ガントチャートの諸悪の根源

それは以下をいっしょくたにしていることだと思う。

この性質上、以下の制約が生じる。

この制約により、以下の弊害が生じる。

この弊害により、ガントチャートは「みんなが頼るべき唯一の拠り所」という役割を失う。どころか「とりあえず更新しなければばならないもの(しかも編集が面倒くさい)」として時間を奪う存在にもなる。

どうすればよいか

いっしょくたにした役割を分離すれば良い。

以下のようにする。

順に例を見ていく。

どうするか > WBS

WBS の例を以下に示す。

WBS はあくまで「全体を俯瞰する」用途に留める。進捗共有や議論時に使う「共通言語」と言い換えても良いだろう。ここに余分な情報は書かない。書くから混乱する。

ただし、見やすさのために少しだけ反映するのはアリだ。

上記は終わった(x)、いったんスキップ(s)、着手中(>)を付与している。

どうするか > 各タスクの細かい状況

BTS で管理するのが好ましい。

BTS を使えば 1-Task 1-Page を実現でき、あるタスクに関する事柄はそのページ内にまとめておくことができる。タスクの担当者はここで検討ややりとりを行いつつ、適宜要約もアップデートする。

BTS にはタスクを一覧表示したり、かんばんで視覚的に並べられるものもある。用途に応じて活用することになるだろう。

個人的には GitXub Issues をおすすめする。GitHub Issues や GitLab Issues などがある。どちらもエンジニア向けに高度に最適化されたツールであり、使いやすさと動作の軽さは他の追従を許さない。ただし「かんばん」機能にはあまり強くない(かんばんはなくても一覧があれば問題ないと私は思うが)。

しかし、GitXub 系は(知らない人には)ハードルが高いため、もうちょっと優しいツールが欲しいならば、Trello や Microsoft Planner など「かんばん」を推したツールを使うのが良いだろう。

どうするか > 端的なサマリー

管理者または全員が把握するべき状況は「端的に」別途まとめるのが良い。

たとえば以下のようにする。

■サマリー
last updated: 2020/02/04

状況:

- スケジュールの遅れは無し
- 懸念
  - 機能3が技術的に難しいかも(2/6までに見解展開予定)
  - Aさん、祖父入院によりインパクトあるかも
  - 開発用 AWS アカウントの請求料金が高い(既に上から怒られてます)
  - 事業部内向けモンキーテストはそろそろ打診すべきでは?

この程度で良い。サマリーは本当に端的で良い。余計な詳細は一切要らない。詳細は各自が BTS なりコミュニケーションツール(健全な企業なら Slack が使えるはず)を見る、また各担当者はこまめに記入していく、とすればよい。つまり非同期的な共有を基本とする。

管理者については、そもそも詳細を知る必要さえない。必要ならヒアリングして(高度な判断を下すための)情報収集をすることはあるが、常に行うことはない。まして定例会議などで毎回説明させるのは愚の骨頂だ。貴重な時間を、実作業者でない管理者のために費やすなど(基本的には)馬鹿げている。

おわりに

今回はアンチガントチャートを掲げ、三つの役割に分割した代替案を提示した。

とはいうものの、この代替案を運用するのは簡単ではないだろう。私であれば、どういうツールやフローを使っていけばいいかがわかるし、試行もしていけるが、おそらく大半の方はそうではない。

このあたりの「手段や運用の話」も別途必要そうか。