの順番にしちゃうか」なども含む。
順番付けは、行えば行うほど楽になる(順番に従うだけで先に進んでいけるから)ため、できるだけ行うことを推奨する。しかし無理して順番付ける必要はない。
手順 > 第四分解(締切設定)をする
順番付けしたものに締切設定を行う。締切設定とは「A は 2019/09/03 までに完了しなければならない」のように、締切情報を付与すること。
締切設定の方法は何でも良い。
締切設定方法の例:
- 締切を持つ項目に締切日を併記し、何らかの色や記号で強調する
- 「2019/09/03 までに完了させること」のように、締切を意味する項目を用意し、これを親にしてグルーピングする
締切は慎重に洗い出すこと。締切を破ってしまうと「やりたいこと」全体の完遂が破綻しかねない。
締切が無い場合でも、事実上締切が存在することがあるため、判明次第、記入すること。たとえば引っ越しにおいては、「前住居の荷物を引越し業者に託す」と「新住居への入居が可能になる」には期限が存在し、かつこれら入居日と引き渡し日には依存関係が存在する。これは締切として管理するべきである。そうしないと「荷物が新住居に届いたのに、まだ入居可能になっていない」という事態が生じてしまう。
締切が無い場合でも、全く期限がないと怠けてしまうため、適当に定めると良い。たとえば「今年中に全部終わらせる」「ここまでは 10 月以内に終わらせる」「ここは 9 月中にやる」のように、自らマイルストーンを設定する。これは特に旅行や書籍執筆のように、自主的に始めることにおいて効力を発揮する。
手順 > 第五分解(実行日設定)をする
締切設定したものに実行日設定を行う。実行日設定とは「A は 2019/09/03 に、B は 2019/09/04 に実施しよう」のように、実施する日を決めること。
実行日設定の例:
- 2019/09/03 は 6 項目、2019/09/04 は次の 5 項目をやろう
- 今週は忙しいから、週末に 30 項目くらい集中的にやろう
- とりあえず一日 3 項目ずつやることにしてみるか、問題が出たらその時また考えよう
実行日設定の手段は何でも良い。典型的には日ごとの領域を確保 → そこにその日にやる項目を入れる、という手順を踏む。アナログの場合、紙一枚やノート一ページを一日分の領域するだろう。デジタルの場合、テキスト記入領域を ■2019/09/19
のように日ごとで区切るだろう。
実行日設定は、無理して行わなくても良い。全く行わなくても良い。ただし、やれば楽になることが多いので、ぜひ挑戦してほしい。
締切と実行日の違いは、締切は「必達」のニュアンスがあるのに対し、実行日は「努力目標」のニュアンスがあること。実行日は必ずしも守る必要はなく、むしろ状況次第では「明日にするか」とスキップすることも少なくない。
実行日のメリットは「今日はこれだけやれば良い」という段階的な安心感を保証することである。もし実行日を設定しなかった場合、「今日はどこまでやればいいんだろう」ということがわからず日々ストレスになる。
手順 > 見直しと手直しをする
ここまで洗い出し、グルーピングし、順番付けし、締切を設定し、実行日を設定した。これを「ブレイクダウンリスト」と呼ぶ。
ブレイクダウンリストを見直して、さらに手を加える。たとえばおかしい部分を手直ししたり、新たにひらめいた項目を書き加えたり、要らない部分を消したりする。
運用
運用 > ブレイクダウンリストに従って行動する
最初にやる項目(上から/左から等)から一つずつ実施していく。実施を終えたら、終えた印を付ける。
無理して順番に従う必要はない。たとえば「今日はこの辺をやってみるか」のように、どこから手を付けるかを気分で決めても良いだろう。肝心なことは、毎日少しずつ、一つずつ実施し終えていくことである。
実施の過程で「あ、これが抜けてる」や「状況が変わったから、これは要らないな」などがあったら、適宜ブレイクダウンリストに手を加える。一般的にブレイクダウンリストは激しく変化する。
運用 > ブレイクダウンリスト全体を見直す
最低でも週に一度はブレイクダウンリスト全体を見直し、問題が無いかを考えてみる。特に締切に着目して、各締切に間に合いそうかどうかという観点が重要。
問題が無い場合はそのまま継続するか、日々の負担が多い場合は実施ペースを落としても良い。
問題がある場合は、問題を解決できる程度に実施ペースを上げる。
理想は「見直し作業をしても問題が生じない」ことである。これは状況が安定していることを意味する。ただし無知や見落としがひどい場合、終盤になって「この作業が足りない!」と大量発生することもある。このようなリスクを軽減するため、ブレイクダウンリストは早め早めに着手してしまうことを推奨する。
運用 > 序盤はハイペースで行動する
序盤をハイペースで行動すると、計画時には見えなかったことがたくさん見えてきて、より精度の高いブレイクダウンリストに仕上げることができる。
これは特に「いまいち全体像が見えない」「ブレイクダウンリストがまだスカスカ(十分な情報量でない)だ」といった場合に効力を発揮する。計画だけでは限度があり、実際に行動してみることが大事なのである。
応用問題
- 問題1: ブレイクダウンリストによる運用を三回試してみよう。
- 問題2: 以前使ったブレイクダウンリストを見直し、反省や振り返りをしてみよう。また余力があるなら再利用できるように整えてみよう。
チュートリアル part4
「ここさえ見れば万事 OK」という拠り所をつくろう。
効用(Before/After)
Before:
- 部分的にはタスケニングできているが、できていない部分も多々あり、まだまだ忘迷怠が多発する
- 朝一番で今日やることを洗い出しているが、時間がかかりすぎてしまい正直面倒くさい、サボることも多い
- ふと思いついたアイデアや「やること」を上手く捉えられず、よく忘れる
After:
- 忘迷怠がほとんど発生しなくなる
- 朝一番の洗い出しが 10 分以内、何なら数分以内で終わる
- 思いついたアイデアや「やること」も漏れなく捉え、適切なタイミングで処理できる
要点
ホームという「ここさえ見ておけば忘迷怠は起きない」エリアをつくる。
- ホームとは「今日やるリスト」を拡張したもの
- Before: 今日やるリスト
- After : 今日やるもの、明日以降のどこかでやるもの、明日以降のこの日にやるもの
- ホームはデジタルな手段で実現する
- ホームにはあなたが普段行っている「やること」を全てを入れる
- あなたの生活はホーム起点になる
- 例: 朝起きる → ホームを見る → やることを一つ済ませる → ホームを見る → やることを一つ済ませる → ……
- このような生活が成り立つようにホームを日々メンテナンスする
手順
ホームをつくる。
手順 > 普段行っている「やること」を洗い出す
あなたが普段行っている「やること」(※1)をすべて洗い出す。
※1 以後これを「定期的にやること」と呼ぶことにする。
洗い出す手段は何でも良いが、あとでデジタルツールを使うためパソコンまたはスマホが良い。
洗い出す際は、「やること」と「その頻度(@3で3日ごと)」を書くようにする。たとえば「トイレ掃除 @7」「買い物 @2」「筋トレ(腹筋/背筋/腕立て) @4」「朝の薬 @1」「夜の薬 @1」
洗い出す際は、あなた自身の一日を起床から就寝まで細かく振り返ってみると良い。ちなみに平日、休日、曜日などによっても行動に違いがあることが多い。
洗い出す項目の数は数十を超えることも珍しくない。100、ひょっとすると 200 を超えることもありえる。
洗い出す項目の数が 300 を超えることは通常ありえない。300 を超えてしまった場合、よほど多忙であるか、あるいは細かく洗い出しすぎている。後者の場合は、もう少しまとめてみよう。たとえば「トイレのふた掃除 @4」「トイレの便座掃除 @4」「トイレの床掃除 @4」「トイレの便器掃除 @4」は、一見すると 4 項目だが、「トイレ掃除 @4」の 1 項目に圧縮できるかもしれない。
「定期的にやること」は専門的には「ルーチンタスク」という名前で知られているため、このキーワードで検索してみると実例が見つかることがある。
実例:
- 朝のルーチンタスク・リストをアップデートしたので晒してみる - No Second Life
- 毎日のルーチンタスクを棚卸してみよう! - jMatsuzaki
- あなたのルーチンタスクを晒してください - タスク管理に恋してる
手順 > ホームを実現するツールを選ぶ
ホームでは一日何十個という「やること」を扱うため手作業(アナログ)では厳しい。何らかのデジタルツール(※1)を導入する必要がある。
※1 これをホームツールと呼ぶことにする。
ホームツールは以下が広く知られているが、他のツールや手段でまかなえる技量があるならそれでも良い。
手順 > ホームツールに「定期的にやること」を投入する
選んだホームツールを立ち上げ、洗い出しておいた「定期的にやること」を入力していく。
入力の際、「定期的に行う」のように「頻度の設定」に相当するパラメーターがあるはずなので設定する。たとえば「毎日やる」「一週間に一度だけやる」「三日に一度のペースでやる」といった指定が可能なはず。頻度がわからない場合は「とりあえず一週間に一度」など適当で良い。
もしお使いのホームツールに「頻度の設定」パラメーターが無い場合は、ツールを乗り換えるべきだろう。というのも、「定期的にやること」を楽に扱える(一度登録すればあとは自動的に設定頻度で出現するため手作業の再登録が必要ない)ほぼ唯一の方法が、このパラメーターだからである。
いきなりすべての「やること」を入力するのは大変なので、少しずつ行う。たとえば掃除に関する「やること」だけを入力してみる。このようなやり方をスモールスタートという。
手順 > ホームツールに「やりたいこと」を投入する
続いてホームツールに「やりたいこと」を投入する。これは「今日やりたいこと」や「明日以降やりたいこと」なら何でも良い。
いまいち思い浮かびづらい場合は、まず紙とペンあるいはテキストファイルだけ準備して、そこに「やりたいことのうち、やろうと思えば進められそうなこと」を書き殴ってみる。10 分くらい集中して取り組みたい。ある程度洗い出せたら、ホームツールに戻って入力してみる。
運用
運用 > ホームツールに従って行動する
ホームツールを見て「今日やること(今日のタスク)」として表示されている「やること」を全部終わらせてみる。
今日やることは全部終わらせるよう頑張ってみる。ただし愚直に従う必要はない。特に「やること」の分量が多い場合は、一部の「やること」をスキップすれば良い(明日以降に回す)。
運用 > ホームツールを見て振り返る
「今日やること」をすべて終えたタイミングで、ホームツールを眺めながら振り返ってみる。必要ならホームツール上で修正も行う。
振り返りの観点例:
- 今日やったことの分量はどうだったか
- 今日やったことの頻度はどうだったか
- 頻度を長くしても良いものはなかったか
- 頻度が長すぎる(もっと短い方が良い)ものはなかったか
- 明日やることとして何があるか、またその分量は適当か
- 他にやることややりたいことはないか、またそれはいつやるか
- ……
このような振り返りはできるだけ毎日行うのが望ましい。何なら「今日の振り返りを行う」という「やること」を毎日の頻度で登録してしまうのも良い。
このように「いちいちタスク化する」行為は、タスケニズムにおける最重要行為である。タスケニズムでは頭で覚えようとするのではなく、とにかく仕組み(この例ではホーム)に任せる。これを繰り返すことで「自分は何も意識しなくてもいい」「仕組みさえ見れば忘迷怠は起こらない」という状態に近づいていく。
定期的に振り返る行為はレビューと呼ばれ、その重要性は様々な人物や書籍によって説かれている。
応用問題
- 問題1: あなたが欠かさずチェックするべきもの(例:カレンダー, ウェブサイト, LINE etc)を挙げてみよう。これらをホームで管理するためには、どのように入力・運用すれば良いか考え、試してみよう。
- 問題2: チュートリアル part3 で見たような大きな仕事(ブレイクダウンリストをつくるのでしたね)をホームで管理するためには、どのように入力・運用すれば良いか考えてみよう。可能なら試してみよう。
チュートリアル part5
未来の自分に命令してみよう。
効用(Before/After)
Before:
- 新たに「やること」をホームに入力する際の抵抗感が強く、正直言って億劫である
- 以前入力した「やること」を今見ているが、まるで意味不明である(何のために書いたのか・何をすればいいのかが読み取れない)
- 一向に手を付けていない「やること」が何個も何個も溜まっていく
After:
- 必要な「やること」を必要に応じてすぐにホームに入力できる
- 以前入力した「やること」を今見ても、何をすればいいかがすぐわかる
- 手を付けていない「やること」を溜めることなく、日々少しずつ前進していける
要点
「やること」を未来の自分に命令するよう具体的かつ命令的に書いておくと、(未来の自分が見ても)わかりやすいため、すぐに行動に移せる。
- 「~~を使って、~~に、~~をする」のように具体的に書く
- 「~~を見て対応しろ」のように、見るべきものや使うべきものを明示的に書く
- 「~~したいので手始めに~~について調べてみようや」のように、なぜそれを行うかという背景を書く
手順
手順 >
★手順というか具体例の羅列くらいしかできそうにないが…… / 他のチュートリアルと揃えて手順っぽく書きたいのだが。
今日から毎日体温を測って記録する習慣をつくりたいとする。
- 体温@1 ← これだと弱い
- 体温計で体温を測る @1 ← わからないことはないがまだ弱い
- 引き出しに入れてる体温計で体温を測り手帳に記録する @1 ← 具体的だが少しくどい
- 引き出しから体温計を出して机に置く @1 / (2分ほど時間確保して)測る、手帳にも記録する @1 ← 心理的にやりやすい
↑ こんな感じ?
運用
運用 >
運用 > ? >
応用問題
●template
# チュートリアル partXXX
## 効用(Before/After)
Before:
- ...三つくらい
After:
- ...三つくらい
## 要点
## 手順
### 手順 >
## 運用
### 運用 >
### 運用 > ? >
## 応用問題