特定の職種や役割を募集する形が主流ですが、このあり方のデメリットも大きくなってきました。代わりのあり方も出始めています。
ソリッドキャリアとは、固定的なポジション(職種や役割)を使ったあり方です。
専門性至上主義とも言えます。そもそもポジションを定めているのも、きちんとしたスキルと経験を持つ者を雇いたいからです。
また、ポジションの名前が共通言語としても機能するためコミュニケーションや情報共有もしやすく、業界全体の質も上げます。
融通が利きません。
多面的な仕事を、定義されたポジション(ソリッド)のみで離散的に捉えることになるからです。
仕事において実際求められるのは、専門性以外の部分だったりします。アダプテーション(適応)やインプットの話は以前も取り上げました。
プロジェクトや作業のインプットが苦手な人達 「タイニーヘッド」
もちろん、専門性も欲しいですから、実質的に「ある程度以上の専門性を持ち、これら適応やインプットの要領も備えた人材」を求めていることになります。
要求水準が高すぎるのです。そんな人材はそうはいません。だから人手不足になります。
たとえば、当サイトで扱っているような「仕事術」を扱うポジションは通じません。ソリッドとして存在しないからです。
そもそも現代の雇用は「自分達が必要とする人材」を「ソリッドとして表現されたポジション」で表現し、それを募集しようとします。いわば、使われている語彙がソリッドであり、ここがネックになっています。
仕事は多様ですし、私たちが置かれた状況も様々です。ソリッドだけで表現しきれるはずもありません。なのに、ソリッドで表現できる人材しか想定しないわけです。
この点もやはり人手不足に繋がります。また、新しい貢献の仕方を持ち込めないので、組織も鈍化しがちです。
※本当にソリッドが必要という場合は重宝しますが、特定の作業さえできたら良いとする「駒」で済む仕事でもなければ、レアケースだと思います。
ここで「ソリッドにとらわれない人材が来たときに受け入れれば良い」と考えるかもしれませんが、それも叶いません。人事フィルターがあるからです。
要は、仕事として規定されたソリッドとのマッチを見るので、ソリッド以外のあり方は問答無用で落とします。
すでに海外では起きていますが、金やコネ、もっと言えば生まれの強い人が勝つ世界になります。
ソリッドという、ごく一部のポジションに人が集まるがゆえに、競争が激しくなるためです。特にキャリアの実力は実経験で決まるところがあり、その実経験を手に入れる部分で生まれの差が出ます。
社会のあり方を論ずるつもりはありませんが、行き過ぎた競争は純粋に疲れますし、均質的な人材しか集まらないため多様性も確保されづらいです。
ソリッドキャリアに代わるあり方がリキッドキャリアです。
リキッドキャリアとは、固定的なポジションを緩和したキャリアのあり方です。人材の特性や強みを生かして、上手く使うことを考えます。ポジションは手段の一つにすぎず、絶対的な要素ではありません。
ティール組織はリキッドキャリアが可能です。
ティール組織では十数人以下の「小集団」各々が採用活動を行います。必要なスキルや経験は動的にキャッチアップしていけばいいですし、ティールでは可能ですので、ソリッドキャリアのように事前に強く要請はしません。
代わりに、小集団への適応と組織全体への適応が要求されます。ティール組織は言わば小集団という細胞からなる生命体ですから、細胞として、また生命体として全うすることが必須です。守れない者は癌にも等しく、クビになるほどクリティカルです。
※需要があれば「自分ひとりから成る小集団」も可能です。
そもそもソリッドキャリアが台頭しているのは、階層的な組織など管理が強くて融通が利かない組織パラダイムにおいて実力を発揮するためです。融通が利かない組織のあり方では、「すでに持っている」スキルと経験で渡り歩くしかないので、渡り歩けるほど強い人材を求めるわけです。
しかし、ティール組織は、これ以外のあり方も可能だと示しています。2024年現在、まだまだ事例は少ないですが、今後広まっていくと思います。
自分がどういう人材で、どういう使い道があるのか。 日頃何をしていて、何を生み出してきたか。
といったことを知ってもらう必要があります。知ってもらえないと、どう生かせばいいかがわからないからです。
これは単にスキルや経験や成果物をアピールせよ、というだけではありません。性格や特性、ものの考え方なども含みます。プライベートも含めてもいいくらいです。
どんな仕事があるのか。役割や立ち回りや作業が欲されているか。 どんなチームがあって、どんな人がいて、何をしているか。 各仕事の状況はどうなっているか。
このような情報がオープンに共有されている必要があります。これは実質的に、自分たち自身のあり方を自覚することや、組織内から広く支援を受け付けることを許容すること、また仕事の受け渡しを行いやすくするための整理や分解も日頃から行うことなどを要請します。
リキッドキャリアでは仕事のマッチングは動的です。社内転職という言葉がありますが、そんな大掛かりなものではなく、誰でも必要に応じて他の仕事とマッチングできるということです。
これを満たすために、募集側にも応募側にも要求があります。
1: は個人の透明性を、2: は組織や仕事の透明性を述べています。また、3: は募集側と応募側のそれぞれが持つべき資質を述べています。
ですので、まとめると以下三つが必要とも言えます。
従来のあり方を「ソリッドキャリア」と名付けて整理しました。そのカウンターとして「リキッドキャリア」を提案し、ティール組織という例と、必要な3要素を整理しました。
ソリッドから脱して、より融通を利かせたあり方を実現したい人は、ぜひリキッドキャリアを模索してみてください。