仕事術(仕事のやり方や考え方)も道具と言えますが、工具やソフトウェアではない「概念的な」道具です。
ちゃんと向き合って、検討して、取り入れるためには、それなりのブツが必要となります。「さしすせそ」で整理しました。
サルベージ(Salvage)とは、意識の奥底にあるものを救出することです。薄々気付いている内心を自覚し、言語化するとも言えます。
なぜサルベージが重要かというと、仕事術が本質的に個人的なものだからです。
何をどのように使うかは自分で決めねばなりません。あるいは、それができないなら、何かに任せればいいですが、その何かを決めねばなりません。
この原則が嫌だとしたら、正論やセオリーに従えばいいですが、難しいと思います。私たちは人間であり、感情や事情といった文脈を持つからですね。他人やシステムには推し量れません。
文脈を踏まえたいなら、自分でやるしかないのです。そして文脈とは自分の意識(世界をどう解釈しているか)ですから、それを知れ、ということになります。
当サイトではよく「軸を持つ」と表現しています。軸がないと判断のしようがなく、なにかの言いなりになることしかできません。
特に仕事術は、主に文化的・経済的な理由で、古い単一のやり方ばかりが幅を利かせがちです。軸を持たないと、為す術もなく従うことしかできなくなります。信者と化するのなら、それはそれで良いのですが、誰にでもできるとは限りません。
というわけで、自分に眠っているはずの軸を救出してください。
システム(System)とは、その人個人が持続するための仕組み全般を指します。
まず、その人固有の仕組みが要る理由を書きます。
私たちは有限の存在ですが、持続性は当たり前に求めると思います。以前持続的な生産性について書きましたが、
傑作を一つ生産できたら死んでいいかというと、たいていは違いますよね。また生産できたりできなかったりといったムラもなくしたいと思います。安定的に生産を継続できるあり方が良いはずです。
さて、持続するためには、テキトーな生活では上手くいきません。わかりやすく言うと、食事や睡眠は必要ですよね。
問題は、どう過ごせば持続のラインを保てるかが人によって違うことです。自分のラインを見つけて、守らねばなりません。
※一見テキトーに過ごしている人でも、単に無自覚 or 恥ずかしくて言ってないだけで、自分なりのラインを見つけて守っています。本当にテキトーに過ごしている人は、たぶん 0.1% もいないんじゃないかと思います。
次に仕事術とのかかわりをお伝えします。
仕事術は道具であり、日頃からあれこれ試す――始めたり、変えたり、微調整したり、やめてみたりといったことをするものです。厄介なのは、冒頭で述べたとおり「概念的な道具」であることで、テキトーに使うということがそもそもできません。
どこにどんな仕事術をどう適用するのか、という自覚が必要です。どの「どこ」にあたるのがシステムです。
もっとも仕事術の適用先が「自分」や「自分のシステム」とは限りませんが、たいていは何らかのシステム(つまりは仕組み)です。仕組みを自覚して、この部分がこうなっているから、それをこう変える、といった考え方をするのです。言わば仕組みのDIYであり、このDIYで使う道具が仕事術なのです。
もっとも身近な仕組みは、ここでいうシステムです。特に自分のシステムですね。
生活リズム、人との付き合い方、使っている場所や道具――普段使っているものや過ごし方が色々あるはずです。これらを自覚し、もっと良くするためには、を考えることで「仕事術という道具を使う」立場に立てるようになります。加えて、自分のことなので使うこともしやすくて、入門としては最適なのです。
※ちなみに、自分のシステムよりも他人や集団のシステムについて考える方が得意な人もいます。他人や集団を動かせる要領があるなら、それでも構いません。しかし、動かせないと「仕事術という道具を使う」ことができず、意味がないので、要領がない人は、やはり自分のシステムから始めましょう。
自覚できないと何もできません(やりようがありません)が、自覚できれば変えられる可能性があります。変えてもいいのだと気づけます。
スラック(Slack)とは余裕を指します。
仕事術を知り、学び、実際に試したりするだけの余裕がなければそもそも話になりません。
恒常的にやりたいなら1日1時間は欲しいですし、現状を打開したい場合でも、たとえば3時間、それが厳しくても1時間、30分くらいは捻出しなければならないわけです。
もう一つ、時間だけではなく、認知資源やメンタルも重要です。いくら時間を捻出できても、残業後で頭が疲れてます、慢性的な疲労やストレスで何もやる気が起きません、では意味がないのです。
要は何かをするためにはリソースが必要、という、ただ当たり前の話なのですが、仕事術という観点ではなぜか忘れ去られます。
1日1時間すら捻出しようとしないのです。
スラックについては、当サイトでもすでに解説しているので、参考にしてください。
セーフティー(Safety)とは、個人的な安全性を指します。
サルベージの項でも述べましたが、仕事術は本質的に個人的であり、それゆえ集中を要したり、個人のプライベートな部分にまで立ち入ったりします。仮に、他人に割り込まれる可能性があるとしたら、まともに取り組めないですよね。
邪魔されることなく取り組めるという安全性が重要なのです。
当サイトとしても重点的に解説してます。
安全性は特に「自分が自由に使える、まとまった時間」に左右されます。ここをいかに侵害されないかが重要です。
ソロワーク(Solo work)とは、チームワークという本番試合ばかりではなく、ひとりで活動する練習やトレーニングの機会も必要だよねとする考え方です。
以下記事で解説しています。
仕事術において重要となる理由は二つあります。
一つは、個人の仕事術は自分にしか通じないので、自分だけで行動できた方が動きやすいよねという話。
もう一つは、「チームや組織の仕事術」を考える際に、皆で話し合いながら行うのはそもそも無理だという話です。
※だから現代でもまだまだ働き方は下手くそです。未だに9時~17時のような朝型のスタイルが主流だったり、全員に同じ働き方を課したり、リモートできるのに出社させたり、原始的に会議ばかりしたりしますよね。
じゃあどうするのかというと、まずは各個人で考えて、「私はこうすればいいんだけど」といった形で「仕事術」を提案します。これを皆で揉むのです。そうしていくことで、そのチームその組織で使える「仕事術」が見えてきます。
ということは、その「仕事術」をつくるための時間が必要ということです。チームワークではできません。