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パターン:ニーズ・シーズ・ブリーズ

サマリー

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背景とアプローチ

アプローチ詳細

🐰木こりのジレンマ

シーズの仕事について補足します。シーズの仕事は、木こりのジレンマを突破するのに使えます。

木こりのジレンマとは、今使ってるボロい斧を研いだり交換したりすればいいのに「木を切るのに忙しいんだ!」と言ってそうしないさまを指す言葉です。つまり単に仕事に費やすのではなく、その道具や手段や考え方を何とかする視点にも立ちましょうという教訓です。

定型発達はアロセントリック的ゆえに、このような視点に立つのが難しいです。特に日本は文化的に現行踏襲しがち、かつ平等や公平の名のもとに単一的な規範を指向しがちですし、そもそも資本主義(特に大きな組織の運営)自体が多数の駒をいかに安くこき使って搾取するかゲームでもあるのでなおさらディストピアになりがちです。つまり環境そのものが「斧で木を切るべき」に染まっており、アロセントリックなのでそれに從ってしまいます。

逆に ASD はエゴセントリック的なので、斧自体を何とかするとか、斧で木を切る人間のやり方を変えるといった目線に立ちやすいです。

このように向き不向きがあります。ですので、ASD 部下には斧自体の話に詳しくなってもらい、その結果を解説してもらえばいいのです。結果を受けてどうするかは、マネージャーであるあなたが決めればいい。少なくともアロセントリック的で木を切ることしか能のない状態よりはマシです。ヒントに溢れています。無論、結果のクオリティもピンキリですが、そこは仕事と同様、経験と議論で成長します。

最大のハードルは、ASD 部下がつくったシーズを評価する時間と能力がマネージャー側にない ことですが、これもマネージャー側が成長すれば済むことです。ASD 部下にシーズの仕事を与える、つまりシーズの仕事にリソースを費やすことで、実際にお金その他リソースがかかっていることになりますので腹をくくれます。

経験的に、マネージャー以上の人の大半は思っている以上に視野狭窄的で、今いる会社という環境に染まりきっており融通が利きません(だからこそ会社で最適な立ち回りができるのですが)。ASD 部下に遭遇したとしても、自分で ASD について調べて、事例も拾って、自分なりに考えれば対処や戦略は思いつくでしょう。1日30分、2週間もかければできるでしょう。その程度もしないのです。できないのではなく、しない。染まりすぎているせいで、やるという発想を持てない。別に批判しているわけではなく、アロセントリック的なのでそういうものです。

というわけで、シーズの追求と、それを ASD 部下に任せているということにはそれなりに価値があるのではないでしょうか。