非同期コミュニケーションの本質と必要性や「情報共有」とはオープンであることが進まない主因は、そもそもそういう発想や習慣がないことにあります。
ここを補うために使えそうな、比較的身近な概念が下書きです。
対面口頭などリアルタイムなコミュニケーションですと、その場で喋って(書いて)終わります。「下書きする」という発想がありません。
一方、まとまった情報をつくって共有するときや、単に非同期コミュニケーションをするときは、その場でつくりきることは必須ではありません。たとえば、一週間前に書いたものに対して、続きを書き足して仕上げたり、あるいは投稿したりといったこともします。
このようなリアルタイムにとらわれないあり方を支える概念が下書きだと思います。
下書きという言葉は、わかりやすいはずです。すでに多くの人が多かれ少なかれ、やっているものだとも思います。
下書きを支援する仕事術やツールがあれば、それは非同期コミュニケーションや情報共有の啓蒙に繋がるでしょう。
継続的下書き(Continuous Drafting)とは、下書きという営みを常用することを指します。
すでに日常生活ではSNSが、仕事でもTeamsやSlackなどビジネスチャットが常用されていると思いますが、この「常用されるもの」として下書きツールも加わるイメージです。それほどに日常的に下書きを行うのが継続的下書きです。
新しい利便性をもたらします。
具体的には、非同期コミュニケーションや情報共有といった現代的な働き方を手に入れることができます。
現代は技術も方法も整った時代ですが、まだまだ働き方は原始的です。時間も場所も拘束した会議やワークばかりしています。
リモートやフレックスも当たり前に行えるはずなのに律儀に出社していますし、フルリモートフルフレックスを謳う会社であっても、実態はコアタイム中にオンライン会議ばかりしています。拘束という原始的な制約から脱せてないからです。
当サイトでは、このあり方から脱することを脱拘束と呼んでいます。
脱拘束に必要なのが非同期コミュニケーションと情報共有であり、この二つを行うのに使えそうなのが下書きです。
つまり継続的下書きは脱拘束を進めます。
下書きという概念を改めて整理しておきましょう。
下書きとは、自分が書いて、自分自身だけが見ることのできる、未完成・未提出の情報を指します。
何らかの会議や提出を伴う資料はわかりやすいでしょう。本番として出す最終版をつくる以前の資料は、おそらく下書きとしてつくるはずです。
SNSやチャットなどのコミュニケーションでも使われているかもしれません。一気に書いて送るのではなく、まずは手元で下書きします。時間をかけてのんびりつくったり、あるいは一日寝かせてみてチェックしてみたりするでしょう。
脱拘束を行うためには、情報を、皆(少なくとも関係者)の見える場所に出さねばなりません。
これは原始的な過ごし方しか知らない人にとっては、とてつもないハードルになります。ハードルの一つとして「そんな短時間ですぐ書いて出すことなんてできない」があります。
そんなことはありません。むしろ、手元で色々と書いていたものを小出しにしたり、前使ったものをまた出したり、少し書き換えて出したりといったことが多いです。
こう聞くと、なんだか非常に難しそうな営みに見えますが、単に下書きをしているだけです。原始的なコミュニケーションにおいても、人や状況に応じて何を出すかを使い分けていますが、それと同じです。ただ手段が違うだけです。
毎回その場で新しく書き始めるのは大変ですから、下書きしていたものを出すのです。
本当はツールの形で使えたら良いのですが、現状、継続的下書き用のツールはありませんので、コンセプトをお伝えします。
※「ビジネスチャット」レベルのポテンシャルがあると思いますので、ぜひツール化や事業化のネタとして使ってください!
ターゲットとは「何に対する下書きか」の「何」を指す単位です。
ターゲットの例を挙げます。
継続的下書きでは、ターゲットごとに下書きを書きます。仮に5人の部下を抱えるマネージャー🐵さんがいるとしたら、🐵さんは5人分のターゲットは持つでしょう。部下である🐶さん向けの下書きは、「ターゲット🐶」のところに書くのです。
ツールとしては、たとえば以下のように見せるイメージです。
まずターゲットを選んでもらって、その先で下書きをする。
下書きのUIですが、X(Twitter)やTeamsのような、単純なものを厳守したいです。
というのも、マジョリティはこれ以上複雑なデジタルツールを扱えません。
ツールとしてはチャットの他にも対面口頭以外の情報共有とコミュニケーションは「QWIC」があるのですが、ビジネスでも、ゲームでも、SNSでも、まだまだチャットばかりが使われています。それが現実です。
用が済んだ下書きはアーカイブにした方が良いでしょう。つまり、
とします。
なぜかというと、タイムラインにいつまでも用済みの下書きが残っていると収拾がつかなくなるからです。終わったものは、タイムラインからは消さねばなりません。
別の言い方をすると、タイムラインはインボックスであり、インボックスゼロはまだまだ使えますにしたいのです。メールやメッセージを大量の未読のまま残す人は多いですが、そんなことをしちゃうと継続的下書きは破綻します。継続的下書きは能動的に書く営みであり、従来の「外から来た情報を受け取る仕組み」とは全くの別物です。破綻を防ぐには、インボックスの概念は必須です。
しかし、下書きは再利用したいことも多いので、削除するわけにはいきません。そこでアーカイブにして、タイムラインからは隔離します。もちろん、隔離といっても、ビューを変えれば見に行くことはできますし、検索もできます。X(Twitter)でいうリスト的な機能を入れて「よく使う下書き」を束ねられるようにしておくのも便利でしょう。
もう一つ重要なのが、アーカイブをちゃんと機能させることです。
具体的には、アーカイブという操作をこまめに行えるほどマジョリティは賢くないので、ツール側から気付かせねばなりません。
といってもリマインダーで知らせるか、時間経過で自動的にアーカイブ化するか、くらいでしょう。
自動アーカイブの場合、下書きの存在そのものを忘れるといけないので、「アーカイブされた下書きがあります!」のようなお知らせは要るでしょう……が、自動アーカイブは「勝手に操作された感」が受け付けないでしょうし、細かい時間設定のカスタマイズをマジョリティが行えるとも思えません(それができるなら自発的にアーカイブできる)。
ですので、リマインダーの路線か、何なら全面的にウィザード化して、それに従うだけで上手い感じになってくれる路線が良い気はしています。
継続的下書きツールで書いた下書きは、何らかの形で外に出す必要があります。コミュニケーションツール上での返信なのか、どこかに提出する資料なのか、はたまた仕事の成果物なのかはわかりませんが、どこかに何かを出します。
この部分を全部手作業で行うのは地味にキツイので、楽したいです。
具体的にはコピペをしやすくします。ボタン一発でコピーできることはもちろん、余計なミスや書式のブレも修正してくれるとなお便利ですね。
ここで「ツールと連携させて、ダイレクトにアップロードなり投稿なりさせればいいのでは?」と思いがちですが、これはアンチパターンです。というのも、下書きはあくまで下書きであって、提出前は提出用の場所で最終的な仕上げがしたいからです。
ですので、一見すると不便に見えますが、コピペだけサポートして、最終的な仕上げは任せた方が良いと考えています。
既存のツールでも実現できなくはないです。
要は「ターゲット」という箱をつくって、それぞれごとにタイムライン的なメッセージを流せるツール(あるいはこれと同等の情報単位を持てるツール)なら何でも可能です。
いくつか例を挙げます。
いずれにせよ、できないことはないですが、決め手には欠ける印象です。
やはり継続的下書き用のキラーアプリの登場が待たれます。