私たちには「予定をつくって、そのとおりに動く」やり方が染み付いています。
一方で、現代は、予定に従っていればいいほど単純な時代でもありません。第一予定に従うあり方は窮屈ですし、負荷も高くなりがちでQoLも下がりがちです。もっと融通の利くやり方が必要です。
その一つとして「タスクとスケジュールを分ける」ことを解説します。
タスクとスケジュールのそれぞれに対して、決まっているかどうかでマトリックスにしたものをタスクとスケジュールのマトリックスと呼びます。
タスクとスケジュールのマトリックス
1は「両方決まっている」パターンで、私たちにとって最も身近なものです。いわゆるウォーターフォールはこれです。製造業的なやり方となり、製造、建築、SIを始めとする多くの業界で採用されています。
本記事の目的は、これ以外にもやり方があるという点をお伝えすることです。
2と3は「片方だけが決まっている」パターンです。いわゆるアジャイルはこれです。
アジャイルはソフトウェア開発においてよく使われるものですが、ビジネス一般にも適用できます。この名前のつく仕事術を見たことがある人もいらっしゃるでしょう。
4は「両方決まっていない」パターンです。いわゆるエクスプロラトリです。
馴染みのない言葉かもしれませんが、探索的な営みを指します。
以降では各パターンについて詳しく掘り下げていきます。
タスクもスケジュールも決まっているパターンです。
基本的に仕事はこのパターンになります。ここまで浸透している理由は以下のとおりです。
しかし、すでに浸透しているからといって盲目的に従う必要性などないということは、『仕事術2.0について』をお読みの皆さまならおわかりかと思います。他のやり方については、パターン2~4として紹介していますので、そちらをお読みください。
このパターン1のあり方はウォーターフォールと呼ばれます。各工程をストイックに順にこなしていくもので、滝(Waterfall)が流れるように見えることからこの名前です。
製造業的な考え方ですが、建築やSIなど幅広く使われています。名前走らなくとも、社会人であれば、おそらく誰もが一度は見たことがあるはずです。
道具としては以下のようなものが使われます。ガントチャートとかWBSと呼ばれます。
ガントチャート。ガントさんが考案したチャートなのでガントチャートです。
WBS。Work Breakdown Structureの略。仕事をブレイクダウンして構造したもの。
要するにスケジュールもタスクも両方決まっているので、これを達成するために、内訳を細かく洗い出して、いついつまでにこれとこれを終わらせる、みたいな依存もちゃんと洗い出して、そのとおりに動きましょう、とやります。予定の奴隷です。
また、予定のとおりに動けているかの確認(進捗管理)も必要です。
もちろん現実はこんな単純には行きません。これで上手くいくのは、それこそ典型的な製造――何から何まで最適化されていて、基本的にそのとおりに行動しさえすれば安定的な成果が出る場面だけです。
これは製造として最適化されているからであって、大半の仕事はそうはいかないでしょう。単に他のやり方がわからないから、このやり方を使っているのが現状です。上述したとおり、色んな意味で都合が良いこともあります。
しかし、このやり方が融通が利かなくて苦しいことは冒頭でも述べたとおりです。もっと融通を利かせても良いはずです。それをパターン2~4で解説します。
スケジュールだけが決まっているパターンです。
この場合、タスクを無理に決める必要はありません。自由にやらせてみて、こまめに状況を見て軌道修正すれば良いのです。
このやり方を採用しているのがアジャイルと呼ばれるものです。
ソフトウェア開発で使われているもので、具体的なやり方としてはスクラム、XP(エクストリーム・プログラミング)などいくつかあるのですが、細かいことはさておき、パターン1のウォーターフォールよりも融通が利きます。
どうやるかというと、決まっているスケジュールに対して細分化をして、自由にやってみます。たとえば二週間の単位(スプリント)で区切って、最初の二週間はこんな感じでやってみよう、次はその二週間の結果を見てから考えよう――とします。スプリント → 振り返り → スプリント、といったサイクルを回す形になります。
何をするか、つまりタスクをどうするかを都度決めているのです。最初から全部決められていて、このとおりにやれ!とは違うことに注意してください。自分たちで細かく決めているので融通が利きます。
タスクだけが決まっているパターンです。
この場合、無理にスケジュールを決める必要はありません。
パターン1の染み付いた私たちは、無闇にスケジュールを決めてしまいがちですが、一度決めてしまうとその奴隷になってしまいます。融通が利きません。下手をすると、決めたスケジュールを守ることが目的となってしまい、しょうもない工作や政治に費やすハメになってしまいます。
ではどうすればいいかというと、ベストエフォートです。
「今週はここまでできました」
これでいいのです。 それが現実です。
その現実の結果を見た上で、次どうするかを決めればいいのです。
このパターン3も、アジャイルの範疇になります。
パターン2は言わばタスクをベストエフォートしており、 ここパターン3ではスケジュールをベストエフォートしています。
いずれにせよ、パターン1のように最初から全部決めてその奴隷になってしまうから卒業しています。決まっていない方については、自分達でベストエフォートすればいいのです。
私たちはこんなこともわからないのです。日々多忙で、無駄に煩雑な仕事や組織を前にすると、いともかんたんに麻痺します。だからこそ仕事のやり方や考え方を見直し、変えていき、必要なら新しくつくりたいのです。『仕事術2.0について』もまさにそのためにあります。
タスクもスケジュールも決まっていないパターンです。
この場合、何も決まっていない中で暗中模索していく探索的なやり方が必要となります。
研究や創造に勤しむ人にとっては身近ですが、私たちの大半はそうではありません。かつ、ウォーターフォールやアジャイルといったプラクティスも知られていません。
そこで『仕事術2.0』では、このようなやり方をエクスプロラトリ(Exploratory)と呼ぶことにします。「探索的な」の意です。
詳細は下記記事を参照してください。