非同期コミュニケーションとは、お互いを拘束しないコミュニケーションのあり方を指します。
Ans: 負担が高く、融通も利かない従来の過ごし方を軽減できるから。
従来のコミュニケーションは同期コミュニケーションと呼ばれ、お互いを拘束して独占的にやりとりするものです。タイミングが合う(同期している)わけですが、その分、負担が高くて融通も利きません。
仕事だと出社しますし、何か話す場合でも会議の形で会議室や時間を調整したりします。事実上、業務時間中は常に拘束されているようなものです。
一方、非同期コミュニケーションではタイミングが合うことを想定しません。各自のペースで送ったり受け取ったり、また読んだり書いたりすればいいのです。
拘束も必要ないので、より柔軟な過ごし方ができます。たとえば超朝型(6:00~14:30)と超夜型(18:00~2:30)が共存できます。
現代は各自の生活が尊重される時代ですから、非同期コミュニケーションの方がフィットします。フィットできれば、より仕事にも集中できますし、する気にもなります。このやり方にシフトできない組織は、前時代的で搾取的です。
100% 非同期コミュニケーションをすべし!
などと言っているわけではないことに注意してください。必要に応じて使い分けるべきですし、適性や状況に応じて各自のスタンスを尊重するべきです。
ただ、現代では非同期コミュニケーションは軽視されがちです。GAFAM ですら一律に週にn回出社せよ、などと課します。毎日出社する同期的な人もいれば、ほぼ出社しないフルリモートで非同期的な人がいても良いはずなのに通常許されません。
これはつまり、同期コミュニケーションがまだまだ支配的だということです。
非同期コミュニケーションの本質は拠り所のシフトです。
同期コミュニケーションは各自の脳内がオリジナル(拠り所)となっており、Image Based Origin と呼びます。
脳内にオリジナルがある。直接やりとりを重ねながら整合性を合わせていく。
非同期コミュニケーションはそうではなく、オリジナルを外に出します。これを Record Based Origin と呼びます。
お互いが「外に出したもの」を見る、ここに出す
この本質のシフトを理解し、合わせていかなければ非同期コミュニケーションは定着しません。
表面的に使うだけでは意味がないのです。たとえば、せっかくのリモートワークでも結局オンライン会議ばかりするケースはよくあります。
以下の3つです。 ※文化は除きます。
まずはツールが必要です。
コロナ禍でまがいなりもリモートワークが成立し、非同期コミュニケーションを行えるようになったのも、Teams や Slack といったビジネスチャットがあったからです。
LINE などただのチャットとは違い、ワークスペースやチャンネルやスレッドといった情報単位があるからこそビジネス用途に耐えることができたのです。
しかしビジネスチャットだけではまだまだ不十分です。チャットはあくまでもメッセージをやりとりする手段にすぎません。他にも使うべきツールはあります。そもそも様々なツールを必要に応じてつくったりつくったりできねばなりません。
次にリテラシー(基礎素養)です。
自律性はすでに述べましたが、非同期コミュニケーションでは各自が(コミュニケーションが成立する程度に)自主的に行動しなければなりません。
当たり前に聞こえるかもしれませんが、これが案外難しいです。というのも、私達の大半は舞台装置――場の雰囲気や上からの指示に従うことで生活しており、自分で行動することに慣れていないからです。
ビジネス書でも自分で行動することの重要性はよくポイントに挙がりますし、当たり前に思えるかもしれませんが、できている人は非常に少ないです。だからこそ出社したり会議したりといった舞台装置に頼ります。ともすると無自覚です。子供や学生を笑うことなどできません。舞台装置に頼らねばろく動けない大人はたくさんいます。
これは一例ですが、このように非同期コミュニケーションでは様々なリテラシーが求められるのです。
最後にモデル。 メンタルモデルとビジネスモデルを挙げています。
メンタルモデルとは行動特性の意で、「こういうときにこういう行動をする」という価値観のことです。絶対不変なものでも、性格ほど変えづらいものでもなく、単にツール、ルール、役割等によって自ずと形成されるものです。
たとえば議論したいとして、たいていの人は予定を調整して打ち合わせを開催するか、あるいは直接捕まえて話そうとしますが、これは同期コミュニケーションのメンタルモデルです。一方、非同期コミュニケーションだと、議論エリアをどこかにつくって「これ見てよ」「書いてよ」とします。調整や開催はしません。
ビジネスモデルについては説明はしませんが、DX――デジタルトランスフォーメーションでは「ビジネスのあり方も含め、デジタルありきのあり方に改革せねばならない」点が強調されますよね。新しいパラダイムを採用すると、ビジネスのレベルで抜本的に組み直す必要があるわけです。
実は非同期コミュニケーションも同じです。これをAX(Async Transformation)と呼びます。たとえば、いくら私たち現場が非同期的に過ごせたとしても、上層部や顧客がそうでなければ意味がないわけです。おそらく私達の非同期は破壊されます。これを防ぐためには、結局ステークホルダーを巻き込んで非同期を推進することになるわけです。
非同期コミュニケーションの概要と本質を解説しました。
より細かい話が知りたい方は、各自調べてください。すでに解説記事も存在します(一部は下記)が、本質がわからりづらく、必要性の強調も甘いため本記事を書きました。
| [How to embrace asynchronous communication for remote work | The GitLab Handbook](https://handbook.gitlab.com/handbook/company/culture/all-remote/asynchronous/#what-is-asynchronous-work) |
| [非同期型コミュニケーションとは?ベストプラクティスとコツを解説 | Slack](https://slack.com/intl/ja-jp/blog/collaboration/asynchronous-communication-best-practices) |
非同期コミュニケーションに必要なリテラシー(素養)を言語化しました。
議事録という観点から非同期コミュニケーションに近づけるには、議事メモを心がけると良いでしょう。要は、議事メモ上で非同期的に議論ができれば、会議そのものが不要になります。