workhack2.0

組織において、どのように仕事を分担するかは色々考えられますが、主流は二者です。直接部門と間接部門、フロントオフィスとバックオフィス、プロフィットセンターとコストセンターなどですね。

※経営層は別の立場であり、これを含めると三者になりますが、経営層は一般社員がなれるものではないため扱いません。

しかし二者だと融通が利かず、偏りも生じます。三者にした方が良いかもしれません。

三者で捉えるモデルの一つ「ワーカー・トライアングル」をご紹介します。

ワーカー・トライアングル

ワーカー・トライアングル(Worker Triangle)とは、役割を以下三つに分けるモデルです。

図で示すと、以下の構図になります。

ヘルパーが仲介している。

最大の特徴は、ヘルパーが両者を仲介していることです。ワーカーはワーカーの仕事に集中し、アドバイザーはアドバイザーの仕事に集中します。それをヘルパーが繋ぐのです。

二者モデルの限界を越える

ワーカー・トライアングルを使うと、二者モデルの限界を越えられます。

二者モデルの限界

1: 従来の二者的なモデルでは、プレイングマネージャなど主に優秀な人が多数の役割を兼任していました。そのせいでその優秀な兼任者がボトルネックになっていました。

2: 業績評価だけでなく工績評価もので、業績以外の活動、特に仕事のやり方や考え方そのものを改善する部分がおざなりになりがちでした。別の言い方をすると、後者の改善を担当する役割は、二者モデルには存在しません。存在しないので活動されないか、されても、やはり兼任となります。

3: 働きアリの法則やパレートの法則として知られていますが、よく働く人 : 程々に働く人 : 働かない人の比は 2 : 6 : 2 くらいになります。人材としてもったいないことです。これは、二者モデルが単一のあり方(業績に貢献できる優秀な人)しか許容していないからです。要は馴染める人が2割、無難に演じれる人が6割、馴染めない人が2割、という一般論に帰着できます。

ワーカー・トライアングルのメリット

ワーカー・トライアングルでは、役割を三つに増やしたことにより、上記限界を越えられます。

以降からは具体的に中身の解説に入っていきます。

各役割について

ワーカー/Worker

現場で働く人、プロジェクトに入って働く人を指します。

ワーカーは自分の仕事に100%集中する存在です。昨今では新規事業や改善業務もやらされたり、そうでなくとも様々な雑務がありましたが、これらは可能な限り免除されます

また主体性も必要ありません。仕事をこなす存在なので、受動的であっても、あるいは指示管理されないと動けない人であっても問題ありません。

ヘルパー/Helper

現場やプロジェクトで働くワーカーを支援する人を指します。

従来で言うと、マネージャーとバックオフィスがここに相当します。

「マネージャーはワーカーじゃないの?」とは、よくある疑問ですが、違います、マネージャーはヘルパーです

アドバイザー/Advisor

仕事術(仕事のやり方や考え方)を変える人を指します。

変えるために必要な情報を集めたり、まとめたり、あるいはつくったりして伝えることを生業とします。また直接相談を受け付けたり、議論したりといったこともします。

アドバイザーに(現場やプロジェクトに適用する)権限はありません

各役割の連携

三つの役割がどのように連携するかを見ていきます。

肝はヘルパー

まず基本的な役割は以下のとおりです。

肝となるのがヘルパーで、仕事だけ行うワーカーと仕事術だけ行うアドバイザーを繋ぐのがヘルパーです。

ワーカーとアドバイザーは直接関与しません。

理由はどちらにもあります。ワーカーは100%仕事に集中したいですし、自分でじっくり仕事術をキャッチアップしたり試したりする暇なんてないからです。一方、アドバイザーとしても、100%仕事術に集中したいですし、いちいちワーカーに合った形で最適化する暇なんてないからです。

別の言い方をすると、仕事を推進する能力と、仕事術を開発する能力は両立しません。ワーカーは前者、アドバイザーは後者に全振りします。かつ、ワーカーには複雑なコンテキストがあってスキルよりもアダプテーションプロジェクトや作業のインプットが苦手な人達 「タイニーヘッド」が求められますから、とてもアドバイザーでは太刀打ちできません。

ですのでワーカーとアドバイザーを分けます。しかし、そうなると両者をつなぐ手段がないので、どちらにも程々に通じた仲介役を置きます。それがヘルパーです。実際、能力や適性として、推進と開発をバランス良く行える人もいます。そういう人がヘルパーを担います。

direct と indirect

厳密には、もう少し区分があります。以下のマトリックスを見てください。

現場やプロジェクトに入るか、入らないかで分ける。

現場やプロジェクトに入ることをdirectと呼びます。また、入らないことをindirectと呼びます。

これはワーカーとヘルパーそれぞれに当てはまります。つまり4パターンあることになります。

ワーカーについては、基本的にはdirectです。一方、現場やプロジェクトに入らないindirectなワーカーもいます。

indirectなワーカーはベストエフォートが許されやすい存在です。プロジェクトの会議体やスケジュールにとらわれない存在とも言えます。directなワーカーほど行えることは多くありませんが、意外と色々任せられます。

例:

ヘルパーについては、マネージャーのように現場やプロジェクトに入るのはdirectなヘルパーです。バックオフィスのように、入りはせず、全社員向けの雑務をこなすのがindirectなヘルパーです。

ここも応用の余地はあります。

たとえば現場やプロジェクトには入らないindirectなマネージャーはよくあります。特にdirectになると負担が大きいので、要らないならindirectで良いのです。ピープルマネジメントや技術的・戦略的なアドバイス程度であれば、indirectで十分です。

また、バックオフィス部門の人間が一時的に現場やプロジェクトに入って、集中的にフォローするdirectなヘルパーもありえます。一時的に、集中的にやるのがポイントで、このような関与の仕方を spot directと呼びます。

経営層はどう関わるか

経営層は、ワーカー・トライアングルでは扱いません。

一般的にはトライアングルの上位に位置します。

どこをどれだけ重視して経営するかは経営者次第でしょう。ワーカーを重視する人もいれば、アドバイザーに丸投げする人もいるでしょうし、ワーカーとアドバイザーの双方を知るヘルパーの声を聞く人もいると思います。

ワーカー・トライアングルとしては、正解は用意していません

一見すると、仲介役のヘルパーを介するのが最適に思えますが、経営には多角的な視点が必要であり、ヘルパーだけでは偏るのが心配でしょう。だからといって、無闇にワーカーやアドバイザーを巻き込んでも本末転倒です。

しかし、アドバイザーは、ワーカーほど忙しくはないので比較的巻き込みやすいと思います。

また、ワーカーについても、生産性やその因子をデータとして計測できていればデータドリブンに読み解けます。

※やりすぎるとディストピアになります。バイトでまかなえるような、よほど単純な業務でもない限りは通用しませんし、仕事術1.0と仕事術2.0を謳う当サイトとしては単純であっても推奨はしません。

というわけで、丸投げするようで申し訳ありませんが、トライアングルとどう絡み、どう読み解くのかは経営者の腕の見せ所です