ハイブリッドワークとは、「週2日出社」のように出社タイミングを一律で定める働き方を指します。
いかにも「リモートと出社の両方に配慮してますよ」感を出していますが、まだまだ出社寄りのやり方であり、融通が利きません。
この問題を解消するのがフレキシブル・ハイブリッドワークです。
ハイブリッドワークは、関係者全員に一律的な出社タイミングを課します。
たとえば毎週金曜日は出社せよ、などとします。数字で見れば週5日のうちの1日ですが、だからといって無闇に許容すればいいものでもありません。この感覚がわからなければ、「もし毎日、90分の定例会議があったら」と考えてみてください。1/5 の時間なので本質的には同じです。
たとえ 1/5 であっても、意外と融通は利きません。
まず仕事や生活の全体を、この 1/5 のイベントに合わせなくてはならないからです。少なくとも週一で参加(出社)しなければならないため、オフィスから離れた遠方に住むことすらできません。出張すれば可能ですが、交通費や宿泊費もばかになりませんし、そもそもそんな太っ腹なケースはあまりないでしょう。
また、「その日は参加することが当たり前」との合意が事実上形成されてしまい、情報格差が生まれます。情報格差をなくすためには、参加した側が、しなかった側のための整備をせねばなりませんが、参加が是との合意があるため、しなくなります。
そういうわけで、ハイブリッドワークは、まだまだ出社寄りに偏ったあり方でしかありません。
ここで「そんな大げさな。もちろん事情があれば配慮するでしょ」と思われるかもしれませんが、意外とそうもなりません。
多様性として認められるのは「典型的な多様性」であることが多いからです。
典型的じゃない、マイノリティ側の人達は痛感していると思います。特に日本は思っている以上にルールと和を重視しますから、個別の配慮は中々勝ち取れません。
たとえば、
「金曜は華金で早く上がって遊びたいから、通勤時間を要する出社は嫌です」
「この華金は私の QoL にとって非常に重要です。ネガティブに捉えられることはわかっていますが、それでもこうして相談するほどに重要なんです」
は許容されないでしょう。
返しとしては、おそらく「会社としての方針だから」のような言い方が来ると思います。従業員よりも会社を優先しているわけです。
会社のあり方は千差万別ですが、従業員を尊重することは現代ではもはや前提だと思います。仮に「社員を大切にする会社です!」のようなアピールをしている企業がこの程度だとしたら、鼻で笑われてもおかしくないほどの有り様です――し、実態としてはそんなものだったりします。
ハイブリッドワークなどという融通の利かないやり方しかできないのは、他のやり方や考え方を知らないからです。
『仕事術2.0』は、そんな皆さまのために様々な仕事のやり方や考え方を開発・紹介しています。今回はフレキシブル・ハイブリッドワークを紹介します。
フレキシブル・ハイブリッドワーク(Flexible Hybrid Work, FHW)とは、以下の働き方を指します。
表で整理すると、次のとおりです。
フルリモートほどではないが、単なるハイブリッドよりは融通が利く。
重要なのは出社タイミングという観点です。融通を左右するファクターに注目し、ここを緩和しています。
※この観点はフルリモートでも顔を出します。フルリモートであっても、たまに(まれに)出社タイミングを指定したイベントを定めることはよくありますが、これは融通が利かないのです。実質的に、参加できる人しか想定されていません。ここさえも緩和したのがスーパーフルリモートですが、本記事では割愛します。
Ans: 違います。
フレキシブル・ハイブリッドワークという言葉はNTTコミュニケーションズも扱っています。
https://www.ntt.com/business/services/rink/knowledge/archive_109.html
ですが、これは単にフレキシブルワーク(自分で時間と場所を決めて働く)にハイブリッドワークを混ぜて、かつその手段として同社のサービスを盛り込んだ営業用の用語にすぎません。
そもそもフレキシブルワークがしたいなら、ハイブリッドなど要りません。自由に時間と場所を決めたいなら、上述したスーパーフルリモートで済みます。フルリモートも出社が「不要」と言っているだけで、別にしたい人はできます。
いくら技術的手段が揃っていても、文化的または政治的な理由で出社寄りのあり方になります。ハイブリッドワークが現にそうなっています。
これに抗うためには、本記事が扱うFHB――出社タイミングをこりほぐすあり方が必要なのです。
FHWを実現するためには、諸々のハードルを越えたり迂回したりする必要があります。
どうやっていくか、特にどのような考え方をするかを解説します。
理由は単純で、皆が集まらないと・居ないと意味がないからです。
よくある声が「せっかく出社したのに誰もいないんだが……」ですが、こういうことをなくしたいわけですね。
会議がまさにそうですが、毎回調整するとかえって手間なので、定例会議にしてしまいます。同様に、ハイブリッドワークでも出社タイミングを定めてしまうわけです。
では、皆で集まりたがるのはなぜでしょうか?
そういったことは皆が集まらないとできないことなのでしょうか?
答えはNoです。
昔はYesでしたが、現代は違います。技術も方法も揃っていますし、何なら新しいやり方や考え方をつくれば済むことです。そういった視座を持たず、従来の原始的なあり方にいつまでもこだわっているから、一向にできないのです。
皆が集まらないとできない=皆を合わせないとできない、というあり方を拘束的なパラダイムと呼びます。レトロニムです。
レトロニムということは、これ以外の、新しい概念があるということです。それが脱拘束的なパラダイムです。
脱拘束については以下記事で紹介しています。
要は、拘束なしでも上手くやるためには、それ相応のやり方と考え方を採用する必要があります。
抜本的にデジタルのあり方にシフトするパラダイムをDXと呼びますが、似たような転換です。
たとえば、非同期コミュニケーションの部分におけるシフトがAX――Async Transformationです。
やり方と考え方と書いてきましたが、重要なのは考え方です。
やり方自体はすでに揃っています。その活用と推進を邪魔しているのは出社至上的な価値観です。文化や政治にも絡んでくるこれらを変えることは不可能でしょう。
だからこそ、新しい考え方を導入する必要があります。『仕事術2.0』が導入しようとしているのが、上述した脱拘束です。
グルーミングを例にして、ただのハイブリッドワークのときと、FHWのときとで、どのように実現するかを比較します。
グルーミングについては以下記事を参照してください。
まずハイブリッドワークのときは、出社タイミングを定めた上で、そこにグルーミングのイベントを置きます。全社的なイベントもあれば、グループ内部の定例的なイベントもあるでしょう。
いずれにせよ、グルーミングをするために、このタイミングで集まれよと拘束を課すわけです。
次にFHWのときにどうなるかを見てみましょう。
まず出社が必要なイベント自体は開催しますが、参加は強制ではありません。できない人、やりたくない人、あるいは普段はできるけど今回はだるいからやらない人は参加しなくても構いません。
ただし、これだと参加した人としていない人とで格差が生じます。親密格差とでも言えばいいでしょう。おそらく、参加している人達は、同様にしている人達を優遇するはずです。これが積もると結局情報格差が繋がります。グルーミング用の出社イベントに参加した方が有利になってしまうのです。
これを防ぐためには、情報格差を防ぐ仕組みが必要です。仕事や会社の情報は、全部社内のオープンなシステムに出すようにして、そこで日々やりとりをします。
こうではなく(あるいはこうしてもいいが)、
こうします(少なくともこうはします)。
後者の形で出すようにすると、仲の良さとか、親近感とか、好き嫌いといったものに左右されなくなります。システム上に出しておけば誰でも読めますし、ここでやりとりもできるからです。
情緒ではなく情報を扱って仕事ができます。別の言い方をすると、グルーミングが仕事の必要条件ではなくなるのです。
別にグルーミングしたい人はして構いません。ただ、それを必須にするのではなく、仕事の分はちゃんとシステムに出しておけよ、というわけです。この考え方は最近、以下記事でも書きました。
別解として、たとえば全国に拠点のある大企業の場合は、無理して一箇所に集まらずとも、拠点であればどこに出社しても良いようにすることもできます。
勤務地のルールくらいは変えられるはずですし、拠点間をシームレスに繋げる製品もあります。
そもそもリアルにこだわる必要もないでしょう。バーチャルオフィスは色々とありますし、マインクラフトのようなゲームもあります。
リアルで出会えないと満足できない人もいるでしょうが、誰しもが本当にそうでしょうか。
そもそもリアルで会わないといけない理由とは何でしょうか?
別に会わなくても仕事はできますし、信頼関係もつくれますし、満足もできると思います。できないかもしれませんが、やってみないとわかりません。やってみたのでしょうか。ZoomやTeamsをちょっと試したくらいで、やった気になってはいないでしょうか。
と、このようにして、脱拘束でも成立するようなあり方、特に考え方を導いていけば良いだけの話です。
『仕事術2.0』でも様々な考え方を扱っていきますので、ぜひ参考にしてください。