workhack2.0

チャットやSNSで重宝するメンションですが、要は割り込みであり、乱用は好ましくありません。

相手の時間とペースを奪うからです。また「このやり方をしてもいい」との合意も形成されるので自分にも返ってくるからです。そういうものだ、と思考停止するのはかんたんですが、つらいことですよね。軽減したいものです。

さて、メンションしたい事柄は「宣伝」「通知」「呼び出し」の3つに大別できます

宣伝と通知については、必ずしもメンションは必要ではありません。これらを別の手段で代替することで、メンションの総数を減らします。メンションという割り込みのつらさを減らせます。

以降では、それぞれのケースごとに、どのような代替手段を使えばいいかを解説します。

「宣伝」としてのメンション

まとめ:

宣伝メンションでありがちなケース

宣伝メンションは、以下のケースでよく見られます。

1: はマーケティングの話になるので本記事では割愛します。

以降では、2: の組織内の宣伝メンションについて、どのような代替策を取ればいいかを解説します。

見たい人だけが見れるようにする

基本的には「見たい人だけが見れるようにする」を原則にしてください。

社員の皆さんはそれなりに忙しいので、安易に宣伝をメンションして割り込むなど論外です。社員のリソースを軽視しすぎです。お金は大事ですが、時間や注意も大事です。

具体的には、宣伝内容を共有するエリアをつくり、各自チェックしてね、とするのです。

Teamsなどビジネスチャットで言えば、宣伝用のチャンネルをつくれば済みます。

よくあるのが「チャンネルは分かれているが、チーム全体向けメンションを使って宣伝する」ですが、これは絶対にやめてください。うざすぎです。使うにしても、その宣伝チャンネル向けメンションまでです。

「メンションで知らせないと読んでくれないんだよー」は言い訳

ここで「メンションで知らせないと読まないんだよー」との反論がよく挙がりますが、ただの言い訳です。だからといって迂闊に割り込むことを許容していい理由になりません。

そういう考え方だから安易に会議が増えて、参加者も多くて、みたいな不毛な状況になっているのではないでしょうか。

そもそも、メンションを撃たなくても意外と伝わります。

チームや部門に「通」の人がいて、その人が自分のチーム内や部門内で伝えてくれるからです。あるいは管理職など代表者が通担当となって、部下に伝える形態も多いでしょう。

次に、もし上記の通担当が機能しないなら別の策を講じることもできます。「能動的に読めない人」だけを集めた場所を別途つくり、その中で宣伝メンションをするのです。

これを受動者の隔離と呼びます。受動的な人を隔離して、隔離したその場所内で宣伝メンションを撃つということです。

受動者の隔離

これは重要な考え方です。学校ではみんなをいっしょくたにして、できない側に合わせていましたが、会社は違います。仕事は違います。できる側の足を引っ張ってはなりません

かといって、できない側を見捨てるわけにもいかないので、できない側で固めて、区別して、そこで集中的にフォローすればいいのです。このフォローは、できる側には要らないものです。

特に日本は文化的に全員を平等的に一律に扱おうとしますが、これは悪手ですので抗ってください。

余談ですが、この感覚がわかると多様性の尊重にも近づけます。

「典型的な多様性」だけが多様性じゃない

「通知」としてのメンション

通知とは、対象者に何らかのお知らせをするものです。

伝達や連絡と言ってもいいでしょう。受け取った側のアクションは不要か、必要であっても「今すぐに」ではなく、ある程度以上の猶予があります。

まとめ:

きりがない

通知についても、基本的にはメンションは不要です。なぜならきりがないからです

通知が多すぎて注意を奪われたり疲弊したりするのは現代人の病ですが、これも通知がいちいちメンション的に割り込んでくるからです。

特にLINE疲れやSNS疲れがわかりやすいですが、誰かからメッセージが来る度にピコンと割り込まれて、すぐさま返事を返すような生活をしていたら、そりゃ病みます。もはや奴隷です。

お互いが了承して、そうしているのなら問題ないですが、大半はそうではないはずです。また、本当にすぐ返さなければならないほど切羽づまった人もそうはいません。いるにしても、それは単に仕事のやり方を安易にそうしているだけです。無駄な苦労です。

「通知=割り込み」から「通知=未読が積まれる」へ

通知をメンションせずに済ませるには、発想を変える必要があります。

そもそも通知とは割り込みが伴うものではありません。

通知とは、単に受信箱に「新しいメッセージが来た」旨を知らせるだけのものです。新しいメッセージが来たからといって、すぐにピコンと知らせて割り込ませる必要などありません。そんなことをせずとも、たまに受信箱を見て、新しいのがあったらそこで対応する、で済みます。

受信箱という動線 + フィルタリング

発想を変えたところで、続いてやり方に入りましょう。

通知をメンションせずに済ませるには、受信箱を各自が読んで各自がフィルタリングすれば済むようにします

X(Twitter)がすでにそうなっていますよね。ポスト一つごとにいちいちピコンピコンと届くわけではありません。ポストは時系列に読んで、それをあなたがスクロールして読みます。要らないものはミュートやブロックをしたり、逆に重要なものはいいねやお気に入りに入れます。そうやって、見る側がコントロールすればいいのです。

さて、これを業務上の通知として行うには、いくつかのハードルがあります。

※結論を言うとメールが適切です。概念的な話をしばらく続けますので、興味ない人は飛ばしてください。

1: のツールについては、会社ではそもそもX(Twitter)のようなツールがないということです。社内では機密情報もやりとりされますが、さすがにそれをX(Twitter)で流すわけにはいきません。そもそも通常会社員はX(Twitter)の使用を許可されていません。

X(Twitter)のように、各自が受信箱を持って、それを読み流して、フィルタリングもできるようなツールが必要です。

今のところメールが最適解です

一応、社内Twitter的なツールもあるにはあるのですが、全社的に導入することの難しさはもちろん、会社員にはX(Twitter)すら使ってない・使えないようなリテラシーの低い人も多くて啓蒙面でも苦労します。というより、ほとんど不可能です。

※だからこそキラーなポテンシャルがあり、「メール」「チャット」「Twitter」「Instagram」といったレベルのジャンルを開拓できる余地すらあると考えますが。

次に 2: の動線の問題があります。

いくらツールがあっても、受信箱を高頻度で見ないと意味がありません。見てもらえる程度には定着させる必要があります。

動線とは高頻度に通る場所のことで、要はこの受信箱も高頻度に通る(実際はデジタルツールでしょうからアクセスする)場所にならないといけません。これをするためには、全社的にトップダウンで強制なり教育なりが必要です。

と、この二つの問題の難しさを考えると、現状すでに定着しているメールがなんだかんだ強いわけです。

※ 3: の整理スキルの問題は次で言及します

メールは強いが、個人のスキルに依存する

メールは強いですが、 3: の整理スキルの問題は解消できません。

1と2の両方を持つ人はほとんどいません。

※厳密には性格などもありますが、議論が煩雑になるため割愛します。そもそもスキルがあれば対処はできます。無い・足りないから対処できないのです

現にメールでも「読まなかった」「知らなかった」が多発します。 「メールの分量が多すぎるから」 「読む時間がないから」 といった言い訳はあるあるですが、単にスキルがないだけです。

未読の処理すら行わず、メールの受信箱が未読12075件なんて人は決して珍しくありません。こんな調査もあります。

https://news.mynavi.jp/article/20221220-2542053/

これは昔から存在する古典的な問題でもあります。20年、いやおそらくは30年以上の歴史があるでしょう。つまりスキルの問題として捉えるのは分が悪いし、それでは今後も解消しません。ここでもキラーとなる技術または方法が必要です。

今のところ、決定打は無いと思います。『仕事術2.0』でもそのうち開発したいとは思いますが、正直すぐに出てくる気がしません。

実は事例もないわけではありません。たとえばメーラーも進化しています。以下に紹介する Hey は、独自の哲学に基づいてメールを仕分ける仕組みを備えたメーラーです。

(この哲学が合う&従えるなら)自分で一から整理することなく、Hey の仕組みに任せた整理の恩恵にあやかれます。

https://lifehacking.jp/2020/06/hey/

https://world.hey.com/uguisu/hey-com-1-11776e51

https://www.hey.com/

「呼び出し」としてのメンション

呼び出しとは、今すぐ来てもらうことを前提とした、緊急性の高い依頼です。

まとめ:

呼び出しにはメンションが必要

呼び出しの場合、メンション――つまりは割り込みは必要です。

従来は同じオフィス、同じ島に同座しているので直接声をかければ済みましたが、現代ではそうもいかない状況も多いです。直接声をかけることはできないが、これに相当するレベルの割り込み手段が必要です。

よく知られているものは電話でしょう。チャットを常用する職場であっても、呼び出しの用途ではあえて電話を使ったりします。

手段は多い方が良いです。声掛けと電話以外にも、この割り込み手段があると便利です。

メンション(を撃つことで相手に通知を届かせ、かつすぐ反応を返すことを期待する)も一つの手段と言えます。

ですが、このメンション、ただの宣伝や通知でも多用されている現状があります。これはウザいので、本記事では使い所はなるべく絞りましょうと提案しています。

呼び出し自体を減らす努力をする

呼び出しには割り込みが必要で、メンションもその手段になる――

だからといって、たくさんメンションしていてはつらいです。本記事で繰り返し述べているように、メンションという割り込みをそもそもできるだけ減らしたいのです。かといって「呼び出しは必要だから減らせない」では先に進めません。

幸いにも、先に進むための切り口が一つあります。

呼び出しの総量を減らすのです。 減らすための努力をするのです。

観点は二つあります。

1: については、人によって事情も認識も違うゆえに、

Aさんにとっては「超重要で今すぐやれ!」 Bさんにとっては「いや後でやればいいじゃん」

といったことが起こります。

これではAさんは「メンションに応じてよ」ですし、Bさんは「いやいや応じませんよ知りませんよ」で平行線です。

緊急や重要は強い言葉ですが、その意味は主観的です。 人によって解釈が違います。

ちゃんと話し合いましょう。というと、統一的なルールを定めたくなりますが、それだけに頼るのはアンチパターンです。多様性の観点では、個別に最適化するべきです。

たとえば、マルチタスクが苦手な人に対しては、メンションを減らした方が良いでしょう。

自分の感覚で調整するのではなく、メンションを撃たれる側の相手の意見も聞いて、上手い落とし所を探ってください。

2: については、そもそも呼び出し的なメンションを多く撃つ状況自体がおかしいと考えて、状況そのものの改善に動くということです。

たとえば迂闊にメンションを撃ってくるノイジーな上司や顧客がいたら、やめてください、代わりにこうしましょうと提案しましょう。

特に日本では文化的に「階層主義」や「お客様=神様の精神」が蔓延っており、このような動きは忘れがちです。

また、改善に動ける立場の人も保守的であることも多く、動きたがりません。何なら「それが仕事というものだ」などと個人の性癖を押し付けてきます。気持ちはわかりますが、それでは状況は改善しません。改善したいなら、働きかけてください。

あるいは、あなたが「改善に動ける立場の下」に組み敷かれる側であるなら、あなただけでも守る行動をしましょう。その立場の者に提案するなり、その立場を越えて直接自分が提案しにいったりなどします。おそらく荒れるでしょうが、あなたへのメンションは減らしてもらえると思います。自分のリソースを割り込みから守れるのは自分だけです

まとめ