分報については以下記事を参照してください。
本記事では分報の進化系である秒報を紹介します。
秒報とは、自らの状況をリアルタイムに共有することで、お互いにリアルタイムに状況を知れるようにする仕組みを指します。
分報では自分の分報チャンネルに投稿していましたが、秒報では投稿アクションはありません。公開範囲を指定するだけで自動的に常時共有されます。
自動的な共有 + 非言語情報の共有により、分報以前よりも手間無く、かつはるかに情報量が乗ります。
秒報においては、そもそもVUCARDを前提にします。
日報 → 分報 → 秒報という流れは、リモートベースであってもリアルタイムで豊富なコミュニケーションがしたいとのニーズの現れでもあります。
※現地での対応が必要な仕事もまだまだありますが、ここではデスクワークを想定します。
そもそもR(Remote)とD(Diversity)を尊重する――各自の生活水準を尊重することは現代ではもはや当たり前でしょう。
主にパンデミックの影響でリモートワークが加速しましたが、これで成立すること、特に各自の生活水準を守れることが判明しました。水準が上がったのです。
一度上がった水準は下げるべきではありません。乗り物による通勤に慣れた人に「交通費もったいないから歩け」と言うわけにはいかないでしょう。昔はセクハラが当たり前だったからといって「昔は当たり前だったんだぞ」などとは言わないでしょう。
乗り物も、セクハラがないことも、現代の水準の一つです。これを下げてはなりません。ハラスメントになるレベルで、あってはならないことです。
また、時代はVUCAでもあります。
単に上から降ってきたことや顧客から言われたことをこなしていればいいだけ、というほど単純でもありません。
主体性、仮説検証、アップデートやリスキリングといった言葉もあるように、各自が各自のペースと強みで動いて、それを上手く連携させる形を取らねばなりません。
そのためには、従来の密な結合を緩めて、リモートなど融通の利く働き方が必要です。より率直な言い方をすれば、多忙一辺倒ではなく「スラッキング」 余裕をつくりにいく営みこと、チームワーク100%ではなくチームワークだけでなくソロワークもも行うことなどです。
まとめると、各自の生活水準を尊重した働き方は、現代ではもはや当たり前の水準なのです。水準を確保するためには、リモートワークもよく使われます。
しかし、リモートだとコミュニケーションを上手く行えないので、もっと上手くやりたいのです。このとき、無闇な出社や会議といった「水準を壊す形で上手くやる」のではなく、水準を維持しながらも上手くやりたいのです。
分報も、秒報も、そのためにあります。
ここからは秒報の実現や運用に関する話をしていきます。
秒報に必要な概念が4つあります。まずはかんたんに俯瞰します。
メンバー全員のプレゼンスを俯瞰できるワークスペースです。
作業の光景をライブ配信します。
「部屋全体」「PC画面全体」などは「公開しすぎ」でハードルが高いため、必要な部分のみを選択できるようにします。
また、このライブ配信も俯瞰が必要です。
オープン・ワークスペースとは、誰もが読み書きできる場所です。ここで自分用のワークスペースをつくって作業します。
すでにクラウドストレージ(Googleドライブ、Dropbox、Box、Microsoft OneDrive etc)である程度実現できていますが、それでも自分のパソコン内がメインとなっている人がまだまだ多いです。この比率を極限まで減らします。
勤務中、常に秒報を行うのは負荷が高すぎます。かといって、各自の自主性に任せていては、全員が集まるタイミングが定まらずに不便です。
そこで秒報を行う時間帯を統一させます。これを秒報タイムと呼びます。
コアタイム中に秒報を行う、などがわかりやすいでしょう。
以降では各要素をどう実現・運用するかの詳細を見ていきます。
プレゼンススペースをどう使うかのスタンスは2通りあります。
メンバーのプレゼンスが見えることは前提ですが、見えた後、迂闊に呼んでも(声をかけても)いいのかというアクションの部分をどれだけ許容するかに違いがあります。
一見すると 2: を選びがちですが、各自の創造性や集中を重視したい場合は 1: が良いです。
1: の場合、プレゼンススペースにてメンバーの様子を把握しておいて、しかるべきタイミング(定例または直近の打ち合わせなど)でそれも踏まえた立ち回りをすることになります。もちろん、緊急性が高そうな場合はその限りではありません。
検討したいのは以下3点です。
仕事の様子(あるいはピープルマネジメントもするなら当人の様子)がわかる光景であれば何でも構いません。
≒PCの画面、になると思います。
その際、「全画面を常に共有」だとプライバシー面で負荷が高いですから、一部のウィンドウや一部のタブだけを共有する形にするべきです。
ここで「仕事だから別にやましいことはないだろう」と思う人がいますが、違います。人は常に見られていると落ち着きませんし、現実的にはDMやサイバーローフィング(ネットサーフィン)もします。そのような管理脳は絶対にやめてください。仮にそんなことを言う人がいたら、秒報の癌ですので追放してください。
ライブ配信は、配信者にとっては身近な営みですが、大多数にとってはそうではありません。
少なくとも各自一人でライブ配信を完結できる程度には整備と啓蒙を進めてください。
現状最もハードルとなるのはライブ配信手段の決定版がないことです。。オンライン会議だとn人のライブ配信など不可能なので、YouTube のような動画共有システムを使う必要があるのですが、YouTube は企業内部で使う用途には向いていません(限定公開URLはあるが、URLがバレたら誰でも見えてしまう)。
かといって Microsoft Stream や Vimeo Enterprise といった企業向けのシステムはお高いですし、ライブ配信にはまだ手が伸びていません。
そもそも企業が内部でライブ配信をするというジャンル自体がまだありません。ですので、これを行うサービスが出るのを待つか、自分達でつくる必要があります。
メンバーがライブ配信をしているからといって、いちいちそれを見に行くのは手間です。可能なら、ワークスペース的な画面上で俯瞰したいものです。
わかりやすいのは YouTube の「登録チャンネル」画面でしょう。
一例。「夜見れな」がライブ中だとわかる。
登録(購読)したチャンネルのうち、ライブ配信中の配信者がいたらその旨が出ます。ずらりと並ぶので、誰がどんなライブ配信をしているかを俯瞰できます。このイメージです。
これについても、上記配信手段と同様、決定打がなく、自製が必要になるでしょう。
要するに手元に置いている作業フォルダを、皆が見える共有エリアに置いて、そこで仕事をするということです。
オープン・ワークスペースにおいて重要なのは情報とファイルを分けることです。
情報とは、ここではテキストや軽微な動画像でやりとりするもので、チャットやノートツールを使います。
その本質は情報共有であり、誰でもいつでも情報にアクセスできることを目指します。秒報では情報も常時見えるようにしたいからです。これができないと結局原始的な会議や出社を減らせず、秒報の意味がありません(普通に会議や出社をしようよ、となってしまいます)。
このあたりは『仕事術2.0』でも重視しており、色々と解説していますので、ぜひ読み漁ってみてください。
次にファイルとは、ここでは情報ではなくファイルの形で扱われるものを指します。まとまった情報源だったり成果物だったりします。
これらもやはり情報共有的に扱いたいです。皆が読み書きできるクラウドストレージをつくって、そこに置くことになります。
ここで重要なのがフォルダの構造ですが、階層化せずフラットに配置してください。階層は、個人で行う分には問題ありませんが、複数人で扱える代物ではありません。
このようなフラット構造にします。フォルダの単位は多少雑でも構いませんが、案件や話題の単位が良いでしょう。
フラット構造だとフォルダ数が何百何千となりますが、それでも構いません。必要なフォルダは更新順でソートしたり、別途ノートツール側でリンク集をつくってそれを見てもらうなりすればどうとでもなります。
フォルダの整理整頓、特に階層のメンテナンスは不毛なのでやめましょう。適当な単位で分かれていれば、それで十分です。階層が必須と考えている人は、仕事の仕方が20年前からアップデートされていません。
その上で、必要なファイルは誰でも読み書きします。
たとえば 「241014_案件A」フォルダがあったとして、主に担当しているのが🐶さんなら、🐶さんはここで仕事をします。各種ファイルを置いておきます。
これなら他の人も「241014_案件A」フォルダを見れば状況はわかりますし、手伝うときもここにファイルをつくれば済みます。
秒報タイムとは、全員が秒報を行う時間帯を指します。秒報はメンバー全員で行わないと意味がないので、全員揃える必要があるのです。
就業時間のすべてを秒報タイムにするのはキツイので、上手く設計してください。
最もわかりやすいのはコアタイムです。コアタイムを秒報タイムにします。まずこれを試してみて、問題があれば別のやり方や調整をする、くらいが始めやすいでしょう。
当サイトでも、このような概念はいくつか取り扱っていますので参考にしてください。