パターン:手札の熟読
サマリー
- 会社の制度を熟読するレベルで把握しておくと役に立つことがある
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背景とアプローチ
- 合理的配慮を得たい ASD 部下とそれを認めない上司との衝突はよく起きるが、通常平行線になる
- 上司側には様々なハードルがある。たとえば:
- 1: 立場上、個別の配慮を認めるわけにはいかない。平等指向的価値観+その世界のマネージャーなのでなおさら
- 2: インセンティブがない。利益を出すわけでもなく、自身のキャリアにつながるわけでもないため旨味がない
- 3: モチベーションがない。仕事やマネジメントがしたいのであって、障害者の配慮なんて想定してないし興味もない
- ハードルを軽減するためには?
- 👉️一案として会社の制度という手札を把握する、が挙げられる
アプローチ詳細
- 前提として、合理的配慮≒働き方や過ごし方に関する配慮 である
- このドキュメントでも強調してきた
- 🐰もちろん「どんな仕事や役割を任せるか」という配慮も重要ですが、結局働き方と過ごし方が合わないと何もできません
- 働き方や過ごし方の大部分は会社が規定する
- 逆を言えば、会社がサポートしている部分を理解できれば、適切な配慮も考えやすくなる
- 手札の熟読とは:
- 働き方や過ごし方に関する制度、ルール、ガイドライン、事例、サポートその他会社が整備しているもの(手札 と呼ぶ)を把握すること
- 1: どんな手札があるかを把握する
- 2: 各々について熟読する(一字一句読み込んで理解する)
応用
- 手札の熟読を行う場所――特に書きながら勉強や議論をするための場所をつくる
- ASD 部下と共同編集する
- ノート、ボード、ウィキ、チケットなど
- 👉️QWINCS
- ASD 部下との対話は、手札を使って行う
- ASD部下が話す場合の例:
- 「フルフレックスは上司さえ許可すれば可能なので、あなたが許可するだけです。恒常的な許可を要求します」
- 「出社は全社的には週一以上となっていますが、この公式ガイドラインにもあるとおり、推奨ですので従わなくてもいい。私に関しては月一に緩和してほしいです」
- 上司が話す場合の例:
- 「障害者手帳があれば会社としても手厚い配慮をしてもらえるみたいだけど、どう考える?」
- 「キャリアアドバイザー制度があって、発達障害の社員の事例や知見も持っているかもしれない。話聞いてみない?」
- 特に議論のとっかかりになる
- ASD部下にとっては「会社としては可能」と言える
- 上司にとっては「頼れそうなものがあるから頼ってみないか」と言える