混同されている例が多いので、違いとパターンを整理します。
ジョブ型雇用とジョブ型人事のマトリックス
ジョブ型雇用とは、ジョブ(業務内容や期待する役割をしっかり定義したもの)を定義して、これに基づいて労働契約を結ぶものです。ジョブに基づいた雇用ですね。
余談ですが、ジョブを定めた文書をジョブ・ディスクリプションと呼びます。
ジョブ型人事とは、ジョブに基づいて人事管理を行うことです。人事制度としてジョブが網羅されていたり、人事評価もジョブとその達成度次第で決めたりします。ジョブに基づいた人事運用ですね。
余談ですが、ジョブの他にはランク(リキッドな等級)があって、同じジョブでもランクが高い方が評価が高くなる設計になっていることが多いです。
どちらも別物なので、ある/なしが取れて、計4パターンが言えます。
以降からは各パターンを見ていきます。
ジョブ型らしいパターンです。
ジョブ基準で雇用されるし、評価もされるので統一感があります。外資系や欧米ではすでに一般的です。
スキルや実績があれば職には困りませんが、身につけるまでが大変で、競争や格差が激化しがちです。日本のようなメンバーシップ型は通用しません、たとえば新卒のようにスキルや経験がない人を雇ってじっくり育てるなんてことは想定されません。
ジョブで雇用していないのに、人事制度ではジョブ的――というよくわからないパターンです。
ChatGPT に聞いてみたところ、
このケースでは、雇用契約において職務が具体的に規定されていない、あるいは非常に柔軟性があるが、人事制度としては職務に基づいた評価やトレーニングが行われている場合です。
例えば、日本の企業において、総合職採用が広く行われつつも、組織内では職務に基づいた評価制度を構築している場合がこれに当たります。
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だそうです。
人事制度、特に評価の便宜のためにジョブ単位で定めてはいるが、雇用としては使っていないという状態、とも言えます。
雇用の間口を広げるメリットはあると思います。新卒や未経験者でも取れますし、ジョブ・ディスクリプションほど厳格ではなく「総合職経験者」くらいに雑な定義で募集することもできるからです。もちろん、即戦力ではないので長い目で見た教育・指導が必要となる点はメンバーシップ型と同じですね。
アンチパターンです。
ジョブ基準で雇用しているのに、人事制度は従来のまま、たとえば年功序列のままだったりするようなあり方を指します。
まず適正な評価がされないでしょうし、人事制度レベルの拘束力がないので、ジョブ型雇用なのにやらせてもらえなかったり関係ないことをやらされたりといった矛盾も起きがちです。
従来のメンバーシップ型のあり方です。
新卒などで間口を広げて採用し、じっくり育て上げながら、その一部が昇進していきます。流動性や多様な経験のために数年単位で仕事や所属を変えることもあります(ローテーション)。
ジョブという共通言語がないので、採用も評価も政治的になりがちです。日本では年功序列や解雇規制もセットになっていて、さらに制約も加わります。たとえば向いてないからと無闇に辞めてもらうことができなかったり、顕著な成果を出したのにすぐには評価されなかったり、昇進枠が決まっていたり、そもそも従業員が多いのでコスト削減のために一律的な制限をかけて融通を利かなくさせたりなど。
ジョブ型とは直接関係ありませんが、人事制度に絡む話題として、先進的な組織パラダイムや仕事のゲーミフィケーションを取り扱っています。よろしければ参考にしてください。