情報共有の話です。「オープン」あるいは「透明性」と表現されますが、段階が 3 つほどあります。
反応的なオープン。
「聞かれたら答える」という形の共有です。
一応 Lv1 には入れていますが、この段階はオープンとは呼べません。
以前も解説しましたが、
情報共有するからには「公開」が前提となります。
公開とは残すことです。残しておけば、いつでも誰でも使えるようになります。ここに情報共有の価値があります。
残さずに喋るだけでは、ただの会話や対話にすぎません。それはただの伝達です。伝達も有益ではありますが、情報共有ではありません。
同様の理由で、勉強会などのイベントも、実は情報共有としては未熟なやり方です。残していない時点で論外です。 ※録画や資料を公開したら、情報共有になります。
わかりやすい例がありましたので共有します。
https://note.com/4bata/n/n4c1653fe39ac
この記事では、要するに「聞かれたら答えるからオープンだ」と考えている人達を示しています。すでに述べたとおり、これは Lv1 にすぎず、オープンではありません。
リアクティブなオープンには以下の限界があります。
聞ける人しか情報を受け取れず、情報を出す側もすぐにキャパオーバーします。なので情報格差が生じますし、仮に聞いてくる人が殺到したとしても、受け手がボトルネックであり、選別が必要ですので政治が生まれます。
情報共有という観点では明らかに限界があります。
能動的なオープン。
聞かれたら答えるし、その情報については公開します。
この段階は、Lv1 とは違って実際に情報を公開します。
情報共有としては及第点です。一度公開すれば、あとは誰でもいつでもアクセスできます。
アクティブなオープンは焼け石に水のようなもので、これだけで必要な情報のすべて、あるいは大部分をカバーすることはおそらくできません。
まず最初の問い合わせが来るまでは始まりませんし、来たとしても、残す側がいつ腰を上げるかがわかりません。
「一回来たから公開するか」という例は少ないと思います。何回も来て、ようやく腰を上げる場合は大半です。マニュアルやFAQといったものはこの段階と言えます。
もう一つ、「聞いてきた人達のニーズ」しか取り入れてないという問題もあります。一見すると理にかなっていますが、情報はオンデマンドに出すものではありません。
いつ、どこで、誰が、どんな情報を欲しているかなんてわかりようがないし、VUCAで多様な現代であればなおさらです。だからこそ、情報は何でも日頃から残すべきなのです。情報共有として「残す」ことを前提としているのも、そのためです。
聞かれたら答えた?
聞かれたから残した?
舐めすぎです。情報の価値を決めるのはあなたではありません。出し惜しみをしていると言われても仕方がありません。
積極的なオープン。
聞かれなくても勝手に情報を公開しておきます。
情報共有とは、この Lv3 の段階を指すべきだと思います。そうでなくては情報を生かせません。
だからこそ、現代でも未だに人間関係だの会議だのと原始的な仕事のやり方ばかりのさばっています。情報を共有していないからです。伝達だけでは限界があります。
昔は伝達以外の術がないため仕方なかったですが、今は違います。技術も方法もあるのです。
プロアクティブなオープンを行うためには、情報を残していく力が必要です。
個人の力に頼ってもいいですが、さすがに酷ですし、誰しもが出せる・出したいとも限らないわけで全員に強要するのも違います(「典型的な多様性」だけが多様性じゃない)。
ですので別のものに頼ります。
『仕事術2.0』ではツールーロールと呼んでいますが、以下の3つです。
たとえば情報共有を行えるツールを導入します。
『仕事術2.0』では QWIC と呼んでいますが、主なコミュニケーション・情報用のツールとして Chat(チャット)以外にも Q&A、Wiki、Issues があるのです。
チャットについては、パンデミックもあってSlackやTeamsなどのビジネスチャットは比較的知られてきましたが、これ以外の Q W I はまだまだ知られていません。知らないからこそ、情報共有もできないわけです。
※チャットだけで情報共有は行えないのか、という議論もありますが、長くなるので今回は割愛します。結論だけ言うと「ほとんどできません」。
たとえば情報共有のための時間を導入します。
業務時間中に1時間、情報の読み書きに充ててもいい、などとします。現代ではこの程度でも中々できないでしょう。これを導入するためには、相当な仕事術を盛り込まねばなりません。
『仕事術2.0』でもすでに扱っています。
たとえば情報共有を行う役割をつくります。
録画操作やタイピングが得意な人に、常に「情報を残す係」として動いてもらうのも良いでしょう。
チームや部門で「情報を残す係」の専任者を決め、この人は残すことのみを業務とし、皆もこの人にどんどん情報を出す、のような運用をしても良いでしょう。
誰でも何でも匿名で答えられるQ&Aを全社的に設置し、このシステムを運用するための専用部隊をつくったり、社内に詳しい人が社内に関する質問に率先して答える回答専門者となってもいいでしょう。
また、情報共有の啓蒙そのものを行う情報共有エバンジェリストを登用することもできます。
――と、やりようはいくらでもあります。
情報共有には段階があるというお話でした。
唯一の正解というわけではありませんが、ぜひプロアクティブなオープンを目指したいところです。特に原始的な伝達の限界を越えたい場合には必須だと思います。