かんばん式のタスク管理を使い始める前にやるべきこと
それはゴールツリーをつくることだと思う。
(用語)ゴールツリーとは
- チームの直近のゴールを決める
- ゴールに必要なタスクを階層関係で洗い出す(★これが ゴールツリー)
- この段階では「たたき台」
- 洗い出した「たたき台」をもとに議論・修正を行い、全員の認識を合わせていく
ここまで終わった後で、ようやくかんばんツールの出番。
(用語)ゴールルートとは
ゴールツリーがあらわす「ゴールまでの道筋・道のり」を ゴールルート と呼ぶ。
そもそもかんばんの役目とは
かんばんの役割は「誰がどのタスクを担当しているか」「進捗はどうなのか」を俯瞰するところにある。
言い換えると、タスクがはっきりしていない段階では意味がない。ゴールルートが決まっていないことには進捗も俯瞰もクソもないのだ。
かんばんを使い始める前に、まずはゴールルートを合わせねばならない。
(例外)いきなりかんばんを使っても良いケース
それは以下をすべて満たした場合。
- メンバーが少人数(5人以下)であること
- メンバー全員の実力・地頭に大差がないこと
- メンバー全員が既に直近のゴールについて知っており、その実現方法にも見当がついていること(加えて誰が考えてもおおよそ似た見当になること)
この場合、ゴールルートは各自が頭の中で構築できる上、それ(自分の脳内にあるゴールルート)はメンバーにも伝わる。伝わらないにしても、認識の齟齬は軽微であり、口頭やかんばん上で修正できる。
FAQ
Q: 不確定要素が多すぎてゴールツリーをつくれない場合は?
仮説でいいので、できるところまでつくります。その後、かんばんにてタスクの可視化を行い、各自タスクを消化していきましょう。
状況が見えてきたら、また改めてゴールツリーをつくりなおします。
Q: ゴールツリーをつくりなおした後、かんばんに入れたタスクはどうするの?
引き続き「今のツリー」に残っているものはそのまま残しますが、「今のツリー」と関係ないタスクは削除します。
手作業でつくったタスクを消すのは忍びないかもしれませんが、あっても邪魔なだけなので、思い切って消しましょう。
Q: ゴールツリーの「ゴール」とはどのような粒度ですか?
ゴールとは直近実現したいことです。
直近の定義はお任せしますが、半年以内や二ヶ月以内など比較的短くなるはずです。一年だと長過ぎですね。
Q: 一年以上など「それなりに先」のゴールツリーもつくりたい場合は、どうすればよいですか?
ゴールツリーにゴールツリーを持たせるように構築します。
たとえば「将来的に達成したい目的」が一つあり、「そのために必要な目標」が五つあったとしたら、目的の下に「目標をゴールにしたゴールツリー」がぶら下がる形になります。そして、直近では、「目標をゴールにしたゴールツリー」のうち、最も重要なものを一つ選んで取り組むのです。
つまり、こういうことです。
- 将来的に達成したい目的
- 必要な目標1
- 必要な目標2
- 必要な目標3
- 必要な目標4
- 必要な目標5
- ……
- ……(ここが目標5のゴールツリー)……
- ……
Q: 「最悪やらなくてもいいが、できればやりたい orやっておきたい」ようなタスクはゴールツリーで管理しますか?
いいえ、管理しません。
ただし後で参照できるよう、どこか一箇所に溜めておく(これを バックログ と呼びます)ことをおすすめします。
一つ気を付けたいのが、バックログに溜めただけでは意味がないということです。バックログはたまには見返してやる必要があります。見返すタイミングは任せますが、確実にやりたいならゴールツリーに含めるのが良いでしょう。
個人的なおすすめは、「Aについて各自10分でひとりブレストしてみる」というタスクをツリーに入れておくことです。10分程度ならスキマ時間にできますし、ひとりなので自分のペースで進められます。たった10分ですが、それでも何もせず眠らせておくよりははるかにマシです。
ブレストの結果ですが、全員が自由に読める場所に置いておきます。これは各自が読んで、必要なら振り返りの時に議題にします。
Q: 振り返りや進捗確認はどのように行うのですか?
週に一度、など定期的に行うようにします。
- 各自の進捗をゴールツリーベースで簡単に報告
- ゴールツリーはこのままで良いか、良くないならどこを修正(追加・削除・変更)するべきか
- バックログについて、気になるネタはないか
確認は対面である必要はありませんが、「メンバー全員が最新のゴールツリーを理解している」状態を維持できるようにしてください。