書籍『WHITE SPACE ホワイトスペース―仕事も人生もうまくいく空白時間術』で扱われている「具体的なテクニック」を整理します。
ホワイトスペースの基本をおさらいしておきます。
何もしない時間のこと。
短くても長くてもいいです。5分でも1時間でも。
心の平穏と創造性を取り戻すため。
それらを食い潰している犯人が「忙しさ」であり、これを減らすためにホワイトスペースが必要だからです。
多忙な現代人では、勝手には発生しないので、意識的に捻出する必要があります。
そのために本書の様々な考え方とテクニックが使えます。これらを使って、少しずつでもこじあけるのです。
その際、自分が捻出するだけでも重宝しますが、結局組織に足を引っ張られるので、組織全体に捻出させる(周囲から少しずつ広めていく)動きもしていくことが推奨されています。たとえば同僚や上司におすすめしてみる、などですね。具体的なテクニックを教えた方が通じやすいと本書は説きます。
合間に差し込む小休止。
ウェッジの例
長いウェッジの例は、「寝かせる」や「祝う」です。
下書きやアイデアを一日寝かせるとアラが出てくる、というのは良く知られています。また、プロジェクトが終わった後、すぐに次の仕事に取り掛かるのはあるあるですが、素直に祝いましょう。
特に人間は誕生日を始め、節目を大事にする生き物ですが、節目を尊重することを意識すれば、これら長いウェッジは自然と取り入れられると思います。
そこそこなウェッジの例は、たとえば会議と会議の間に5分~10分を差し込むことです。
これくらいの時間があれば、ちょっと休んで頭をリフレッシュできたり、前の会議の内容を振り返って咀嚼したり、あるいは次の会議で言うことを整理したりできます。
休む間もなく、次の会議次の会議と参加して、疲れた頭で反射的に答えるよりもはるかに良いでしょう。仕事としても、自身のメンタルとしても。
このウェッジを確保するためには、前後の予定の時間を少し短くします。仮に会議1→会議2→会議3と連続する場合、
はあるあるですが、少し縮めて45分にします。
15分縮めてるので、15分のウェッジが生まれるわけです。当然ながら、これを行うためには会議の関係者全員にホワイトスペースの概念を知ってもらう必要があります or あなたがリーダーやマネージャーであれば、サクッと導入してしまうことも可能でしょうが。
短いウェッジの例は、「一呼吸置く」ことです。秒数にすると数秒から10秒くらい。
たとえば投稿ボタンを押す前、誰かにその場で言い返す前、あるいは休暇中に仕事のチャットやメールを開こうとする前など。反射的に飛びつくのではなく、グッと堪えて一瞬でも踏みとどまることによって冷静になれます。
そんな高尚な精神は持っていない、という話ではなく、単に数秒程度空けるだけです。空けさせすれば、勝手に冷静になります。
本書では「考えにふける時間」が紹介されていました。
これは毎日8:00~9:00を、ひとりで考えにふける時間に充てるというものです。学校でも朝の読書時間があったと思いますが、あのイメージで、全員に強制させるレベルで導入します。
これは一例で、時間帯の名前、開始時間と終了時間、開催頻度などは自由に設計すればいいでしょう。
本書には書いてませんが、起床して間もない方が頭がリフレッシュしているので朝、あるいはフレックスな職場であるなら全員が集まるコアタイムの最初が良いと思います。
このような「何とかタイム」は、昔からちらほら見られます。トリンプのがんばるタイムは有名ではないでしょうか。ホワイトスペースタイムは、ホワイトスペース的な何とかタイム、ということができます。
がんばるタイムはとうにやめているようです。その理由はおそらく、融通を利かせなかったからでしょう。「毎日8:00~9:00にやるんだ!」と決めたら、何が何でもそれを押し通そうとするのはあるあるですが、違います。
必要に応じて修正したり、どうしてもできない人を例外的に認めたりしてもいいのです。ホワイトスペースタイムに限ったことではないですが、融通を利かせるための微調整を怠らないでください。何事にもメンテナンスは必要です。ここを怠ると形骸化するのは当たり前です。
細かい管理や指示を行わず、全部丸投げして任せてしまう、というものです。
前提として、丸投げされた側に十分なリソースがないといけません。たとえば、しばらくの間、100%でこの仕事に集中できる、などです。
ホワイトスペースというと、忙しさの合間に空白を確保するニュアンスが強いですが、実は「自分が自由に使える時間」をどかっと確保して渡すことも含まれます。
なぜかというと、こうすれば本人は自分で自由にホワイトスペースを取れるからです。
8時間しっかり働くことが重要なのではありません。成果が出るなら、別に休憩が4時間くらい差し込まれていても問題ないわけです。ただ、建前上は「4時間くらい休憩してもいいよ」というわけにもいかないので、自由な時間をたくさん与えて「あとはそっちで上手くやれ」とするのです。
特に日本は真面目で融通が利かない人が多かったり、管理する側がやたら監視したがる(つまり幼い)ので、こういう発想がしづらいです。本書でも軽く流されている程度ですが、重要だと思います。
ERの看護師は、その辺のビジネスパーソンよりもはるかに忙しい仕事ですが、それでもホワイトスペースは確保できます。
手洗いです。手洗いを念入りにすることで、つかの間のウェッジを確保できます。
一般化すると、仕事における準備期間をウェッジにすると言えます。もしいたずらに居座って粘ることで良心が痛むというのなら、念入りに準備をしているのだ、と考えましょう。
また看護師の例ですが、患者に対して「毎日~時に巡回しますね」と決まった時間に来る旨を伝えると、ナースコールの乱用を軽減できるそうです。
つまり、巡回予定が組まれたことで、患者側もそこでやればいいとわかるので乱用が減ります。
一般化すると、巡回を導入すると言えるでしょう。言葉にすると大げさですが、すでに定例会議はよく知られています。アットランダムで来られてもうっとうしいので、ここでやる!とタイミングを決めてしまうわけですね。
ランダムにくるというのは、いわば割り込みのようなものです。いつ来るかわからないし、ともすると伸びがちなので、ホワイトスペースは乱されるばかりです。なので、そういうのを廃して、巡回を導入してそこに集めましょうというわけですね。
人に対して「後で言えばいいこと」を書いておくリストです。
人ごとにつくります。6人にいるなら6リストです。ファイルは分けてもいいですし、1ファイルに6人分のリストを並べてもいいでしょ。やり方は問いませんが、とにかく人ごとにつくります。
※イエローというのは、メールなどで使われるラベルの色です。黄色は警戒色で、赤色(緊急)ほどでないが注意はしておきたいニュアンスがあります。
イエローリストの肝は、その場ですぐ言ったり、気になるのでとりあえず言うかと思って言ったりするのではなくて、ぐっと堪えて手元で書いておくだけにしておくということです。
というのも、言いたいというのは「自分の都合」であることが多く、実際言ってしまうと問題が起きがちだからです。ぐっと堪えて、手元に書いて少し寝かせておけば、
「言わなくて正解だったな」 「今喋ってる内容、あの件じゃん(無理に聞き出さなくて済んだわ)」
などと勝手に解決することがあります。
わかりづらいので補足したいですが、そもそも現代人は皆それなりに忙しいです。でも言いたいことはたくさんあります。だからといって何でもかんでも言っていては収拾がつきません。イラッとしたりもするでしょう。
かといって何も言わずに、忘れてしまうのもよくありません。必要なことだと思うからこそ、言いたいわけですから。
そこで折衷案として「とりあえず書いておく」とするのです。それでしばらく寝かせてみて、やっぱり言うべきだと思ったなら言えばいいのです。しかし、たいていは杞憂や余計なお世話で済みます。
本書ではSBH(Shouldn’t Be Here)として紹介されていますが、会議中に「ここにいるべきではない」と唱えることです。声に出すのではなく、心の中でつぶやきます。
その目的は、要らない会議を減らすこと、特に自分にとって不要な会議に参加することを減らすことです。
会議はホワイトスペースを奪う主因なので、減らしたいわけですが、ともするととりあえず参加しがちです。なので、意識的に「ここにいるべきではない」と唱えることで、その気にさせます。
もちろん唱えただけでは何も起きないので、唱えたことで「うん、やっぱり私はいるべきではないな」と確信が持てたら、実際に提案しましょう。
ホワイトスペース本は、何もしない余白時間の重要性を説く本です。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、実際できていない人が多いわけです。だからこそ、具体的なテクニックを使って、少しずつでも試すことで捻出していくことが有効だと思います。