コミュニケーションやコラボレーションにおいては、必要に応じて隔離する&代表者を表に出した方が都合が良いです。
これをアダプター戦略と呼びます。
アダプター(Adapter)とは、都合の悪い存在(モンスター)からチームを守るために、誰かが代表者となることです。
アダプターの本質は「複雑な変換」であり、以下の2方向を担当します。
また、複雑な変換と書いたように、この変換はかんたんにこなせるとは限らないため、通常は有能な者が就くことになります。
チーム内部でつくるアダプターです。
中のモンスター(有害なチームメンバー)からチームを守ります。
チーム内部でつくるアダプターです。
有害な「外のモンスター」からチームを守ります。
内部アダプターと外部アダプター。
個人ではなく組織そのものがアダプターとなったものです。
レイヤーアダプター。
レイヤーアダプターに所属するメンバーは全員がアダプターです。
外部アダプターでは、アダプターは個人が行っていましたが、それだと足りないので、アダプター用のチームをつくるのです。
この場合、守る対象は組織1と組織2の両方になります(レイヤーアダプター内の各メンバーではない)。というより、プロジェクト全体や組織全体を守りたいので、人材を贅沢に使っちゃうけど仕方ない、導入しよう――が典型例です。
よく冷静さを取り戻すために第三者を交えますが、それを組織レベルで行うのがレイヤーアダプターです。
Ans: チームを余計なノイズやストレスから守れることです。
日本は平等主義が強く、無能な者はおろかモンスター(有害な者)でさえも平等に扱おうとしがちです、モンスターによる影響は甚大です。チーム全体の生産性が著しく下がったり、退職など離反を生んだりします。
かといって通常、モンスターに対して苛烈な対応はできないか、しても問題がこじれることがあります。
そういうわけで、ソリッドキャリアからリキッドキャリアへやダイナミック・カルチャーマッチングなど「入口を絞る」やり方が流行っていますが、それでもモンスターは混ざりますし、そもそも他チームや顧客として存在することもよくあります。
この前提で、モンスターからチームを守るためには、接点を最小化するしかありません。それがアダプターです。
よくあるトピックをQ&A形式で整理します。
Ans: アダプター戦略では「フラットなあり方」が前提です。
フラットなあり方では、誰でも誰とでも関わることが当たり前です。ですので、モンスターがいると場の全員が割を食います。
これを防ぐために、全員がモンスターと接するのはやめて、でもそれだとモンスターが収まらないし、こちらの都合が悪い(相手が太い顧客だと切るわけにもいかない等)こともありますから、代表者をひとり据える=接点を最小化するのです。
つまり、フラットなあり方がまずあって、その上でモンスターの被害を最小化するのがアダプターです。
※ちなみに、階層組織はガッチガチのアダプターと言えると思います。これはこれで守りやすいですが、色々と融通が利かないことはご承知のとおりです。
Ans: ソフトウェア開発の用語だと思われます。
専門用語なので噛み砕いて解説します。
皆さんが普段使っているアプリも含め、ソフトウェアは複雑な設計を経てつくります。こんな感じの概念をつくって、これとこれをこのように連携させて、といったことを設計します。
この設計には様々なプラクティスがあり、アダプターパターンと呼ばれるものもあります。
AはBを使いたいが、Bが使いづらいので何とかしたい、という場合がよくあります。そこでBのアダプターXXXをつくって、AはXXXを使うのです。使いづらいBの部分は、XXXが上手いことやります。このXXXがアダプターです。
アダプターパターン(Google画像検索)。
アダプター戦略は、このアダプターパターンから取ってきて当サイトが名付けたものです。
※といっても、似たような取り組みは(名前がなくとも)すでに使われているとは思います。新規性はありません。当サイトとしては、単にわかりやすい名前をつけて整理しただけです。
Ans: 問題ありません。
正直言えば、2人以上抱えられるかはアダプターの能力に左右されますが、さすがにアダプターを2人以上にするのは人材がもったいないです。
Ans: しっかりと対処できる程度には費やしてください。その結果として片手間になる分には問題ありません。
中途半端だと、モンスターを御しきれずに結局チームを守れません。アダプターは、一時的に自分の仕事ができなくなることも覚悟して、「うまくいく」よう整備してください。
たとえば内部アダプターを例にしますが、モンスターの扱いにきめ細かく対応することが重要です。
放っておけば無害である場合は、なるべく放っておきましょう。
定期的に構わないとうるさい場合は、最低限必要な頻度でかまってガス抜きさせましょう。
モンスターは特殊なので常識的な応対が最適とは限りません。放任、無視のレベルで放置しても平気なモンスターもいれば、構ってちゃん的なモンスターもいます。上手く見極めて臨機応変に対応しましょう。
よくあるのが、平等主義的な価値観から「あなたも皆と同じことをしなさい」的に課したり、あるいは自意識の高さからモンスターの至らない点を矯正しようとしたりすることですが、不毛なので推奨しません。
このような対応をして、片手間で済むかどうかは、あなたの要領と、あとは運ですね。最悪厄介なモンスターがいたら、それだけで片手間は潰えます。
Ans: 問題ないなら抱えてしまえばいいでしょう。あるいは水面下で排除の準備を進めます。
※ここで排除とは、追い出し部屋のような非人道的なものではなく、モンスターに抜けてもらうための活動を指します。また、速やかに排除できる場合は、すればいいのでここでは扱いません。
白黒つけたくて排除したくなりがちですが、正直言って大して問題がないのなら放置してしまった方が良いです。プライドや美意識が許さないかもしれませんが、モンスターと戦って被害を被るよりはマシです。
余力があるなら、上手く排除するための戦略を水面下で検討しましょう。この点も色々あります、たとえば:
など。
ただし、モンスターも賢い場合があり、下手な手を打つと逆にハラスメントや裁判で苦しむ可能性があります。
2: や 3: は過激になりがちなので注意です。ここは本当に注意したいです。私たちは人間であり、脆弱な生き物です。組織内の大多数の合意があると、いじめレベルのことでも、いともかんたんにこなしてしまいます。モンスター側もそれを察知するので、暴れがちで、こじれがちです。
あくまでも同じ一社員として尊重しつつ、冷静に、建設的に向き合っていきましょう。
とはいえ、現代はVUCA 改め VUCARD の時代の時代ですから、無難に耐えていれば意外と状況は好転します(あるいは好転できそうなチャンスが来ます)。
とにかく、焦らず、過激にもならず、冷静に、必要最小限の手間でアダプターを務めることです。