キャリアブレイクの効用が強調されていますが、そもそもブレイクできるなら苦労はしません。
そこで、キャリアブレイクほど人は選ばないが、通常よりも肩の力を抜ける取り組みを紹介します。
キャリアブレイクとは、一時的に仕事に就かない休憩期間(ブレイク)を指します。
「キャリアの再検討」と「心身のリフレッシュ」を同時に行える取り組みですが、これを行える人は限られています。
たとえば3ヶ月ブレイクしたいとして、できるでしょうか?
通常はできないと思います。なぜなら、まず現職では通常(病欠などの理由なしに)これだけ休む手段がありませんし、離職した場合は当然再就職の保証がないからです。
結局、キャリアブレイクとは、病欠レベルの強い理由を持っている人(強い事情)、あるいは「まあ転職できるだろう」との自信・実力(強い実力)を持つ人だけが行えるものです。
多くの人にとって、キャリアブレイクは非現実的です。そもそもキャリアブレイクできるだけの強い実力を持っているなら、キャリアごときで苦労などしません or どうとでもきます。あるいは、閉鎖的すぎて冷静になれていない強い人が冷静になるのに役に立つ程度です。
キャリアブレイクよりも、もう少し現実的に使える概念を一つつくりました。
キャリアドリフト(Career Drift)とは、キャリアについて考えるのをやめることを指します。Driftには漂流する、放浪するといった意味があります。ぷかぷかと浮いて身を委ねるくらいでいいじゃないか、とのニュアンスです。
もちろん、ただ思考停止して留まるだけでは将来が危ないですから、それなりの備えはします(後述)。それでも、中長期的なキャリアについて考え続けて疲弊するよりはマシだと考えます。
具体的には、以下を行います。
それぞれ三つありますので、詳しく紹介します。
定期的とは、たとえば毎週日曜日にやるとか、毎月10日にやるとか、あるいは毎日やるなど特定の頻度で欠かさず行うことを指します。
習慣や日課というほど強力ではなく、やる機会は確保しておいて、できないならまあサボってもいいかくらいで考えてください。もしこの認識でサボりが常態化するのでしたら、まずは習慣や日課レベルで強く頑張りましょう。
内省は難しい、だからこそ使えると頼もしいとは、自分ひとりで誰にも邪魔されずに集中的に深く振り返ることです(当サイトの定義)。
自分の本心と向き合えたり、向き合った上で良さそうなアイデアが思いついたりします。これは自分ひとりで、誰にも邪魔されずに考え事をすることでしか至れません。
内省により、本心と現実のバランスを取れるようになります。自分の気持ちは自分にしかわからないし、全部他人に見せるわけにもいきませんし、もちろん自分の気持ちを知らない他人からの正論などくそくらえです。よって、内省ができない人は自分の人生を生きられません。実際忙しさに溺れたり、推しや宗教に依存したりする人は多いです。
キャリアドリフトでは、キャリアという拠り所がなくなるので、定期的に内省することで自分を保つ必要があります。
キャリアファサードとは、キャリアの提出が必要な相手向けの「適当なハリボテ」です。
今年度の業績目標だとか、中長期的なキャリアはどうするのかといったことはよく問われる(これをキャリアの提出と呼んでます)と思いますが、これにはハリボテで対応します。ファサードとはハリボテの意味です。つまり真面目に考えすぎず、評価する人達に納得してもらえる程度の作文ができたらそれでいいと考えます。
特に重要なのが自分を曲げて、その居場所で重視されている立ち回りを無難に取り入れて、無難に評価してもらうことです。
キャリアの提出機会は定期的にあるでしょうから、キャリアファサードも定期的にアップデートするのが望ましいです。
ミニマイズとは、ミニマリズムのレベルで大胆に捨てることです。日本では断捨離として知られていますが、これは断捨離®であり商標であって使いづらいので、当サイトではミニマイズと呼んでいます。
ありきたりですが、抱えるものが多いと、それだけでエネルギーを消耗します。要らないものは捨ててしまった方が楽です。また必要になれば、その時買えば or 借りればいいのです。
ミニマイズは、キャリアドリフトにおいては重要です。
従来の「キャリアを絶えず考えてそれに向かって頑張る人」は自己犠牲的なもので、キャリアという目標で自分を奮起させます。目標のためには手段を選ばず、進み続ける才能が求められます。たとえば部屋が汚いといった些細なことなど気にしません。
しかし、キャリアドリフトでは、そのキャリアなるものを捨ててしまうわけですから、拠り所となる目標もないわけです。この状態ですと、細かいことを無視してがむしゃらに進み続けることもできません。細かいことも気になりだして(無自覚であることも多い)、消耗に繋がっていきます。だからこそ、意識的に「これ要らないんじゃね?」と振り返った上で、要らなそうなら思い切ってミニマイズしてしまうことが重要なのです。
恒常的とは、習慣や日課として絶えず続けることを指します。
キャリア・ドリフトは、言ってしまえば「日頃から自分なりに鍛えておいて」「チャンスが目に入ったら飛びつく」生き方です。前者の日頃から鍛えておく部分を、この恒常性でカバーします。
スタイルとはワークスタイルやライフスタイル、もっと言えば自分なりの生き方を指します。
死守してください。自分のスタイルを守り続けられるような過ごし方を心がけてください。必要なら提案や衝突をしてでも守ってください。
というのも、キャリアドリフトでは、キャリアを目標にして自己犠牲的にがむしゃらするのをやめて、マイペースの方に寄せた生き方だからです。マイが大事なのです。
※もちろん現実はそう単純ではないので、通常はどこまでアピールしてどこで妥協するかといったバランスを探り続けることになります。そういう意味でも「恒常的」ですね。
自分のスタイルを守るつもりがないか、守らなくてもどうとでもできる人は、キャリアドリフトには向いていません。スタイルに依存せずとも生きていけるということであり、優秀でしょうからキャリアブレイクでいいと思います。
余裕とは、当サイトでスラック(Slack)と呼んでいるものであり、時間的・精神的な「最悪何もしなくても済むという余り分」を指します。
少し前にワークとライフに加えて「スラック」もあると良い、との記事を書きましたが、まさにこのスラックです。
キャリアドリフトは、キャリアのために自分を捨ててがむしゃらに動くことをやめた生き方です。かわりに、マイペースに自分をメンテナンスします。ということは、メンテナンスするための余裕がある程度は必要ということです。
余裕は自ら確保しにいかない限りは生まれません。現代は仕事も忙しいですし、スマホにSNSにゲームにと注意も奪ってくるので、自らたとえば「1日3時間くらいは暇でいよう」と考えて、守る行動を続けなくてはなりません。
そんなのもったいない、常に何かしていたいという人はキャリアドリフトには向いていませんので、回れ右してください。たぶんこれまでどおり、キャリアのために自己犠牲的にがむしゃらに働く方が向いていると思います。
書籍『7つの習慣』にて「刃を研ぐ」との表現が出ますが、同じようなものです。日頃から自分を鍛えることで強くしておきます。
具体的にはトレーニングとアップデートとアンテナです。
何にどれだけ費やすかは人次第でしょうから抽象的なことしか言えませんが、とにかく鍛錬的なもの、変える的なもの、追いかける的なものと3つの行動をもって日頃から自分を強くするものと捉えてください。
キャリアドリフトでは、偶然起こる「良さそうなイベント」や「応えた方が良さそうなイベント」が起きたときに、なるべく応えるようにします。計画的偶発性理論など、キャリアに偶然の要素が強いことは昔から知られています。だったらもう、最初から偶然起きたら応える、とのイベントドリブン的なスタイルで良いんじゃないかと開き直るわけです。
ただし、何もしないと応えづらいですし、起きたことにも気付けないかもしれないので、日頃からなるべく備えています。それを 1: の定期的、2: の恒常的の形で解説しました。
内省もそうですが、自分なりに考えていると、ふと「あ、見えてきたかも」「たぶんこういうことだ」との気づきが訪れます。
見えたきたら、さっさと行動します。直感は正しいと言われますが、同じことです。それ以上の思考は大して意味がないので、さっさと行動してみて検証しましょう。
このカジュアルな仮説検証をどれだけ行えるかが、キャリアドリフトの成否を決めます。仮説検証をせず、ただ考えるだけの人は頭でっかちにすぎません。
といっても、製品をつくるという大げさな話ではありません。
たとえば内省で「あ、最近毎日だるいのは食事量が絶対的に少ないからでは?」が見えてきたとしたら、食事量を増やしてみる行動(検証)をするのです。少ないからでは?の想像で終わるのではなく、まがいなりにも見えてきたのですから、仮説ととらえて検証してみるわけです。こうして行動に移さない限り、次には進みません。
なんか良さそうな機会が起きたな、と思うことがあります。そういうときは飛びついてみます。
たとえば会社で、新規事業や組織改善のタスクフォースが新たに立ち上がるとして、それを見て何かビビッと来るものがあるとしたら、手を挙げてみるというものです。だるいから、怖いからと相手にしないのではなく、ビビッと来たとのシグナルを信じて、やってみるのです。
ただし、このChance Eventをどう処理するかは人次第です。ビビッと来た、のような直感が大体正しい人もいれば、内省を通して改めて見直してから判断した方が良い人もいます。
最終的にはリスクをどこまで許容できるかの話になると思います。上記の例だと、仮に「最悪1日1~3時間残業が増えそうだ」とわかったとしましょう。これを受け入れるかどうかは自分次第です。
Cue は合図を意味します。何らかのお願いやヘルプといった合図が来たら、応えてみましょう。
Cue Event は、上からの命令やバイネームでのお願いというわけではなく、「誰かやってくれないか?」と言われても、でも誰も応えてない類のものです。明示的に声は挙がっていないが明らかにニーズがあるものも含みます。
こういうのにも積極的に応えてみると良い、と言っています。Cue Event は、その居場所において明確に求められているものです。好き嫌いはさておき、応えていくことで確実に貢献を稼げます。要はポイント稼ぎです。
情報は情報を出す者に集まるといいますが、同様に、機会も機会に応える者に集まります。ありきたりですが、応えてくれる人に頼りたいのが心理ですし、そうでなくとも応えていけばその分目立つからです。
キャリアというと主体的に切り開いていくイメージがありますが、Cue Event に応えて存在感を増すムーブをするとキャリアが受動的に拓かれていきます。Chance Event が集まりやすくなります。
もちろん、イエスマンとして何でも応えてしまってはあっという間に多忙になります。そうならないために、定期的・恒常的で挙げた諸々のメンテナンスも必要です。そうして自分を保った上で、マイペースに Cue Event を消化していくのです。