多様性への配慮はまだまだだと感じます。
特に「多様性=典型的な多様性」となっているのが現状で、典型的じゃない人は引き続き配慮されず、苦しんでいます。
この問題を軽減するための考え方とやり方を解説します。
典型的な多様性とは、多様性と聞いて誰が思い浮かべるような性質、特性、状態(特にそれらを持つ人)を指します。ルールとして配慮が組み込まれていることもあります。
例を挙げます。
典型的な多様性は、比較的配慮を勝ち取りやすいです。育児があるので時短しますとか、中抜けしますとか、そのイベントには参加できませんといったことはしやすいでしょう。
※「表向きは配慮はされているが、まだまだ公平ではない」ケースも多いですが、本記事では扱いません。
しかし、多様性は典型的なものばかりではありません。
以下に例を挙げます。
他にも例は無数にあります。名前のついてないものさえあります。
同様の指摘はいくつか存在します。
たとえば発達障害の多様性はニューロダイバーシティと呼びます。
『ニューロダイバーシティの推進について (METI/経済産業省) 』 https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/diversity/neurodiversity/neurodiversity.html
サイボウズでは「目に見える多様性」という言葉を取り上げています。
https://cybozushiki.cybozu.co.jp/articles/m005986.html
配慮とは平等を破って例外を認めることを指します。
仕事では(特に日本の価値観では)平等を課しがちですが、上手くできない人もいます。そのような人に対しては、例外的に免除が必要です。
もちろん、単に免除するだけでは優遇になってしまうので、かわりの貢献余地を探します。それがない場合や、その気がない場合は優遇を受け入れます。優遇とありますが、実際にはそれなりのペナルティが事実上存在します(配慮の必要性を周囲に知られている、仕業績評価で負ける等)ので問題ありません。問題あると考えてしまうのは、平等主義が根強く染み付いている証拠です。
以下の例を見てください。こういった希望に対して、配慮を行えるでしょうか?
おそらく配慮はしない人が多いと思います。
これらの例はまだわかりやすい方です。HSPやASD、また上述ではネットスラングも挙げていますので、納得できる人もそれなりにいますが、実際はこのようなヒントが示されるとも限りません。
最大の争点は、配慮の条件と仕方です。
多様性の議論でよく言われがちですが、何にでも配慮してしまうと何もできなくなってしまいます。また、配慮する内容をステレオタイプで決めつけて行使するのも違います。
ここで使えるのがReject And OpenとDSM(Dynamic Special Measures)です。
Reject And Openとは、
「要求されたその “普通” は拒否します」 「ただし、私はその “普通” を拒否する事情があることを公言します」
とするものです。
たとえばHSPやASDとして配慮されたいなら、HSPであることやASDであることは公言しなくてはなりません。配慮してもらうために、公言をもって誠意を示します。配慮する側も、公言をもって誠意を了承し、配慮を行います。
公言の範囲には議論の余地があります。全社的に公開するのはやりすぎでしょう。カミングアウトと同等の扱いが良いと思います。つまり、
とすることです。
一つ注意したいのが、配慮する側が「いやいちいち許可取るのもだるいし、配慮するのはこっちなんだから知らねえよ、まあいいか共有しちゃおう」などとしてしまうことです。
これは絶対にやめましょう。一発で信頼関係がなくなります。配慮される当人が退職するだけなら(厄介者がいなくなるという意味では)ラッキーと思われるかもしれませんが、より問題がこじれることがあります。要らぬ騒動を起こされたり、ひどい場合は報復されます。公言する事項や本人にもよりますが、センシティブな情報を扱っているのだという意識は持つべきです。
DSM(Dynamic Special Measures)とは、直訳すると動的な特別措置ですが、その場で臨機応変に特別扱いをすることを指します。
この言葉には以下の含意があります。
その名のとおり、動的に行っていく必要があるということです。
よくあるのが「いやもう対応したじゃないか……」と一度対応したからおわりだ、とするパターンですが、これはあまり意味がありません。配慮はその人がいなくなるまで続きます。動的に調整していく要領を覚えてください。
だからといって配慮される側を鵜呑みにすればいいというものでもありません。重要なのは対話とフィードバックです。必要なら第三者も交えて(もちろん本人の許可は取る)、きちんと話し合ってください。
話し合いが苦手な場合は、テキストコミュニケーションや録音・録画も使ってください。対面口頭だけで済ませようとする例は多いですが、上手くいかないことがあります。
配慮の内容については、文書化するなどしてしっかりと定めた方が建設的なことが多いです。口頭で済む場合はそれでも構いません。逆に文書化や言語化が苦手で上手くいかないこともあります。
多様性への配慮において最も重要なのは、配慮する側の知識と想像力です。
というのも、配慮される側がいくら丁寧に説明したとしても、配慮する側が納得しなければ意味がないからです。そして、納得するためには、それなりの知識と想像力を持っている必要があります。
知識については、上記で挙げた例はどれも知っておいた方が良いと思います。
このようなトピックは情報収集が難しいのですが、現状はインターネット上のまとめや、動画で言えばアベプラをキャッチアップしておくと良いでしょう。
https://hattatu-matome.ldblog.jp/
https://www.youtube.com/@prime_ABEMA
想像力については、日頃から想像を働かせてみると良いです。いざ本人からいきなり言われても困惑しますし、立場や価値観などもあって、つい一蹴や否定をしてしまいがちです。
あるいは、その場は上手く濁してやり過ごすかもしれませんが、問題はなくなりません。むしろ配慮していたら防げていた問題が起きて苦労することになります。
そうならないためにも、仮にこういう人が来たらどうしよう、こうしよう、など自分なりに想像しておくのです。もちろん、これだけであらゆるケースに対応できるようになるはずもありませんが、このような心づもりをしているのとしていないのとではずいぶんと違います。
配慮の対象が一人だけなら、その人を例外扱いするだけで良いでしょう。
しかし2人、3人と続いた場合は、個別の対応では苦しくなってきます。契機は2人以上でも3人以上でも良いですが、配慮するべき多様性について、一度腰を据えて議論するべきです。本人を交えてもいいですし、本人を交えずに議論した結果を本人に共有してフィードバックをもらっても良いですが、とにかく腰を据えます。
通常、この過程で組織の問題があぶり出されます。多様性は問題提起の良いサンプルとなることが多いからです。愚直に向き合うと、組織改善そのものに繋がってwin-winになることがあります。
逆に見なかったふりをすると、現行踏襲が継続します。個別の対応を何人に対しても行うのは大変でしょうから、おそらくどこかで破綻します。あるいは配慮する側のキーパーソンが次々入れ替わるという流動が起きたりします。
そういうわけで、組織改善とまでは行かなくとも、n人の多様性を上手く対処できる扱い方は導きたいものです。