koan(公案)
koan(公案)
定義
- 禅宗における問答、または修行僧に与えられる課題
- すぐれた禅者の言葉や動作を記録したものを、坐禅する者に与え、悟りを得る対象とする
- 臨済宗では一千七百則あると言われる
由来(語源)
- 「公府の案牘(あんどく)」の略
- 公府 = 中国の役所
- 案牘 = 公文書
- 公文書が万人の遵守すべき絶対的権威であったように、禅門では仏祖の言句・動作・問答もまた修行者がよるべき仏法の至理のたとえとされた
- つまり「公的に定められた、絶対の参照点」というニュアンス
歴史
- 中国・唐代に語録として記録され始める
- 宋代に臨済宗で盛行
- 師家が学人を悟道に導くために公案を示し、工夫参究させる禅風が確立
- 五祖法演禅師の頃に「公案禅(看話禅)」として体系化
- 英語圏でも
koanとして通用する語になっている
仕組み・目的
- 一見、逆説的・不可解な問いや物語を、瞑想・観照の道具として使う
- 目的は、通常の概念的思考の枠を破ること
- 分析的知性と自我的意志を消耗させ、直観的なレベルでの応答を準備させる
- 「解く」ものというより、「解こうとする営みを通じて何かが起きる」もの
- 弟子は師から与えられた公案を、何度も角度を変えて検討し続ける
有名な例
- 「隻手の音声(せきしゅのおんじょう)」
- 片手で打つ拍手の音はいかなるものか
- 「狗子仏性(くしぶっしょう)」
- 「犬に仏性はあるか」と問われ、趙州が「無!」と答えた話
- 「父母未生以前の本来の面目」
- 父母から生まれる前の、お前の本来の顔は何か
このwikiでの参照文脈
関連しそうな概念
- Geed(ジード)
- ソクラテスの問答法(答えを教えず問いで導く)
- 開かれた問い(open-ended question)
- enigma / riddle との違い
- riddle は「正解がある謎」
- koan は「正解の有無自体を超える装置」
参考
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E6%A1%88
- https://kotobank.jp/word/%E5%85%AC%E6%A1%88-61378
- https://www.britannica.com/topic/koan
- https://www.lionsroar.com/buddhism/koan/