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投球や送球において、肩は「力を伝える中継点」として機能します。柔軟性が無いと伝えづらく、筋力がないと壊れやすい。握力のような、わかりやすい「発揮する力」とは少し違った、縁の下の力持ちです。

さて、コミュニケーションにおいても、肩に相当するような素養があると思います。

これを(コミュニケーションの)肩力と呼びます。英語ではShoulder Strength で、SSと略すことがあります。

肩力の4要素

詳しく見ていきましょう。

1: ラフとデサルトリー

完璧主義をやめて、雑に出せる人は肩力が強い。

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デサルトリーについては以前議論しました。

課題がないと動けない人たちと、その特効薬「デサルトリー」

ラフとは「お題」がある状態で、それに対する雑な行動をします。一方、デサルトリーはお題すらない中で、何かしら雑な行動をします。

いずれにせよ雑に動くことが重要です。完璧主義をやめて、とりあえず少し考えてみたものを出してみるということです。

2: 文脈の理解と構造化

文脈を踏まえれば、コミュニケーションは続く。 踏まえるための言語化と構造化と保存ができる人は、肩力が強い。

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何事にも文脈があります。文脈を踏まえない情報に価値はありません。正論が通じづらいのも、単に文脈を踏まえてないからです。

文脈は、実は理解し続けないといけないものです。というのも、続けないと忘れるからです。一度忘れたことを思い出すのは難しいでしょう。

ひとりで中長期的な取り組みをしている際も、前回の文脈を覚えてなくて、でも思い出すのは面倒で――と形骸化まっしぐらな経験はあるあるではないでしょうか。コミュニケーションならなおさらです。

しかし、だからといって定例会議的に定期的に喋りましょう、では苦しいでしょう。リソース(特に時間)は有限なので、このやり方ではすぐにパンクします

そこで文脈の構造化が重要になってきます。文脈を言語化し、非同期的にあとで読めるよう外に出すのです。また、単に書き散らすだけでは読みづらいので、適宜構造化します。図表も使えますし、本記事もそうですが見出しをつけて塊化(かたまり化)したり、塊を並べたりもできます。

3: トピック(話題)の設定

コミュニケーションでもシングルタスクができる人は肩力が強い。

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タスクもそうですが、基本的に一つずつきりがいいところまで進めていった方が上手くいきます。あちこち中途半端に行ったり来たりしていては(本人は楽しいので満足感はありますが)身になりません。

コミュニケーションも同じで、話題は一つずつ相手にして、きりがいいところまで進めるのが良いのです。もちろん、雑談など目的のない営みならその必要すらないですが、そうではなく、仕事やその他真面目なコミュニケーションの場合は、一つずつが良いでしょう。

そして、これは結局がシングルタスクが良いという話です。

4: 自然なモチベーションとタイミング

モチベーション、特にタイミングを尊重できる人は肩力が高い。

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私たちは人間なのでモチベーションがあります。

モチベーションがないときにやらされても、大したことはできません。立場上、サボるのが許されない場合は、テキトーにやってしまいます。そしてそれを非言語情報でもっともらしく加工して誤魔化します。

モチベーションに配慮をしたほうが、コミュニケーションの質は上がります。少なくとも非言語情報でごまかすなどという害悪は抑えられます。モチベーションは奥深いですが、最も端的なのがタイミングです。

内発的にも、外発的にも適切なタイミングがあります。あるいは不適切なタイミングがあります。少なくとも不適切なタイミングは避けたいです。可能なら、適切なタイミングに当てたいです。わかりやすい例として、機嫌が悪いときに相談はしたくないですし、できれば機嫌がいいときに相談したいですよね

機嫌以外にも様々な因子があるので、それを尊重しましょうという話です。

肩力のあり方は一つではない

たとえばテキストで非同期的にやることもできるし、対面で口頭でやることもできます。

加えて、やり方ごとに「必要とするスキル」が変わってきます。

肩力とは非同期的なもの

しかしながら、肩力は非同期的なものです。

なぜなら、同期的だと以下の面で限界があるからです。

実際、同期的なコミュニケーションしかない人は肩力も弱いです。

多くの場合、深い議論や中長期的な議論はできないでしょうし、シングルタスクの原則もこなせずいたずらにビジーになりがちです。トップダウンによる命令と非言語情報によるカバーでゴリ押すことでしのぎます。

そして、仕事とは、コミュニケーションとはそういうものだ、などと正当化します。違います。単に肩力が弱いだけです

肩力を鍛えるには、非同期的な手段に頼る必要があるのです。

そうして肩力を身につけたら、同期的コミュニケーションも改善できます。たとえば議事録と議事メモは違いますコラボレーティブ・ノートテイキングにて、情報を残しながら進められます。

そういうわけで、肩力を身につけるためには、まず非同期的な手段を使って鍛えて、それから同期的な場面でも応用する、との二段階が必要なのです。