ラピッド・リファレンス(Rapid Reference)とは、素早く参照できる情報源を指します。
元の文脈は以下を見てください。
読んでおけば覚えておけて思い出せて対応できる ← そんなわけない
ラピッド・リファレンスは、上記の問題を解決するための方法です。
ビジョンやルールの運営においては、各自は完全に頭に入れておいて、適切に思い出せる・発揮できることを前提としがちです。上記記事でも述べたとおり、そんなことは非現実的です。
ラピッド・リファレンスでは発想を転換し、以下のように捉えます。
まず要件としては、以下を満たす必要があります。
これを満たすシステムを用意しなくてはなりません。
たとえば従業員10000人以上の大企業であれば、10000人全員が上記すべてを満たす必要があります。
これは領分としてはDXになりますが、中々の難度です。というより、相応の投資をするかどうかに帰着されます。DXでご飯を食べているIT大手でさえもできていない難題です。
本記事でも示すとおり、手段はもうあります。あとは投資次第です。
次に、情報はブラウザで読めなくてはなりません。つまりHTML――ウェブページとして提供される必要があります。
なぜかというと、この形態が現時点で最速だからです。
たとえば以下はダメです。
また、ウェブページであっても、3つの要件を満たさないものはダメです。既存の社内サイトや社内ブログは、現代的な製品も含めてこれを満たせません。
これを満たすためには、QWICでいうWikiやIssuesに値するツールが必要です。ツールの候補は多数ありますが、重要なのは 1: でも述べたとおり、全社員分の利用に耐えうるインフラの整備(というより投資)です。
あるいは(ITの話になりますが)GitLab Handbookのように、Markdownで書いて、それをウェブサイトに変換するような仕組みでも良いでしょう。
https://handbook.gitlab.com/handbook/
社内で 1: の要件を満たせるシステムをつくれないなら、SaaSを使ってインターネットに公開する手もあります。上記のハンドブックもまさにそうしてます。
既存のSaaS、特に長らく続いているものは、B to C向けでも動作するようにインフラが相当整っています。その辺の企業では太刀打ちできません。だからこそ使えます。ただし情報をインターネットに公開することになります。よほどオープンな組織じゃないと出来ないでしょう。
そして最後に、忘れがちで、かつ耳が痛いのが従業員が使っている道具の性能です。具体的にはPCとネットワークです。
まずPCには、ラピッド・リファレンスを常に遅延なく読める程度の性能が必要です。現在であれば、メモリでいうと16GBが欲しいですし、ディスクもSSDが欲しいです。
また、セキュリティソフトも盲点です。PCの性能が高くても、セキュリティソフトの設定が性能の足を引っ張っていることがよくあります。特に昨今はクラウドと連携して、通信を見張るものも多く、通信そのものの品質の足を引っ張りがちです。大きな企業がハマリがちです。
別解として、ラピッド・リファレンス用に最適化した軽量な端末を使う手もあります。ですが、具体的な実現方法はまだありません。PCではなく、専用のデバイスをつくる形で実現した方が使いやすいでしょう。ビジネスのポテンシャルがあると思いますので、これを読んでいる投資家、経営者、優れたエンジニアの皆さんに任せます。
そしてネットワークです。社内ネットワーク環境を強くするか、従業員各々が私的に使っているネットワーク環境を強くしてもらうか、のいずれか、もしくは両方になります。
ラピッド・リファレンスの実現方法を議論しました。
ITエンジニアの人にとっては、目新しさは無かったと思います。
仕事術全般がそうですが、内容自体はそう難しくはありません。重要なのは理解しやすい言語化と、それを実際に起こすための行動です。特に後者はDXと同様、投資できるかどうか次第です。
ビジョンやルールの啓蒙に悩まれている人は、ぜひラピッド・リファレンスに挑戦してみてください。