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コミュニケーション ドキュメンテーション スプレディケーション ★ここを解説します。
スプレディケーション(Spreadication)とは、発想法的な情報のやりとりの仕方を指します。
発想法は発散と収束と蒸留から成ります。ブレストがそうであるように、まず情報を散らかし、その後で整理をしたりさらに足したりして、最終的に本質をひねり出します。
Spreadは発散を意味する言葉です。スプレッドシートのスプレッドでもあります。広がるニュアンスがあります。
それぞれの違い。
コミュニケーションは2者間で行うものです。
特定の相手がいて、その人向けの情報を出します。3人以上だったり、チャットなどで非同期的に行ったりもできますが、本質的には2者間のやりとりです。
コミュニケーション1.0。なので雑談など親近感を育む行為 「グルーミング」が必要ですし、知るためには一緒に過ごす必要もありますから、一緒に過ごせる相手かどうかの選定が走ります。さらに、会議の調整など時間的リソースの奪い合いも起きます。原始的ゆえに限界があって、コミュニケーションコストと表現することもあります。
次にドキュメンテーションは、ひとりで文書をつくってそれを読んでもらう形を取ります。
本質的には読者の設定範囲が広いです。というのも、コミュニケーションではまかなえない範囲をカバーするものだからです。未来の人を対象にしたり、何百何千人に読んでもらうことも可能です。
デメリットとしては、文書を書くことも、読んでもらうこともどちらも難しいことです。近年は共同編集ドキュメントも充実していますが、コミュニケーションの代替として使うにはまだまだ時代が追いついていません。あるいは Documentation Transformation レベルの変革を要します。
最後に本題、スプレディケーションですが、これはアイデアを置ける場所をつくって、誰もが自由に置きます。
最も有名なのはブレストで、一枚のボード上にみんなで付箋を自由に書いて貼ると思いますが、これを一般化したものだと思ってください。
コミュニケーションではないので、特定の相手は想定しません(想定してもいい)。思いついたことをとりあえず出していいですし、誰かが出しているものを見て関係しそうなことを出したりもします。特定の人ではなく、文書でもなく、自分の思いつきや場に出ているコメントを相手にします。
これにより、コミュニケーションの限界も突破できますし、ドキュメンテーションほど読み書きも難しくはありません(世界観が全然違うので定着のための訓練や勉強は必要)。
スプレディケーションにも同期と非同期があります。
同期スプレディケーションは、ブレストのようにみんなで集まって情報を出します。たとえば 60 分でやるぞと決めて、参加者を集めたら、その60分でスプレディケーションをします。
細かい進め方はファシリテーション次第です。発散だけで済ませることもできますし、15分-15分-15分で発散、収束、蒸留をして最後15分で通常の会議みたくコミュニケーションをして取りまとめるでもいいでしょう。
コミュニケーションには非同期がありますが、同様に、非同期スプレディケーションも可能です。
たとえば情報を自由に出せる場所をつくって、今から1ヶ月間誰でも自由に出してね、とします。
どれだけ盛り上がるかはみんなのリテラシーとモチベーション次第ですが、何百何千という意見を出し、かつまとめていくことも十分に可能です。通常、このレベルのワークは数日以上の合宿でもしなければ行えませんが、非同期だとできます。
まずMiroなどホワイトボードをイメージすると思います。可能ですが、話題ごとにボードを分けてください。
仮に一週間で、チーム内で計 30 のスプレディケーションを行う場合、ボードも30個あるはずです。これはチャットでいうスレッドのようなものです。話題と場所は分けるべきです。
ホワイトボード以外も使えます。
以下はフォームを用いた例です。匿名で、投稿結果さえも公開されるフォームなので、自由に情報を出せます。
以下はコラボレーティブ・ノートテイキング(CNT)の記事です。ツールとして共同編集ノートを使っています。
CNTでは「型」をつくって、皆がそれにしたがってノートを書きますが、この型としてスプレディケーションを指定できます。
主なツールの種類をQWINCSという形で整理しました。
ここまでですでにSticky Board(ホワイトボード)、Note(共同編集ノート)が出ていますが、他にもIssues(チケット)、Wiki(ウィキ)などがあります。
ただ、スプレディケーションとして使うのは苦しいと思うので、今のところはホワイトボードか共同編集ノートが良いでしょう。
工夫すれば、上述のフォームのように、既存の手段でも行えないことはありません。
コミュニケーションとは異なるやり方となります。
まず従来の会議のように誰かが誰かに喋ることで進める、といったことはしません。かわりに、情報を出せる場に、情報を出していきます。まずは制限なしに、各自が好き勝手に出します(発散)。
ただし、出すだけでは収拾がつかなくなるので、似た情報を近くに寄せたり、リンクをつけて辿れるようにしたりといった整理を行います(収束)。
すると全体像が見えてくるようになります。かつ、さらに思いついたことを追加することもできます。木と森を行き来して死角をなくしていく状態になります。
とはいえきりがないので、どこかで打ち切らねばなりません。これは意思決定に他なりません。決定事項を何とかひねり出して、言語化して出します(蒸留)。
つまり、スプレディケーションにおけるファシリテーションとは、発散と収束と蒸留の3つだけをコントロールします。
収束や蒸留の部分では、コミュニケーションを使うことがあります。また、慣れてないうちは、発散時であっても参加者間でコミュニケーションを交わすのもアリでしょう。
しかし、慣れてきたらコミュニケーションを一切しないで完結させることができます。つまりコミュニケーションコストにとらわれなくなるということです。スプレディケーションの最大のメリットは、この境地に至れることにあります。