多様性(Diversity)や多元性(Plurality)と似た概念として、多色性(Polychroity)を開発したのでご紹介します。
ポリクロイティ(Polychroity, 多色性)とは、以下の性質をあらわす言葉です。
また、これら性質を前提とした、以下の考え方も含みます。
原義は、鉱石に見られる多色性です。
三つの原則で整理しました。
品質とスピードはトレードオフといいます。このように、たいていはAとBが両立できず、片方を取れば他方が犠牲になる構造になっていて、トレードオフと呼ばれます。
しかし、このトレードオフの理は壊せます。
情報を十分集めて、十分な熟考と議論を行うと、どちらも損ねない自然な結論を出せます。あるいは、どちらも両立できるようなやり方・考え方をつくって、これを維持しながら進んでいくこともできます。
たとえば PLURALITY 本(1)では、デジタルを駆使すれば現状トレードオフ的な政治を再興できることを示しています。また IT 開発における品質とスピードのトレードオフについても、継続的デリバリー本(2) などが示すように、継続的に測定する仕組みを最初からつくって維持していけば壊せます。
これらはまさにポリクロイティです。色んな見方を出して、議論して、突き詰めることで、トレードオフを壊せるほどの新しい境地を切り開けています。
ですので、ポリクロイティを推進したければ、トレードオフを壊せるくらい情報を、意見を、熟考や議論を突き詰めてみるといいのです。
ポリクロイティにおいては、とにもかくにも情報です。まずは情報を出さないことには話になりません。
ここではアウトプットを「第三者が理解できて、活用できるかもしれない情報」と定義します。ポリクロイティとは、多彩なアウトプットを出し続ける営みとも言えます。
しかし、アウトプットは色々な理由で出し渋られます。
たとえば:
こういったものをアウトプット障壁と名付けています。障壁を減らせば減らすほどポリクロイティが促進します。
端的に言えば、結局のところインセンティブがないと人は動かないですし、インセンティブとは快楽 or 評価ですから、以下のいずれかが必要です。
当サイトとしても、いくつか仕事術を提案しています。
当然ながら、これらには相応の投資が必要ですが、そこは権限を持つ者が投資せねばなりません。DXや変革もまさにそうで、当サイトとしても強調しています。
さらに言えば、投資できるほどの見識を持つためには、仕事術(仕事のやり方や考え方)を学ばねばなりません――というわけで、当サイトのように、仕事術をつくる目線で語る者が重要になってくるわけです。
と、さりげなく宣伝になっちゃってますが、ともかく、アウトプット障壁をできるだけ減らしてください。
ここで中継役とは、居場所Aと居場所Bの双方に属する者が、Aで得たことをBに持ち込むことを指します。情報を中継しています。
※ここでは語感のために Relay Role と小難しく言っていますが、別に中継でも触媒でも紐帯(ちゅうたい)でもブリッジでも何でも構いません。
ポリクロイティにおいて情報を出すことが最重要ですが、だからといってもなんでもかんでもフルオープンにはできません。現実的には、各自が属している居場所(組織でもコミュニティでもなんでも)に入って、その中で小さく共有するのが主になります。
ですので、情報共有を増やしたいならば、そういう共有の活動を増やさねばなりません。これを端的に述べたのが中継役であり、中継役になれ、との形で原則化しています。
私達はひとりひとりが、様々な居場所にいるはずです。Aで得たことを、Bに持ち込むということは、やろうと思えばできるはず。
その行動が、Bに小さな変化をもたらします。一つ一つは小さいかもしれませんが、その蓄積が大きな影響につながるかもしれません。実際色んな居場所に色んな情報が持ち込まれることになるわけですから、ポリクロイティも進みます。
以前、以下の仕事詩を書きました。
多元性は⿻の文字で表現されます(*1)。だとすると、多様性は点の集合と捉えられると思います。これで面と点が揃ったので、あとは線があるはずだ――との知的探求を表現しました。
さて、線の案は色々考えられますが、試しに一つつくってみようということで生まれたのがポリクロイティです。
「多彩性」なる概念をつくっています。
これはトランプ大統領のDEI撤回を受けて、多様性という言葉の訴求力が落ちることを懸念して、代替として提案したものです。