インボックスゼロは古い、もう通用しないと思われがちですが、そんなことはありません。まだまだ重宝します。
そのためには、少し考え方をアップデートします。
仕事術というものは原義を越えて、より多様で強力なポテンシャルを持つことがよくあります。たとえばポモドーロ・テクニックもそうです。
インボックスゼロも同じです。
さて、インボックスゼロの本質は、以下のとおりです。
これをインボックス・ポテンシャルと呼びます。情報洪水な現代でも十分通用します。
インボックス・ポテンシャルを生かすには、自分に合ったシステムを自分で構築せねばなりません。
そもそもインボックスがあるのか。
各インボックスには何が入ってくる(入力される)のか。
各インボックスの中身はどうすればいいのか。その場で処理すればいいのか、別のインボックスに移せばいいのか、処理してから移すのか、それとも単に「ゴミ箱」のような用済みに移す(捨てる)のか。
移せないインボックスはどうすればいいのか。たとえばチャットやSNSの通知は、もととなるメッセージを処理したからといって消すわけにはいかない。
などなど。
イメージとしては、たとえば以下のようになります。
インボックスを段階的に整理する。
似たインボックスを段階別に整理して、高い段階(左側)から低い段階(右側)に移していくイメージです。
外部から入力される部分には青の矢印をつけています。これを入口インボックス(エントランス・インボックス)と呼びますが、特徴は「通知があること」「元メッセージを消しづらいこと」です。なので、さっさと別のインボックスに移します。
また、各段階ごとに「ゴミ箱に捨てる」「処理しておしまい」「処理して待つ(別のインボックスに入れる)」ことがわかります。待つというのは、たとえば「2024/10/25以降、返事がなければ催促するものたち」リストをつくって、ここに入れるということです。このリストも一種のインボックスです。
さらに、一部のインボックスがオレンジになっていますが、これは普段愛用するインボックスです。デイリー・インボックスと呼びます。ここを毎日、あるいは一定頻度でゼロにすることを目指します。つまりデイリー・インボックス・ゼロを目指します。ここさえ維持できれば良い、とします。逆を言えば、ここに至るまでに、多数のインボックスを上手く仕分けていくわけです。
と、これはあくまで雑な例ですが、このようにしてインボックスとその流れを一つずつ組み上げていきます。
そうすることで、デイリー・インボックスを注視するだけで済む(もちろん現実的にゼロにできる)生活が手に入ります。
GTDも、実はシステムの一つにすぎません。
最初の段階では
という何でも受信して溜める箱があって、そこから
という箱に移して、「プロジェクト」からはさらに
に移しますよね。
最後の段階にはネクストアクションリストがあり、これがデイリー・インボックスに相当します。
※唯一、いつかやるリストだけはインボックスではありません。ゼロになることを想定していないからです。
インボックスの中身を処理するペースよりも、入ってくるペースの方が早かったとしたら、当然ですがゼロにはできません。
入力優勢の場合、そもそもこの状態を食い止める必要があります。といっても、二つしかなくて、
のいずれかです。
入力優勢なインボックスは、一つたりとも許さないでください。
トリアージとは元は医療用語で、救急現場で治療対象の優先順位をつけることです。軽症な人や「もう助からない人」は後回しにしたり、諦めたりします。そうだと示すタグをつけます。
非情に見えますが、救命を最大化するためにはこのような取捨選択、意思決定が必要なのです。
近年では、これをタスク管理、特にメールなどコミュニケーションツールにおいて適用する流れがあります。要するに「要らないものを捨てる」「無視する」との判断をすることで、自分が抱える処理量を抜本的に減らします。
トリアージはインボックスにおいても重要です。現代は、そもそも情報が多すぎていて、まともに相手にしてたら日が暮れてしまうので、要らなそうなものは最初から相手にしない、無視する、捨てる!との大胆な意思決定が必要なのです。
ちなみに、意思決定が苦手な人は、意思決定するための「自分の軸」が無い可能性があります。内省によって発見できるかもしれません。よろしければ参考にしてください。
あるいは、特に日本には物を大事にする宗教観があり、これがハードルになっていることがあります。
インボックスを増やしたがらないのはあるあるですが、逆です。必要なインボックスはどんどん増やしましょう。
直感に反するかもしれませんが、情報を管理したり漏れなく処理したりといった「複雑な営み」を上手くやるためには、複雑なシステムが必要です。
仕事全般もそうですよね、スキルを持つ新人にすぐ任せられるほど単純ではなく、何かと複雑で泥臭いはずです。インボックスのシステムも例外ではありません。
10個や20個あっても、全然不思議ではないと思います。100個はさすがに多すぎる気がしますが。
システムにおいて、よくやる操作は「あるインボックスの中身を、別のインボックスに移す」操作です。
もし移すための条件が明確な場合は、自動化できるかもしれません。メール、チャット、タスク管理といったツールには他ツールとの連携や自動振り分け機能がありますので、こういったものを使うと、自分の手で移す手間がなくなります。
またIFTTTやZapierのようなワークフローツールもあります。
インボックスというと、中身の見える容器や箇条書き的なリストを思い浮かべがちですが、これらは中身が見えるがゆえに認知資源を奪います。
ですので、思い切って中身を隠した入れ物を使うのもアリです。
中身は見えないが、個数はわかります。個数がゼロになるまで、ひたすら前から(後ろから)一つずつ取り出して処理なり移すなりするのです。どうせゼロにするのだから、だったら中身を隠してしまえばいいと考えるのです。中身が見えない分、無駄に認知資源も食われません。
このような入れ物を実現する概念がスタックやキューです。また、当サイトでは両方を合体させたスタッキューも提案していますので、よろしければ参考にしてください。