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短期記憶が苦手な人(ワーキングメモリーが少ない人)は多いと思いますが、具体的にどのあたりが苦手なのかがわかれば対策できるかもしれません。

あたりをつけるための観点としてワーキングメモリーのABCがあります。

前提知識: チャンクとは

前提知識が一つ必要なので取り上げます。

チャンク(Chunk)とは「覚える事柄の一つ分」を示す単位です。

以下の番号を見てください。おそらくチャンクは 7 になると思います。

では、以下はどうでしょうか。

123-4567のチャンクは 1 か 2 だと思います。「1から順に並んでいる」のような捉え方ができるからです。

次の072-4545は、下ネタがわかる人なら、同様に1~2チャンクで捉えられるでしょう。そうでなくとも、後半は「4545」と覚えやすいので1チャンクで捉えて、前半は1文字1チャンクで、計4チャンクで済むかもしれません。

また、見たものを画像として記憶できる方は、ひょっとするとどの数字であっても1チャンクになるかもしれません。

ワーキングメモリーのABC

ワーキングメモリーのABCとは、チャンクという観点から短期記憶を捉えたものです。

それぞれ以下のとおりです。

短期記憶が苦手な人は、ABCのうち、どこが苦手でしょうか。

もう少し詳細を見ていきます。

A Ability チャンク化能力

なるべく大きなチャンクを捉える能力です。

たとえば、072-4545 を少ないチャンクで捉えられるかどうかです。

容易に想像できるとおり、知っているかどうか、また記憶として定着しているかどうかに左右されます。日頃から下ネタの語呂を使っている人は、ほぼ一瞬で記憶できたはずです。逆に、縁が無い人は覚えづらかったと思います。

apple, peach, banana という単語も、英語を全く知らない人にとっては覚えづらいはずですが、知っている人なら覚えやすいはずです。知っていればりんご(🍎)、桃(🍑)、バナナ(🍌)で3チャンクですが、知らなければアルファベットで覚えることとなり、10 チャンクを軽く超えてしまいます。

やはり短期記憶の良し悪しは、知識がものをいいます。

また、知識として知ってはいても、すぐに引き出せなければあまり意味がありません。この場合、本当に短期記憶を上げたいのなら、その対象、その分野について復習やリハビリをして思い出しやすくするのが良いです。

もう一つ、丸ごと画像化したものを1チャンクにして覚えてしまうという荒業もあると思われますが、本記事では割愛します。

B Bind チャンク束縛力

一度頭に浮かべたチャンクを、そのまま維持し続ける能力です。

集中力や少ない人や注意力が散漫な人は、これが弱いです。 意志が強い人は、これが強いです。

一つの目安はテストでしょう。

定期テストでも、IQテストでも TOEIC でも何でも構いませんが、机について、ただただ問題と向き合う、あのテストです。あの状態で、短期記憶のテストをするとして、ベストパフォーマンスを出せるでしょうか。体調や心配事は問題ないとします。

問題無い人は「楽勝」「まあできる」などと考えます。

一方で、「いやいやできるわけがないでしょ」や「音楽流しながらだとできる」などと考える人がいたら、残念ですが束縛力は低いと思います。

顕著なのは、ADHDの一部に見られる多動性や注意散漫によるもの、あるいは純粋に疲労やストレスや栄養不足などによる低下によるものです。

束縛力をカバーするには二つです。

しかし、脳の特性もありますので、苦手な人はとことん苦手です。ある種、才能のようなもので、チャンク化能力(A)と比べるとずいぶんと残酷だと思います。

C Capacity チャンク容量

チャンクを何個まで覚えておけるか、という話です。

一般的には7±2個か、最近では3~4個との説も聞きます。これらは短期記憶やワーキングメモリーと聞いてまず浮かべるものだと思いますが、ABCにおけるCでしかありません。

すでに述べたとおり、C以外にもAとBがあります

そして、C自体は変えられません。科学や技術が進めば今後はわかりませんが、現時点でCを上げたり下げたりすることは出来ないと思います。できるにしても、おそらくA(チャンク化能力)やB(束縛力)が向上しているだけだと思います。

まとめ

というわけで、短期記憶の無さに悩んでいる人は、ABCの観点で見直してみてください。

といっても、結局誰もが薄々知っていそうな現実を改めて突きつけられただけだと思いますが……。

身も蓋もないことを言えば、そもそも短期記憶が通用しない場面において、短期記憶を鍛えようとするその努力の方向性が間違っていると思います

短期記憶を使わず済むような道具を使ったり、仕組みを考えたり、あるいは向いてないからと離れたりするべきでしょう。単純な例ですが、買い物一つ取ってみても、わざわざ頭で覚える必要はなく、買い物リストを作ればいいだけです。