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本記事はモンスター・エンジニアリングの一手法です。モンスターエンジニアリングの解説は以下記事を見てください。
本題に入ります。
オープンケージ(Open Cage)とは、モンスター社員を上手く閉じ込めつつも活用するための手法です。
モンスター社員(以後モンスター)を、チームや部門など専用の組織単位に集めます。これをオープンケージと呼びます。
オープンケージ。
モンスターはプロジェクトワークやクライアントワークを負いません。
代わりに、モンスターは社員全員に見える形で進捗やアウトプットを出します。
社員全員は、これらをいつでも誰でも自由に見たり活用したりできます。
アイドルとは「推す」という一方的な妄想や偶像化をぶつけることが許された存在です。
モンスターも同じようなもので、全社員から遠慮なく言及されたりフィードバックを受けたりすることが許された存在です。
あらゆるモンスターがオープンケージに入れるとは限りません。満たすべき要件があります。
当然ながら檻の中で過ごし続けることに耐えられねばなりません。
また、お世話係などはつけないので自律できる必要があり、その力を持つかどうかの目安が「オープンゲージの概念を理解できること」です。
つまり、
の2つを双方とも備えている必要があります。双方を備えていると、おそらく自律性も持っています。
オープンケージの運営や利用者とのコミュニケーションは、基本的にテキストで行います。
少なくともメールやビジネスチャットを当たり前に使いこなせるスキルが必要です。これには、第三者にわかる程度に応答できる素早さや言語化・国語力も含みます。
ネット上で発信活動を続けられる程度の力があれば問題はありません。
※一般的な社員がこの程度の力を持っていることは、実はあまりありませんが、モンスターであればまだ高いです。
一つの目安としては、以下のいずれかです。
モンスターは全社員に対してアウトプットを続けることで貢献する存在ですので、この程度の継続性は必須です。
※毎日更新が必須という意味ではなく、この程度の力が要るという意味です。実際は毎日更新できるとは限りません。たとえば、長大なアウトプットをつくる場合は更新が途絶えることがあります。
実現に必要な考え方ややり方を、かんたんに整理します。
階層組織的な上司として管理と承認を負う、といったあり方はいけません。モンスターの力を生かすためには、モンスター各々が自律的・主体的に活動できることが絶対に必要です。
もちろんモンスター各々の働き方も自由であり、たとえば朝5:00から勤務する朝型もいれば、昼13:00から勤務する夜型もいます。また、定例会議や審査など会議もないはずです。基本的にはアウトプットとテキストコミュニケーションで済ませるべきです。
※必要であれば個別にモンスターと調整します。
ただし、全社的なガバナンスを最低限利かせるための存在は必要です。ティール組織では助言プロセスと呼ばれますが、「意思決定権は持たないが助言をする」存在を確保します。仮にアドバイザーと呼びましょう。
このアドバイザーがマネージャーのようなもので、モンスター達に、必要に応じて助言や情報提供、その他対話も行います。
「必要に応じて」がポイントであり、「週一で定例で1on1をしよう」などと強要してはいけません。モンスターはフリーランス的であり、かつティピカルワークを抱えているわけでもありません。どう働くかの主導権はモンスターにあります。
もう一つ、自律的なモンスターを上手く制御するためには、憲法やガイドラインのようなものがあると便利です。ティール組織の特徴でもあり、当サイトではプロトコルと呼んでいます。
ティピカルワークをしない関係上、通常の評価方法では難しいので、全社員の動向や声からデータを取るようにします。
また、このとき、昇進など出世競争を誘発するようなあり方は無しにした方が良いでしょう。モンスターは興味がないので機能しないと思います。基本的には平社員以上の、十分暮らせるだけの給与をベースラインとしつつ、評価の高い者には加点式のインセンティブを与えるくらいが良いバランスです。
もう一つ、可能なら工績も評価したいところです。組織の健全性が上がります。
モンスター以外にも「仕事をこなすよりも仕事のやり方や考え方を何とかする方が向いている」人はいて、この人達が活躍する余地を広げることができるからです。
いつでも誰でも誰にでも届けられること、またコメントも受け付けられるだけのツールとインフラが必要です。
オープンケージを行えるだけの大企業であればすでに備えているか、備えるだけのお金があるはずです。DXの本質は敏捷性と変化耐性の獲得、ここは投資しなければならない部分です。ここツールの部分を確保できない場合、オープンケージは成功しません。
ツールについては、以下記事も見てください。
組織内全員で書いて議論する 「オープン・トピックライティング」
すでに述べたとおり、モンスターはティピカルワークを諦めた存在ですので「仕事として直接役に立つ」ことを狙ってはいけません。
むしろ、自由な遊び場で好き勝手に遊ばせて、社員達がそれを好き勝手に見る・使うイメージです。どんなネタが誰の何の役に立つかはわかりませんので、遊ばせるくらいの感覚で放任します。
しかし、それでも会社ですので、できるだけ役に立つ方向に寄せたいものです。ですので全社員やアドバイザーからフィードバックやリクエストを送れるようにします。
モンスター側も、これを取り入れていく義務があります(前述したプロトコルで規定してください)。しかしノルマにしてしまっては意味がないので注意します。ティピカルワークのテイストを持ち込むと、モンスターは不満が溜まって本来のパフォーマンスが出せません。暴れたり荒れたりする可能性もあります。組織体制でも述べたように、基本的には放任でやらせましょう。
誰ともコミュニケーションを行わず、ひとりで行う者も多いと思います。
しかしモンスターも「アウトプットを読む社員のひとり」ですから、やりとりが発生するに越したことはありません。
イベントを企画したり、ちょっとした取り組みのメンバーを募ったり、コメントをお願いしたりといったことは積極的にやるといいでしょう。やりたくなければ、モンスターの側から断ります。