言ってしまえば自分の会社を誇れる度合いだと思います。
たとえば胸張って「私はここに勤めてるんだよ」と言えたり、職に困ってる知人にリファラル的に薦めたりできるか、という話です。
また誇れる度合い≒総合的な満足度も成立します。 誇れると満足度も高いのです。 ならば満足度を高めるには、誇れるようにすればいいわけです。
以下の3通りだけだと思います。
順に詳しく見ていきます。
「メンバーのために!」
要するに家族です。
このエンゲージメントが高い組織では家族ぐるみの付き合いをします。プライベートも遊ぶ仲です。
昇進とは無縁の世界です。その代わり、生活は助けないといけません。住み込み的になっていたり、給料の低い下っ端に対してリーダーが太っ腹だったりします。
すごく単純化すると、フィクションで描かれるヤクザですね。色んな側面が見えますが、本質は単純で、「家族を守る」です。近年のマンガでは「ザ・ファブル」がわかりやすいです。
「この仕事のために!」
要するに裁量と権限と生活水準です。
やらされではなく。 邪魔もされず。 生活を気にする必要もない――。
ベストエフォートが許された状態ということです。
ここまで揃ってはじめて「本心からやってやろう」という気になります。
もちろん実際は能力や適性や興味などにも左右されますが、ベストエフォートはスタートラインです。ここまで揃ってはじめて己の任務と向き合えます。というか、スタートラインに立たないと任務だとみなせません。
※無理やりやるなら恐怖や金ですが、エンゲージメントは増えません。
最後の生活水準はわかりにくいかもしれませんが、たとえば以下を満たせるか?という話です。
「地元の新潟で、5:00~14:00で働きたいです。残業したくないです」
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リモートワークや非同期コミュニケーションの本質と必要性が必要になるでしょう。あるいは「それは許さん」というのなら、代わりの水準を与えねばなりません。
「ビジョンのために!」
要するに信者化です。
本心から共感させて信者にします。世界観を見せて、魅せて、惚れさせるのです。カリスマであることはもちろん、対面で濃密なコミュニケーションも必要不可欠になります。
さて本題です。 対面で満たせるのは、どのエンゲージメントでしょう。
Ans: ファミリーです。
しかし、ファミリー・エンゲージメントを満たすのは難しいでしょう。
なぜなら水準が上がっているからです。
自分で生き方を決める必要性が増えてるし、スマホとSNSのおかげで井の中の外も見えちゃいます。田舎寄りの地元の中小企業がかろうじて可能かなってくらいでしょう。
※仕事は関係ないですが、もちろん文字通りの家族なら可能です。
となると、ミッションかビジョンしか残っていません。
ミッションであるなら、ベストエフォートのスタートラインに立つための改善が必要です。するしかしないか次第です。
するためには通常、経営層レベルの判断――特に投資が要ります。DXやAX(Async Transformation)と一緒ですね。
次に、ビジョンであるなら、惚れさせる必要があります。
カリスマ性です。再現性なんてありません。できる人がいないなら、できる人を登用するしかありませんが、これを許せる経営者なんていないと思います。そもそも探すことすら難しいと思います。スターを見抜くプロデューサーよりも難しいし、正直無理だと思います。
仮にカリスマがいたとしても、大人数には通用しません。たとえば大企業でビジョン・エンゲージメントを上げるのは無理です。スティーブ・ジョブズでも無理です。消費者と社員は違います。
ミッションにせよ、ビジョンにせよ、対面は(あれば役に立てることもあるが)必要条件ではないのです。
むしろ、対面を言い訳にして改善やカリスマと向き合うことから逃げてしまう分、害悪とさえ言えます。
対面は、特にイベントにもなると楽しいですが、それは「その時楽しかった」で終わります。エンゲージメントとは関係がない。当然ながら従業員サーベイにも反映されません。
せいぜい、対面イベントを濃く楽しんでいる人達(文化祭のノリの渦中にいる人達)が高評価を出すくらいです。
厄介なのは、上層部だけが盛り上がっているケースです。対面イベントを推進する上層部の人達は、裁量も権限もあって生活水準も保ててます。つまりミッション・エンゲージメントを満たせてるわけです。自分達だからこそ満たせてるだけなのに、対面で満たせてると勘違いしてしまいます。
エンゲージメントを本当に増やしたいなら、改善やカリスマから逃げないでください。対面に逃げないでください。