レコメンダー(Recommender)とは、社内において事業部全員・社員全員など広い範囲からの相談を受けて「おすすめ」を提案する存在を指します。
以下、もう少し詳しく見ていきます。
レコメンダーは「おすすめ」をやり取りします。
利用者は「おすすめ」を聞きますし、レコメンダーも「おすすめ」を教えます。やりとりするのは「おすすめ」です。
このように「おすすめ」をやり取りする、と決めることでコミュニケーションがスムーズになります。
組織ごとに決めねばなりませんが、文化的には、
のが良いと思います。
つまり「やる気のある人」に「ヒントを与える」スタンスです。
まず相談者からやってこないと相手にできません。やる気や能動性のない人の世話はしません。
次に、レコメンダーがおすすめするのはあくまでもヒントです。ヒントをどう使うかは相談者次第であり、レコメンダーがフォローやマネジメントを行うものではありません。
レコメンダーはベストエフォートでおすすめを提示する役割であり、ティピカルワークは一切負いません。
ですので締切を負うこともありませんし、何らかのチームに入ったり定例会議への参加を強要したりもできません。あるいは、入ってもベストエフォートになりますし、深くコミットすることもありません。すでに述べたとおり、広い範囲から受け付けるものです。広く浅く答える存在です。
基本的には非同期的にやり取りするか、同期的な場合は有限時間内で対応して一区切り、となります。ただし、もらったリクエストにはすべて応えます(対応できない旨も含む)。捌ききれないようなら、一時的に受付を停止したり予約制にしたりすることも検討します。つまりセルフマネジメントできなくてはなりません。
レコメンダーにはそれなりの知識量と、相談者から上手く引き出して回答を行うファシリテーションが要求されます。相談者の文脈は都度聞けばいいし、(コンサルやマネージャーではないため)業務知識を把握する必要はありませんが、把握できるに越したことはありません。また、少なくとも「会社内」のレベルでは把握できねばなりません。
というわけで、無能な人を押し込めておく閑職などでは決してないのです。レコメンダーの成立には本人の適性と熱意、そして会社の協力が両方必要です。
ここで会社の協力とは、トップダウンでレコメンダーの存在を知らせて宣伝することと、全社員がレコメンダーを遠慮なく使うことの二つです。
第三者目線でヒントが手に入ることです。
レコメンダーは同じ社員であるため機密情報を気にせずやりとりでき、またチームメンバーではなく利害関係もないため率直なやりとりもできます。このような存在は貴重です。余談ですがセーフフランク(Safe Frank)と呼びます。
次に「おすすめ」という共通言語があるため、カウンセラーを始めとする専門的な知見がなくても貢献できます。
よくある議論をQ&A形式で整理します。
Ans: いいえ。
生成AIでカバーできる人ならレコメンダーは不要ですが、難しいと思います。
こんなとき、人間として動けるレコメンダーの方が頼れます。
Ans: アリです。
ただし、生成AIのコンテンツをそのまま相談者に返しても通じづらい(し通じるなら相談者は生成AIを使っています)ので、レコメンダー自身が上手く翻訳せねばなりません。
Ans: 「おすすめ」縛り、と考えてください。
まずレコメンダーは必ず最終的には「おすすめ」を答えるようにします。相談者も、そのつもりで相談します。
コミュニケーションにはグルーミング、議論、意思決定、壁打ちなど様々な要素がありますが、レコメンダーが行うのは「おすすめを出すこと」ただ一点です。
Ans: 数人から数万人まで可能です。
人数が少ない場合、同じ人からの多数の相談をガンガン捌くことになるでしょう。また、打ち合わせを開催して深く文脈を知りに行くこともやりやすくなります。
人数が多い場合、Q&Aベースでかんたんに答える程度になるでしょう。どこまで捌けるかはレコメンダーの能力と工夫次第です。あまりに多くて捌けない場合は受付の一時停止、予約制で待ってもらう、抽選などランダムで選ぶといった工夫も必要です。
いずれにせよ「想定する対象の全員がアトランダムで相談しにくる」が前提です。ひいきはいけません。この前提なら、数万人程度なら十分可能です。
Ans: どちらかと言えばナシです。
レコメンダーは、相談者からの相談を真摯に受け止めて、自分なりにおすすめを出すことに意義があります。相談をちゃんと解釈して、則ったおすすめを出すのです。
近しい概念として Rapid Q&A があります。これは「過去の質問を探す必要なんてない」「被っててもいいから毎回聞け」「要は質問者がすぐに回答を得られればそれでいいのだ」に全振りしたQ&Aのあり方です。