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内省のやり方は「お題を使うか」と「書くかどうか」で4パターンに分かれます。これを内省のマトリックスと呼びます。

内省のマトリックス

どのパターンが正解、といったことなく、人によって合う合わないがありますし、同じ人でも状況によって合うものが変わります。

内省が苦手な人は、単にやり方が合っていないだけかもしれません

自分に合ったパターンを使うと良いでしょう。 以下、各パターンを解説します。

1: お題を使わないし、書かない

頭の中だけで自由に考え事をします。『運ゲー』です。

このやり方は難しいので、基本的には選ばない方が良いです。

準備が要らないのですぐ飛びつきがちですが、思考は発散しがちですし、そもそも何も使わずただ考え事を続けること自体が難しいと思います。できても発散するばかりですし、偶然上手いことが思いつく可能性もありますが稀です(アイデアと同じで再現性の無い運ゲーです)。

2: お題を使うが、書かない

頭の中だけで考えますが、何について考えるか(お題)は設定します。『意思決定的』です。

書くのが苦手な人や、普段書くことがなく頭の中や会話で済ませている人は、このパターンが良いでしょう。肝となるのはお題で、何について考えたい、何と向き合いたいのかをちゃんと決めることです。

重要なのは、内省中であってもお題から逸れないことです。瞑想やマインドフルネスをご存知の方は、同じ過ごし方をするのだと理解してください。

これらにおいては「思考は追うものではない」ですが、このパターンの内省では「思考は(お題以外は)追うものではない」となります――が、これはこれで難しいです。瞑想やマインドフルネスと同等、あるいはそれ以上に難しい気がします。

あるいは意思決定の営みだと考えても良いでしょう。管理職や経営者の方は特に身近でしょうが、仕事を現実的に進めるためには、時には非情となって、多くのことを切り捨てています。本当に重要なことを見極めて、責任を負うと腹をくくって決断しているわけですね。内省も同じで、お題について考えるのだ、と見極めた上で、お題とは関係のない思考をばっさり捨てるイメージです。

3: お題は使わないが、書く

何について考えるかは設定しませんが、書きながら内省します。『発散と収束』的です。

パターン3と4は「書く内省」を使うので、まずはこれについて説明します。

書く内省とは、思考を書きながら行う内省を指します。何について考えているかが可視化されるので、思考が散らかるのを防げます。また、それについて考えればいい、あるいは考えを広げるためのヒントがこれらなのだという意味合いとして使うこともできるので考えるという行為そのものを粘れます

パターン1と2は、書かずに頭の中だけで考えるだけでした。これは一見すると気軽ですが、頭の中は制御が難しく、気も散らかりやすくて安定性に欠けるのです。

書けば(正直書かないよりもしんどいですが)安定します。

さて、このパターン3は、お題は設定せずに、書きながら内省することを指します。つまりは考えを書き込みながら内省を進めていくということです。

当然ながら書き込む際は言語化も必要ですし、書き込みが増えてくるとどこを掘り下げようかといった判断も必要になるため疲れます。しんどいです。だからこそ安定感が出ます。要は、脳内で適当にふらふら漂うのではなく、一歩ずつ固めながら前進しているようなイメージです。

これをやるなら、最低でも1時間の余白は欲しいです。書く内省は、書かない内省よりも集中します。大きな余白が必要です。慣れたら10分など短時間でもできるようになりますが、いきなりは無理ですので、まずは余白をちゃんと確保するところから始めてください。

多忙な人で、そんなもの取れないという人は、取るところから始めてください。『仕事術2.0』でも余白をこじあける仕事術はいくつか取り扱っています。

ホワイトスペース本が取り上げている具体的なテクニック

90min Slack(90分の余裕)

このような営みは、馴染み深い人もいるかもしれません。アイデア出しなど発想の作業と同じです。特にブレストが知られていると思いますが、あれをひとりでやるイメージですね。ただし、出して終わりではなく、内省では結論も欲しいですから、結論を導く(出てきたヒントから自分なりに結論を出す)との収束作業も必要です。

※発散だけ行う「書く内省」も可能ですが、あまりおすすめはしません。結論が出ないと「色々考えが出て満足した」で終わってしまいますし、何より収束に対する逃げ癖がつきます。

最後に、書くための手段の話ですが、何でも構いません。テキストで単語や文章を書いてもいいし、付箋で書いて貼り付けてもいいし、紙にペンで書いてもいいです。自分にあったやり方でやりましょう。

一般的には、デジタルは書くのは速いし紙面上の制約もないですが、味気がなくてくじけやすいです。アナログは、デジタルよりも遅いし紙面上の制約もうっとうしいですが、体験としては豊富なので退屈しづらくくじけにくいです。利便性以上に「本人がくじけないこと」が重要なので、デジタルがきつい人はアナログも積極的に使ってください。

4: お題を使うし、書く

何について考えるかを設定した上で、書く内省をします。『セルフコーチング』的です。

前述のパターン3と似ていますが、こちらパターン4では考える対象を「そのお題」に厳しく絞ります。

※この「絞る」という感覚はパターン2でも紹介しています。

イメージとしても、パターン3のアイデア出し・発散作業とは少し違います。どちらかと言えばコーチングの側面が強いでしょう(ひとりなのでセルフコーチングとしています)。コーチングとは、自分で悟ってもらうために支援することを指します。直接指導するティーチングとは似て非なるものです。

パターン4も同じです。いわば、お題に関して考えを深めるためのコーチングを自分でする、と考えてください。お題から逸れてはいけません。

そのためには何でも発散的に考えるというより、常にお題(書く内省なのでお題も書き込みます)と向き合いながら、「そのお題に関して考えを深めるためにはどうすればいいか?」を自問自答します。

正解は無いので、問い自体は思いつきであることも多いですが、その点(問いの品質)は気にしなくても構いません。セルフコーチングという本質から逸れなければ大丈夫です。

しかし、考えごとはしばしば脱線に繋がるので、油断するとすぐにパターン3になります。このお題について深堀りするのだ、という強い意思を持ってください。意思だけではアテにならないので、お題は書き込み先にでかでかと書く、など視覚的な圧をかけましょう。