「14時にあがるんで、その15時からの会議は参加できないですね」
うんざりする。 なぜこの程度も通じないのか。
フルフレックスが許されてるのに。 フルリモートもできるくらいのデスクワークなのに。 なぜこの程度の融通も利かないのか。
技術《テクノロジー》はある。 方法《メソドロジー》もある。 なんならつくれるし、議論したっていい。
もう揃ってるんだよ。あとはやるだけなんだよ。 なぜわからん?
……わかってる。
現代に蔓延る、いくつかの宗教のせいだ。
忙しい教――多忙であることと。 一般人教――自分を取るに足らないとみなしていることと。
多忙だからそもそも動けないし、仮に動けたとしても出そうとしないし発揮しようともしない。
脳内に浮かんでるものが山程あるだろう? なくても生み出すことができるだろう? なのに何もしやがらない。 舐めるなよ。 たかが自分ごときが自分を舐めてんじゃねえよ。
出せ。 まずは多忙を何とかするぞ。
多忙だと何もできねえんだよ。 上手くいかない理由はどうとでも語れるし、語られるが、そもそも単に多忙なせいで費やせてないからだよな。 費やせないなら何もできない。当たり前のことだ。 幼稚園児でもわかることだ。
まずは多忙なんだよ。何とかするぞ。 そのために出せ。 みんなで出して、こねるんだ。 そしたら見えてくるさ――余裕という名の希望が。
余裕さえ手に入ったら、あとはどうとでもなる。 みんなの化学反応で、世の中なんて良くなっていく。
変人だろうが狂人だろうが知ったことか。 私は間違ってない。
信者達の目を覚まさねばならぬ。 そのために私は行動してきたし、今もしているし、今後もやる。
異分子? 異端児? 上等だぜ。
……ああ、わかってる。 よーくわかってるよ。
私が相手にしているのは文化だ。 一個人に務まる相手じゃない。
それでもやるんだよ。 私は自分を舐めてないし、世界も舐めてない。 私こそが蝶かもしれないじゃないか……。
今日も私は行動して、衝突して、無視されて。 歯噛みと涙を押し殺しながら、技術と方法を紡ぐ。